日経平均株価って何?

テレビのニュースや新聞でもよく見聞きする日経平均株価とは、どのようなものなのか、計算方法や見方などを詳しく解説します。

日経平均株価って何?

日経平均株価(日経平均)と日経225とは

日経平均株価とは、日本経済新聞社が東証一部に上場する約2,000銘柄の企業の中から業種等のバランスを考慮して選んだ、日本を代表する225社の平均株価指数のことです。東京証券取引所で株式が立会取引されている時間帯に、5秒間隔で算出・配信されています。

市場性の高い銘柄が採用され、年1回の定期見直しにより入れ替えられています。定期見直しの際には、市場流動性や業種のバランス等を考慮し入れ替えられているのです。市場流動性の高い銘柄が採用され、低くなった銘柄が除外されます。また、構成銘柄が上場廃止になった場合には、臨時入れ替えが行われることもあります。なお、日経平均株価は「日経平均」や「日経225」とも呼ばれ、日経平均株価に連動する成果を目指した投資信託の名前にも使われることがあります。

日経平均株価の仕組み

日経平均株価の仕組み

日経平均株価は225銘柄を下記のように修正し算出しています。1株当たりの株価は1株50円の銘柄もあれば50,000円の銘柄もあり、その価格はさまざまです。それらの株価をそのまま平均すると、株価の大きな銘柄の株価が変動した場合に大きな影響を受けてしまうでしょう。反対に株価が小さな銘柄は、いかに大きく変動した場合でも平均した場合の影響が小さくなってしまいます。

例えば1株50円の銘柄と50,000円の銘柄で、平均値を計算すると下記のようになります。

[計算式](50円+50,000円)/2(銘柄数)=25,025円

仮に50,000円の株式が1,000円上がった場合には、さほど大きな値上がりではありません。しかし、平均値は下記のようになります。

[計算式](50円+51,000円)/2(銘柄数)=25,525円

反対に1株50円の株価が倍の100円になった場合は、以下の通りです。

[計算式](100円+50,000円)/2=25,050円

50,000円の株価が1,000円上がっても、さほど大きな変化ではありません。しかし50円の株価が2倍の100円になれば、とても大きな変化と言えるでしょう。

単純に平均していると、株価の小さな銘柄がいくら大きく変動してもそれがあまり反映されていないことがわかります。ただし、株価の大きな値上がりの銘柄はさほど大きな値動きでなくても、平均株価に大きく影響してくるのです。このように、株価を単純に平均していると構成する銘柄の値動きを正確に反映することができませんので、株価をみなし額面に統一して平均することが求められます。

みなし額面は、その株価を1株50円に換算して算出します。2011年の商法改正により、現在は株価を自由に決められるようになりました。しかし、それまでは額面方式と無額面方式があり、額面方式では新たに取引する株式は20円・50円・500円・50,000円という4種類があり、株式に記載されていました。みなし額面として、1株を50円に換算した数値が用いられています。

現在では発行する際の価格は企業によって異なるため、額面を統一計算する必要がありますが、額面が50円で発行されていた企業は換算する必要はありません。そのため、下記のような計算式で換算額を求めます。

[計算式①]株価×(50円÷みなし額面)=換算額

各銘柄の株価をこのように計算して合計し、除数で割ります。この除数とは、日経225の225の銘柄数のことです。

[計算式②]①の換算額の合計÷除数=日経平均株価

このように計算し、小数点以下3位を四捨五入して発表されます。

銘柄の入れ替えを行った際、銘柄入れ替えによる日経平均の変動を防ぐために「除数」をかけ、指数値の連続性を維持しています。現在の除数は、日経平均株価のファクトシートで確認することが可能です。

日経平均株価のファクトシートは日経平均株価がどのように計算されているか、構成する上位10銘柄と過去の実績、最近の除外された銘柄や採用された銘柄などが記載され、月次で発表されています。現在どのような銘柄で構成されているか、実際のパフォーマンス等を知りたい方はファクトシートをチェックしてみると良いでしょう。

例えば、2021年6月30日現在に発表されているファクトシートによると、上位1位の銘柄はユニクロで有名なファーストリテイリングで、10.46%を占めています。そのため、日経平均株価はこの時点で、ファーストリテイリング社の株価の影響を受けやすいのです。

ファーストリテイリング社のような株価の水準が高い株式を「値がさ株」と言い、値がさ株への投資の配分割合が大きくなるために、日経平均株価はこの値がさ株の値動きの影響を大きく受ける特徴があります。

日経平均株価の注意点

日経平均株価の注意点

日経平均株価は、日本経済の景気動向を確認するときに便利です。日本企業の代表的な225銘柄から算出されているため、日本経済の景気動向を表す代表的な数値とも言えます。一方、日経平均株価は株価の高い銘柄、構成比率が高い銘柄ほど指標に影響しやすくなっている点を覚えておきましょう。

また、構成比率は定期見直しをした後の株価により決まります。定期見直し後に大きく株価が変動した場合には、構成比率が1つの銘柄に偏ってしまう場合があるでしょう。そのため、指数が完全に景気に連動しているわけではなく、上位銘柄の動向に偏った動きになる場合もあります。例えば、定期見直し後にファーストリテイリング社の株価が大きく上がればファーストリテイリング社の構成比率が大きくなり、日経平均株価もその影響を受けやすいということになるのです。

このように、日経平均株価は日本企業の景気を表す数値の1つではありますが、必ずしも一致しているわけではありません。そのため、チャートから値動きの方向性や現在の価格が高値か安値かを把握し、トレンドを分析していきましょう。

その他の代表的な指数

その他の代表的な指数


ここまで日経平均株価について解説してきました。しかし、同様の株価指数として下記のようなものがあり、いずれもその国の景気の動向を表す株価指数です。投資信託の銘柄を選ぶ際にはよく登場する言葉ですので、それぞれ覚えておきましょう。

TOPIX

東証市場第一部に上場している、国内株式銘柄のすべて(約1,800銘柄)を対象とする株価指数のことです。日経平均株価は、この中の225銘柄を採用し算出しています。つまり、日経平均株価が東証一部上場の代表的な225銘柄を採用し計算しているのに対し、TOPIXは全銘柄の平均値です。そのため日経平均株価と比べ、より日本経済全体の景気の動向を表していると言えるでしょう。銘柄の構成比率が異なり、日経平均の方がTOPIXよりも価格の変動が大きくなっています。しかし、この2つの指標はほとんど同じ値動きをしていると言えます。

ナスダック総合指数

アメリカの電子株式市場である「NASDAQ(ナスダック)」に上場している、全銘柄を対象とする株価指数のことです。ナスダック総合指数は「ダウ平均(ダウ工業株30種)」や「S&P500」と並び、アメリカの代表的な株価指数として世界的に知られています。また、その特色としてシリコンバレーのハイテク株やIT関連株の占める割合が高いため、その業績が反映されやすいと言われているものです。

S&P500

アメリカのスタンダード・アンド・プアーズ社が定めている株価指数です。ニューヨーク証券取引所やNYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄を選定し、その株価から算出しています。「S&P500種株価指数」とも呼ばれ、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出するダウ工業平均株価と並んで、世界でもっとも有名な株価指数の1つです。アメリカのニューヨーク証券取引所およびNASDAQに上場している銘柄から、代表的な500銘柄を選定し算出した平均値となります。

ダウ工業株30種平均(NYダウ)

アメリカの代表指数です。ダウ・ジョーンズ社が、ニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場している主要30銘柄を対象に算出する株価指数です。「工業株」となっていますが、現在はもっと幅広い業種によって構成され、アメリカの代表的な優良企業30社のパフォーマンスを測定する株価指標となっています。

FTSE100種総合株価指数(FTSE100)

イギリスの代表的な指数。ロンドン証券取引所の子会社であるFTSEが、ロンドン証券取引所に上場している時価総額上位100銘柄を対象に算出する、イギリスの代表的な株価指数のことを言います。欧州においても、ドイツのDAXやフランスのCAC40と並んで注目度の高い株価指数です。イギリスのフィナンシャル・タイムズ社と、ロンドン証券取引所グループの合弁会社であるFTSEが公表しています。

MSCIコクサイ・インデックス(MSCI Kokusai)

MSCI指数の1つで、アメリカのMSCI Inc.が算出・公表する、日本を除く世界の先進国の株式を対象とした株価指数です。日本を除く22の先進国の上場企業で構成されています。先進国に国際分散投資するインデックスファンドのベンチマークとして用いられている指標です。

この他にも、NOMURA-BPI総合やシティグループ世界国債インデックスといった債券の指数、S&P GSCI商品指数のようなコモディティ指数、東証REIT指数、S&P 先進国REIT指数といったREITの指数等が存在します。これらも、日経平均株価と同様に計算され算出されているものです。それぞれの指数によって計算方法が異なりますので、興味のある方はどのように計算・算出されているかを確認してみてください。

まとめ

まとめ

ここまで日経平均株価とは何か、その仕組みや計算方法、注意点等を解説しました。ニュースや新聞でもほぼ毎日登場する用語で、もっとも馴染みのある指数ではないでしょうか。どのように銘柄が選ばれ、どのように計算されているかを知り、日経平均株価がどのように変動しやすいのかを読み解くことで投資先の選定を行うのに役立つでしょう。

日経平均株価は投資信託のベンチマークにも用いられ、日経平均株価に連動した成果を目指すインデックスファンドも数多くあります。インデックスファンドを購入することで、日経平均株価等の指数を構成する銘柄に分散投資すると同等の効果を得ることが可能です。投資の入門にも適した商品で、投資を始める際にまず日経平均株価に連動する商品を選ぶという方も多いでしょう。その際には、日経平均株価の仕組みを知っておくことで、どのように自身の資産が変動するかの理解が深まるはずです。

また、日経平均のみでなく、TOPIXや海外の指標等も決まった計算式で計算されて算出されています。そして、それぞれ構成する銘柄や計算方法によって値動きに特徴が出る場合もあるため、その仕組みを知っておくと良いでしょう。代表的な指標の日経平均株価の仕組みをきっかけに、その他の指標の仕組みを知り、投資や日々のニュースを読むときに活用してみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。