低位株とは?

上場している株式のうち、業績低迷などの理由で株価が低くなっている銘柄である低位株について詳しく解説します。

低位株とは?

低位株とは

低位株とは

低位株とは、株価水準が低い銘柄のことを言います。
具体的に、いくら以下が低位株なのかという明確な基準はありません。ただし、株価500円以下というような基準や、東証一部上場銘柄の株価ランキング下位20%といったルールなどがあり、全般の水準の変化に合わせ、その時での区切りを見直され相対的に区分されていることもあります。低位株に対する言葉として「値がさ株」があり、これは株価水準が高い株式のことです。

低位株と割安株の違い

低位株は一般的に、業績不振の会社の株や、発行済み株式数が多い大型株に多く見られます。株価に比べて割安である株式を指す「割安株」がありますが、割安株はその銘柄の利益、純資産に対して株価が低いものを言い、低位株とは異なるものです。
業績が悪い銘柄などのイメージがあるかもしれませんが、そこから業績が回復して株価が急激に上がる可能性があるなど、購入するメリットも考えられます。

低位株に該当しやすい企業

なお、低位株に該当しやすいのは、下記のような企業です。

業績が悪化している企業

業績が悪化している企業は、今後の収益の見込みも期待されていなかったり、倒産の可能性も高くなったりするため株価が低くなります。業績悪化の要因は何か、どのように改善して業績の向上を目指すかなど、決算短信(※)やホームページなどからトップの考え方などを参考にしてください。業績が回復する見込みがあると判断できれば、投資先として選定するのも良いでしょう。

(※)決算短信:企業の決算発表の内容をまとめた書類のこと

業績が安定した成熟しきった業種

業績が安定していても、その業種の市場自体が成熟しきっている状態だと業界全体の成長が期待できないこともあり、株価が低くなることがあります。ただし、その業種の市場の成長自体は頭打ちでも、その会社独自の商品などがあれば、さらなる成長も期待できるでしょう。
また、他業種への展開などにより成長することもあります。こうした企業は、業績が悪化して株価が低くなっているのではありません。倒産のリスクが高いわけではないため、今後の企業方針に着目しながら投資を検討してみましょう。

発行済み株式数が多い企業

発行済み株式数が多いと浮動株が多くなります。浮動株とは、発行されている株式の中で安定した株主に保有されておらず、市場に流通する可能性の高い株式のこと。一般の投資家などが市場で日々売買する株式のことです。
発行済み株式が多いということは、安定した株主に保有されない浮動株が多く、株価が大きく変動しやすいため株価が低くなることも多くなります。こういった浮動株が多いと、株価が低くなりやすくなるため低位株になりやすいでしょう。

超低位株の銘柄にも注意が必要

また、低位株よりさらに株価水準が低い「超低位株」という銘柄もあり、これは「ボロ株」とも呼ばれています。超低位株は低位株より倒産のリスクも高く、価値がゼロになってしまう可能性も高くなる点に注意してください。
しかし、業績の回復や商品のヒットがきっかけで急激に回復、高騰する場合もあります。株価が大きく成長する可能性もあり、低位株よりも大きな利益を狙うこともできる、ハイリスク・ハイリターンな銘柄と言えるでしょう。仮に倒産して株価がゼロになっても、分散投資することで倒産リスクを分散し、全体的に利益を狙うこともできます。

なお、低位株にはニュースで話題になったような不祥事を起こしていたり、経営方針の転換がうまくいかず業績が低迷し、低位株となったりした有名企業の銘柄などもあります。

低位株の特徴・購入するメリット

低位株の特徴・購入するメリット

低位株は、株価が低いため値動きが激しいという特徴があります。新商品の開発などがきっかけで業績が上がるなどの理由で急速に株価が回復・高騰することもあり、大幅な利益につながることもあります。
株価が低く最低購入価格も低いため、少額でも投資できる点も特徴です。そのため、少ない金額からでも分散投資を行いやすく、銘柄の選定次第では値がさ株では得られない大きな利益を得られる可能性もあります。また、株主優待や配当を受け取れる銘柄も少なくありません。

低位株には、何かの要因で一時的に業績が悪化しているものの、企業価値自体は決して低いものではなく、今後業績の回復が期待できる企業もあります。そんな銘柄を選ぶことができれば、株価の回復で売却益を狙う、また割安な金額で株主優待や配当を得られる銘柄を購入することができるでしょう

利益が小さい、もしくは赤字でも自己資本比率が高く、経営が安定している銘柄も存在しています。そういった企業については、倒産の可能性が低いでしょう。自己資本比率が高い、負債に対して資産が潤沢にあるということは、過去に利益を積み重ねてきたという実績でもあります。一時的に業績が低迷していても、今後の方針次第で業績の回復を期待できるかもしれません。

まずは、決算書を参考に業績や今後の経営方針などを確認しましょう。そして、複数の銘柄に分散投資することでリスク分散させる。さらに、株価の回復を狙うなど、企業分析を行いつつ、リスクをコントロールして選定してみると良いでしょう。
決算書の内容から自分なりに定めた基準を満たし、銘柄を選定していくことで失敗が少なく利益を狙っていけることは、低位株のメリットと言えそうです。

低位株の注意点・購入するデメリット

低位株の注意点・購入するデメリット

銘柄の見極めが重要

低位株には、株価が上がりにくい銘柄も多く、銘柄の見極めが必要です。
株価下落の原因が業績の悪化で、その理由が一時的なものであったり、それに対し適切な対策の方針を経営陣が持っていたりするのならば、今後業績の回復と株価上昇を期待することもできるでしょう。
しかし、そうでなければ業績の回復が期待できず、株価が上がらない銘柄も多くあります。そのため、特に基準を定めずにむやみに低位株に分散投資するのではなく、ご自身で定めた基準を満たし、成長が期待できる銘柄を選定することも大切です。

株価の成長が期待できるか

業種全体の市場が熟している場合には、その会社がどのように独自性を打ち出し、成熟した市場でも売り上げを伸ばしてこうとしているかも重要です。もし他業種に展開するのであれば、どのような強みや特徴を持っていこうとしているのか、これらの方針がなければ株価の成長も期待しにくいものです。

また、「なぜ株価が低くなり、どのような方針を掲げて対策しようとしているのか」といった点を読み取ることも必要です。今後の成長に期待を持てない銘柄の中には、株式の上場廃止や倒産などのリスクもあります。その場合は市場で取引することができず、個人で保有するには非現実的なものとなり、無価値になってしまうこともあります。

株価が下がる理由がどこかにある

株価が下がるにはそれなりの理由があることも考えられます。市場変化に経営陣の考え方が対応できていなかったり、その企業の慢性的な体質が原因で不祥事を起こしてしまったりするような場合も多く、株価が上がらない銘柄は少なくありません。決算短信などからその銘柄の業績をチェックし、その銘柄の経営状況や方針についてよく確認しておくことが必要です。

ただし、公開買付によって完全グループ会社化が予想される場合、上場廃止となる前に公開買付によって株価が上がる可能性もあります。低位株は一時的に株価が急騰した後に、元の株価水準に戻ることが少なくありません。そのため、売り時を逃して利益を得られないこともあります。どの程度まで上がったら売却するか、出口戦略を考えておくことも重要です。

理由もなく高騰する株は仕手株の可能性も

また、仕手筋が株価の高騰を狙い吊り上げているケースもあり、それに乗せられて株価を引き上げるために利用されてしまうこともあります。
仕手筋とは、特定の株銘柄に狙いをつけて大量の「買い」を入れ、上昇トレンドを発生させ意図的に株価を吊り上げようとする投資家グループのことを言います。
株価の高騰には多くの場合、その根拠となる理由があるものです。しかし、仕手筋が扱う株、「仕手株」にはそういった理由が見当たらずに高騰する傾向が見られます。

初心者などをターゲットとして急速に価格を上昇させることで、価格上昇に便乗させ、仕手筋は高値で売り抜いて利益を得るという手法を取ります。その手法も多様かつ複雑になっており、そういった判断が難しい個人投資家が増えている現在、このような被害も増えつつあります。
そのため、株価が急上昇している銘柄は、慌ててそのトレンドに乗らないようにしましょう。その理由は何なのかをしっかりチェックし、理由がわからない場合は投資しないことも必要です。

売り時のタイミングが難しい

低位株は、売り時のタイミングが難しかったり、倒産や上場廃止により価値を失ってしまったりする可能性もあります。銘柄の選定は慎重に行うことはもちろん、あらかじめ売却のルールを決めておくこともおすすめします。そのためにも、決算書や経営方針など、基本的な情報は最低限チェックするようにしましょう。

このように、株価の急騰が期待できる反面、注意しなければならない点もあります。その銘柄の情報をより注意深く調べ、倒産や上場廃止の可能性をチェックしながら銘柄を選定していくことも大切です。ただし、これらの情報は必ずしも確認できるものではありません。情報収集と合わせ、こうした事態が起きることも想定しながら、複数の銘柄に分散投資をしていきましょう。

まとめ

まとめ

低位株とは何か、その特徴、メリットやデメリットをお伝えしてきました。
低位株の中から株価が上がる銘柄をうまく選定できれば、少ない元手で大きな利益を狙うことが可能です。低位株に分散投資することで継続的に大きな収益を上げている個人投資家もいるため、個人投資家が株式投資で大きな利益を狙うためには有効な手段であるとも言えます。割安株や成長株に投資する時のように、自分が選定した銘柄の株価が上がった時には利益だけでなく喜びを得られることもでき、株式投資の楽しさを経験することもできるでしょう。

中には銘柄をどのように選べば良いかわからない、決算書の読み方がわからないという人もいるはずです。そうした場合は大きな金額を投資せず、仮にゼロになってもあまり痛手にならない金額程度に抑えておくと良いでしょう。
LINE証券には「いちかぶ」というサービスがあり、少額からでも個別銘柄への投資が可能です。そのため、複数の低位株に分散投資しやすくなっています。

まずは失っても大丈夫という程度の元手で、決算書を読むなど企業情報を調査しながら銘柄を選定し、低位株への投資を体験するのもいいでしょう。その中で、どのような点に注意すべきか、実体験から学んでいくことができるはずです。

低位株の銘柄選定は、特に企業情報やトップの考え方を読み取り考えることが重要です。投資の利益のみでなく投資の楽しみの幅が広がり、企業経営を理解することで実社会に役立つ能力を育てる練習にもなります。ご興味を持たれた方は、ここで解説した内容を参考にしながら、無理のない金額から低位株を活用した投資を始めてみてください。

監修者プロフィール:

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。