日経平均CFDってなに?

ここではいくつも種類のあるCFDのうち、もっともポピュラーなCFDの1つである「日経平均CFD」について解説します。

日経平均CFDってなに?

日経平均CFDとは

日経平均CFDとは

日経平均株価を指標とするCFD

日経平均CFDとは、日経平均株価を指標とするCFDのことを言います。CFDとは証券会社に証拠金を預け銘柄を売買することで、その差金のみを決済する取引方法です。現物の売買は行いません。
また、CFDと言っても日経平均株価やNYダウなどの株価指数に連動するもの、金や銀、原油などの商品に連動するもの、ETFに連動するものなど種類は様々です。

CFDは、日経平均株価やNYダウなどのメジャーな株価指数だけではなく、インドネシアやタイなどの新興国の株価指数などにも投資できるのが特徴になります。新興国の株価指数などに投資するのは難しいので、多様な株価指数などに投資できるのはCFDの大きな特徴と言えるでしょう。その中でも、日経平均株価の動きに対して取引を行うものが「日経平均CFD」です。

日経平均株価とは

日経平均株価とは日本経済新聞社が算出・公表している指標のことを言います。東証第一部市場に上場されている銘柄から代表的な225銘柄を選び、一定の算式を用いて算出されます。権利落ちに伴う価格変動を調整した上で計算されますが、東証株価指数(トピックス)のように株式数で加重平均するという考え方は採用されていません。

従来は、構成銘柄を長年にわたって見直してこなかったため、古い時代の産業別シェアが採用銘柄に濃厚に反映されていました。
現在では、GDPに占めるシェアが低くなっている鉄鋼や繊維などのウェイトが相対的に高く、金融やハイテク、バイオ、商業などの銘柄の変動の影響をあまり反映しないという難点がありました。これに応えて、近年は構成銘柄の入れ替えを比較的頻繁に行うようになり、原則、年に1回10月に銘柄を入れ替えることとされています。

日経平均株価は日本でもっとも有名な指標になりますので、値動きの把握がしやすく、多くの方が1度は耳にしたことがある株価指標でしょう。

日経平均CFDのメリット

日経平均CFDのメリット

日経平均CFDには、主に7つのメリットが挙げられます。ここで、それぞれ詳しく解説しましょう。

少額から始められる

日経平均CFDは、証券会社によっては500円程度から始められます。後ほどご説明するレバレッジ機能もありますので、少ない金額でも大きな取引が可能です。少ない金額から始められるのは、日経平均CFDの大きなメリットと言えるでしょう。

個別銘柄を選ぶ必要がない

日経平均CFDは日経平均株価に連動するCFDのため、日経平均CFDに投資すれば東京証券取引所一部に上場する代表的な225銘柄に投資できます。手軽に分散投資することができ、個別銘柄を選ぶ必要がありません。

24時間取引可能

CFDは、銘柄によって取引時間が異なります。ただし日経平均CFDの場合、証券会社によって若干の違いはありますが、概ね平日の8:30〜翌6:00(夏時間:8:30〜翌5:00)まで約24時間で取引可能です。
日本株の現物取引の場合、平日の9:00から15:00までしか取引できません。しかも、11:30から12:30までは昼休みなので、この時間も取引が不可能です。取引時間が長いことは、忙しい方にとって大きなメリットとなります。

レバレッジが使える

レバレッジとは、日本語で「てこの原理」を意味するものです。てこの原理については、おそらく多くの方が小学校の理科の授業で習ったことがあるでしょう。これは小さな力で大きなものを動かすことができる仕組みであり、投資でいうレバレッジもまさに同じ。つまり、手元資金の何倍もの取引ができる仕組みがレバレッジです。

日経平均CFDで利用できる最大レバレッジは10倍程度が多いので、手元資金の10倍程度の運用ができます。もちろん、その分だけ損失も大きくなりますが、少ない資金で大きな利益を狙えるレバレッジを使えることは、日経平均CFDのメリットと言えるでしょう。

決済期日がない

日経平均CFDには決済期日がありません。決済期日とは、保有中の建玉を反対売買により決済しなければならない日付のことです。

株式投資の信用取引の場合、決済期日が設けられているケースがあります。決済期日がある場合には、新規建てから6ヶ月以内に決済しなければなりません。期日を過ぎると強制決済されますので、ポジションを長く持ちたい場合は決済を行い、また新たにエントリーする必要があります。当然ながら手数料が掛かるため、これは効率的な取引とは言えません。CFDには決済期日があるものもありますが、日経平均CFDは基本的に決済期日がないのです。

下げ相場でも利益を狙える

日経平均CFDは「売り」からエントリーできるので、下げ相場でも利益を狙えます。株式取引なら信用取引では「売り」からエントリーできますが、現物取引では「売り」からエントリーできません。一般的に、上げ相場よりも下げ相場の方がスピードも速い傾向にあるため、下げ相場でも利益を狙えるのは大きなメリットでしょう。

倒産リスクが低い

日経平均CFDは日経平均株価に連動しているため、個別株のような倒産リスクはありません。もちろん、日経平均株価に採用されている225社のうち倒産する企業が出る可能性はゼロではありませんが、その確率は極めて低いでしょう。
仮に225社のうち倒産する企業が出たとしても、その他の企業がリカバリーしてくれる可能性があります。そのため、投資している個別株が倒産するよりも影響は少ないでしょう。倒産リスクがないことは、日経平均株価に連動する日経平均CFDのメリットと言えます。

日経平均CFDのデメリット

日経平均CFDのデメリット

日経平均CFDには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。ここでは日経平均CFDの主なデメリットについて、3つを取り上げて解説します。

元本以上の損失が出る可能性がある

投資である以上、元本以上の損失が出る可能性があります。特に日経平均CFDは最大10倍程度のレバレッジが使えますので、株式投資の現物投資に比べて大きな損失が出てしまうことも考えられます。

ただ、投資で損失が出る可能性がない商品を挙げるとすれば、おそらく個人向け国債くらいではないでしょうか。投資と名がつく以上、元本以上の損失が出るリスクがあることは承知しておきましょう。

ロスカットが発生することがある

日経平均CFDはレバレッジをかけている場合、証拠金維持率が100%を下回ると追証が発生し、追証を解消しないとロスカットされるのが一般的です。このことは、日経平均CFDのデメリットと言えます。

同じくレバレッジを利用する代表的な商品であるFXでは、各FX会社によってロスカットレベルは異なります。FX会社によっては証拠金維持率の100%を下回るとロスカットされる会社もありますが、証拠金維持率が50%まで取引できる会社もあるなど様々です。なお、日経平均CFDは全額ロスカットされるわけではなく、証拠金維持率が100%を超えるまで損失の大きい建玉(※)から順番に強制決済されます。

(※)建玉(たてぎょく)
信用取引や先物取引、オプション取引、FXなどで、手じまいされずに未決済のまま残っている約定のことを言います。

確定申告が原則必要

日経平均CFDは、株式投資や投資信託などと違って特定口座がありません。そのため、利益が出た場合については原則として確定申告が必要です。

日経平均CFDは申告分離課税の雑所得になります。税率は一律で20.315% (所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)。また、3年間の繰越損失や損益通算も可能ですが、株式投資や投資信託などの損益と損益通算はできません。損益通算できる対象は、先物取引やFXなどになります。

NISAが使えない

日経平均CFDは,非課税口座であるNISAが使えません。NISAは利益に対する税金が掛からない制度ですが、日経平均CFDの場合は前述の通り利益に対して20.315%の税金が掛かります。

日経平均CFDの始め方

日経平均CFDの始め方

日経平均CFDは簡単に始められます。日経平均CFDの始め方についてご説明しますので、ぜひ参考にしてください。

日経平均CFDの仕組みを理解する

日経平均CFDはすぐに始めることができます。ただし仕組みをしっかり理解しないと、日経平均CFDで利益を出すのは難しいかもしれません。ここで解説している内容を参考に、まずは理解を深めていきましょう。

CFD口座の開設

日経平均CFDを始めるなら、日経平均CFDの取り扱いがある証券会社に口座を開設しましょう。以前は本人確認資料などの郵送が必要でしたが、最近は多くの証券会社がオンラインで提出できるようになっています。そのため、オンラインのみで手軽に証券会社の口座開設が可能です。証券会社によっては、最短即日で口座開設が完了するところもあります。

CFDの口座が開設されたら、口座に入金しましょう。一般的に、口座の入金方法は以下の2つです。

  • 銀行振込
  • クイック入金

銀行振込は多くの方にとって馴染みがあるかもしれませんが、手数料が掛かる、また即時入金できない可能性があります。特に平日の15:00過ぎや土日休日の振込は注意が必要です。
クイック入金は手数料が無料で、平日の15:00過ぎや土日休日の手続きでも基本的に即時入金されます。クイック入金が使える証券会社なら、銀行振込ではなくクイック入金を利用すると良いでしょう。

CFD口座に入金したら、いよいよ取引できます。購入金額や利用するレバレッジ、注文方法などの取引条件を決めて購入してください。日経平均CFDでは、株式取引と同様に成行注文や指値注文が可能です。購入したらタイミングを見て決済しましょう。

日経平均CFDには、株式取引の信用取引のような決済期日はありません。ただし、証拠金維持率が100%を下回ってしまうとロスカットになりますので、相場状況はしっかり確認するようにしましょう。また、レバレッジの掛け過ぎや、入金した金額ギリギリまでの取引は避けることをおすすめします。

まとめ

まとめ

日経平均CFDについて詳しくご説明しました。日経平均CFDは、日本でもっともポピュラーな株価指数である日経平均株価に連動しているCFDです。CFDはレバレッジが使えて決済期日がない、取引時間が長いなど様々なメリットがあります。株式投資や投資信託、仮想通貨などに比べると知名度は低いかもしれませんが、とても使い勝手が良い金融商品です。

CFDの中でも一般的な株価指数の1つである日経平均CFDは、初めてのCFD取引にもおすすめです。ここで解説した内容を参考に、まずは日経平均CFDについて仕組みや特徴、始め方などを理解しておきましょう。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えることをモットーに活動中。