ROEとは?

2021年9月10日

 

効率的に経営できているかを示すROEは株式投資を行う上で非常に重要です。そこで今回は、ROEについて解説します。

ROEとは

ROEは「Return on Equity」の略。日本語で表すと、自己資本利益率という意味の言葉です。ROEは自己資本に対して、どれだけの利益を生み出せたかを測る指標になります。近年このROEが、株式投資の指標として重要視されているのをご存じでしょうか。

 

2014年にJPX日経インデックス400という指数が設定され、3年平均ROE選定基準の1つになったのです。さらに、2015年に策定されたコーポレートガバナンスコードへの対応として多くの企業がROEを重視する姿勢を見せており、最低ROEの目標を設定している企業が多くなりました。なお、一般的にROEは10%以上あれば良いとされ、20%を超えると優良企業といわれています。

ROEを使った投資方法とは?

ROEにはさまざまな使い方がありますが、今現在のROEではなく、将来的にROEが改善していく兆しのある企業に投資するのが有望であると考えられています。市場では今現在のROEが高いからと言って投資対象として有望と考えることを、早計ではないかと思われているのです。

 

ROEはより小さな資本を使い、より大きな利益を計上することで高まります。そのため、企業がどれだけ効率的に稼いだかの指標になるものです。つまりROEは、株主から調達したお金を元手にし、株主のためにどれだけ多くの利益を生み出しているかを評価するのに、とてもわかりやすい指標と言えます。

 

ROEの目安

そして近年、多くの機関投資家がROEの目安が8%であると考えているという報告がありました。株式会社は株主から調達した資金を経営者が事業で運用し、利益を出していく仕組みですが、ROEが8%を超えていれば投資に値するというイメージになります。

 

ROEは株価と切り離されている指標

ROEにおいて重要なポイントは、ROEの算定式の中に株価がどこにも出てこないことです。株価がどんなに上下しようとも、ROEとは関係ありません。ROEは株価と切り離されている指標であるということは、非常に重要なポイントです。

 

例えば、ある企業のROEが20%を超えているとしましょう。これだけで有望であり、今後も株価が上がるに違いないといった選び方はとても危険です。なぜなら、ROEの高い企業はすでに株価も高値圏である場合も多いため、投資対象としての魅力を検討するうえで、ROEのみを重視すると高値づかみをしてしまう可能性があります。

 

ROE活用法

では、どのようにROEを活用すればよいのでしょうか。ROEの有効な使い方は、「今後ROEを高めると思われる企業」を有望な投資対象とすること。たとえ今現在のROEは低くても、将来的に今より高くなる可能性があるというのが重要なポイントです。

 

具体的には「今のROEは8%未満で投資対象としては不適格だが、今後ROEが8%を超える可能性が高い」ということが見込め、かつ他の指標でも株価が割安な銘柄を買っておけば、実際にROEが10%超になることが見えてきた頃に、株価の上昇を見込むことができると考えられます。

ROEを高める企業の見つけ方とは?

ROE=純利益÷純資産のため、まずは分子の純利益を増加させなくてはいけません。配当が出ない会社を前提にすると、ROEを毎年維持するには今のROEと同じ割合だけ増益を維持することが必要です。このことが分かりやすいよう、図表で見てみましょう。

上記の表の通り、ROE20%を維持するためには毎年20%増益していくことが必要になります。これは4年程度で純利益が2倍になるペースなので、増益だけで高いROEを維持することはとても困難でしょう。

 

そして、もう一つROEを高める方法があります。それは、分母の純資産を減らすこと。これは、配当を増やす方法と自社株買いの実施が代表的な方法です。自社株買いも有効な方法ですが、配当のほうがわかりやすいでしょう。そのため、先ほどの純利益20を毎年100%配当に出した場合で見てみます。

このケースでは、純利益が一定でもROEが維持されることがわかるでしょう。このように、配当や自社株買いを増やすことで意図的に高いROEを作れます。実際にはこれら2つの変動がミックスされてROEが決まりますが、株式投資家から見ると後者の純資産を減少させる方の視点がより重要です。

なぜなら、日本企業は純資産を必要以上に保有しているため、ROEが低くなっている会社がたくさんあるからです。純資産が多いと投資対象の安全性が高いですが、効率性は低くなります。

 

こうした効率性が低い企業を何とか改善するために、近年のROEを高める議論があるのです。そのため株式投資家も、今後は配当や自社株買いで分母の純資産を減少させ、ROEを改善する可能性が高い企業を有望な投資対象として考えてみる必要があるでしょう。

 

ROEを高めることは上場企業の務め

ROEは経営者の実績を評価するという点でも、非常にわかりやすい指標です。ROEを高める方向に企業を変換させた経営者は評価されて然るべきですし、ROEを低迷させたままの経営者の評価は低くなるのが現在の流れになりつつあります。つまり、ROEが低迷しているうちに投資し、その後経営者がROEを高める方向に舵を切ってくれれば、株主もまた報われることになるのです。

 

資本効率を考えてROEを高める務めが上場企業にあることは、本来であれば常識レベルの話です。しかし、長らく日本企業にはそういう意識が欠けていました。内部環境の後押しやモノ言う株主の圧力がないと、変化しない時期が長らく続いたのです。そして残念ながら、この傾向は現在でも一部企業に根強く残っています。

 

しかし逆に言えば、今後ROEを大幅に上昇させ、株価も上昇させる可能性のある企業はたくさんあるということです。このようにROEに注目して投資すれば、大化けする銘柄に出会えるかもしれません。

ROEの計算式

ROEを使った投資手法について解説しましたが、続いてROEの計算式について見ていきましょう。ROEの計算式は以下の通りです。

 

ROE=当期純利益÷自己資本率×100

 

この式を異なる視点からみると、以下のようになります。

 

ROE=(当期純利益÷売上高)×(売上高÷総資産)×(総資産÷自己資本)×100=売上利益率×総資産回転率×財務レバレッジ×100

 

※当期純利益÷売上高=売上利益率

売上高÷総資産=総資産回転率

総資産÷自己資本=財務レバレッジ

 

売上利益率と総資産回転率、財務レバレッジの意味、そして計算式は以下の通りです。

 

売上利益率

売上高から売上原価を差し引いた総利益が、どれくらい売上高の割合を占めるかを示す指標です。

 

【計算式】(売上総利益÷売上)×100

 

総資産回転率

総資産を使ってどれだけ効率的に売上高を生み出したかという、資産運用効率を示す指標です。

 

【計算式】売上高 ÷ 総資産

 

財務レバレッジ

借入金や社債などをレバレッジとして使うことで、企業の総資産が自己資本の何倍となるかを表した数値のこと。

 

【計算式】総資産÷自己資本

 

売上利益率や総資産回転率、財務レバレッジについても触れましたが、まずは「当期純利益÷自己資本比率×100」の計算式を覚えておけば大丈夫です。

 

では、ROEを計算するうえで重要な「当期純利益」と「自己資本」についても簡単に解説しましょう。当期純利益は最終利益とも呼ばれるもので、要するに企業の稼ぐ力を示したものになります。当期純利益の計算式は、「当期純利益=全ての収益-全ての費用」。自己資本は企業が自社内部で調達した資本を指す言葉で、貸借対照表の株主資本と評価・換算差額等の合計で求められます。

 

ROEは計算式を使って簡単に計算できますが、最近はインターネット検索をすれば簡単にROEについて調べられます。当期純利益や自己比率などの数字を調べて計算するのが面倒という方は、これを活用すると良いでしょう。

ROEでわかること

ROEを使うことで、主に2つのことが分かります。

 

効率よく利益を上げている企業

ROEが高いということは、自社が投資した資金をうまく使って効率よく利益を上げている企業だということです。つまりROEが高ければそれだけ効率的に稼いでおり、経営がうまい企業だと言えます。

 

ただし、いくらROEが高くても注意しなければならないケースがあります。例えば無理な自社株買いを行ったり、不要な借り入れを行ったりすることでも、ROEを高めることが可能です。ROEは数字をいじることによって変わりますので、見た目の数字だけで判断するのはリスクがあります。

 

一般的にROEの目安は10%

ROEの一般的な目安は10%と言われています。20%を超えていれば、かなり経営がうまい優良企業であると言えるでしょう。しかし最近は、8%以上あれば問題ないとする機関投資家が多いようです。20%以上あれば理想ですが、8%でも問題ないケースが多いことを覚えておきましょう。

ROAとの違い

ROEと似た指標にROAがあります。ROAは「Return On Assets」の略で、総資産利益率と総資産に対する利益の割合です。ROEは自己資本に対して、ROAは総資産に対しての利益率を表す違いがあり、ROAは負債も考慮した数値になるのです。そんなROAの計算式は、以下のようになります。

 

ROA=当期純利益÷総資産×100

 

ROEはROAと異なり、分母が総資産ではなく自己資本です。ROAが負債を含めたすべての資産をどれだけ効率的に活用しているかを示す指標であるのに対し、ROEは自己資本をどれだけ効率的に活用しているのかを示す指標だということ。どちらが正しいということではなく、ROEとROAの双方を使って企業分析を行いましょう。

まとめ

効率的に経営できているかどうかを示す、ROEについて詳しく解説しました。ROEは近年とても注目されており、多くの株式投資家も重要視している指標です。もちろん、ROEだけで投資に適している株式であるかどうか、すべてを判断することはできません。しかし、今後ROEが上昇していくであろう企業を見つけられれば、その後に株価が上昇する可能性があります。

 

大切なことは今のROEではなく、将来のROEを重視することです。将来的に株価が上昇しそうな企業を見つけて投資してみるのは、株式投資における大きな醍醐味となるのではないでしょうか。

監修者プロフィール:

渡辺 智(ワタナベ サトシ)

FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>

大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。