ローソク足の見方

テクニカル分析を行う上で基本になるローソク足について、その見方や使い方についてわかりやすくご説明します。

ローソク足の見方

ローソク足とは

FXや株式取引、暗号資産(仮想通貨)取引といった値動きのある商品は、個人投資家や機関投資家などの投資家によってリアルタイムで取引されているため、刻一刻と価格が変動します。このような値動きのある商品の動きを分析し、どのタイミングで売買をするかの判断をするためには、為替や株式などの値動きをわかりやすい形で見ることができれば便利です。

そこで、値動きをグラフで表す方法がいくつか考えられました。ローソク足は、その中でもっともよく使われるチャートです。なお、このローソク足は江戸時代に本間宗久という米商人によって考案されたといわれています。

ローソク足はその名前の通り、値動きをローソクのような形で表すのが特徴。始値と高値、安値、終値の4本値の値動きを、時系列に沿って表示したものです。ローソク足の1本1本は「足」と呼ばれることもあり、1日単位のローソク足を日足(ひあし)、1週間単位を週足(しゅうあし)、1ヶ月単位を月足(つきあし)と呼びます。過去の値動きと比較して現在の価格が割安か割高なのか、あるいは一定期間の値動きを一目で把握することが可能です。

ローソク足の基本

ローソク足の基本

ローソク足のチャートは、一定期間ごとの「四本値」を元にして描かれています。四本値とは、ある期間(週や日)などに付けたレートの中で、特に重要な以下4つのレートのこと。

始値:一定期間の取引開始時の値段
終値:一定期間の取引終了時の値段
高値:一定期間、もっとも高い取引が成立した値段
安値:一定期間、もっとも安く取引が成立した値段

ローソク足を使いこなすためには、この四本値についてしっかり理解することが重要です。個々のローソク足は実体とヒゲから構成されており、ヒゲは通常は上下にあって「上ヒゲ」「下ヒゲ」と呼びます。

ローソク足の用語

<実体>
実体とはローソク足の四角の部分を指し、始値と終値を表すもの。始値より終値が高い場合、実体の下の端が始値で上の端が終値を表し、このようなローソク足を「陽線」と呼びます。一方で始値より終値が安い場合、実体の上の端が始値で下の端が終値を表し、このようなローソク足が「陰線」と呼ばれるものです。

<上ヒゲ・下ヒゲ>
上ヒゲと下ヒゲの先端はそれぞれ高値・安値を表し、ヒゲが長いほど始値・終値と高値・安値との差が大きいことを意味します。

ここまで、ある1期間(1日や1週間など)に対応して1本のローソク足を書く方法についてご説明しました。この手順を繰り返して個々の期間のローソク足を描き、日時の古い順に左から右の順に並べていくと、ローソク足のチャートが出来上がります。

ローソク足の見方

ローソク足の見方
  • 小陽線(しょうようせん)…少し上昇した
  • 小陰線(しょういんせん)…少し下落した
  • 大陽線(だいようせん)…大きく上昇した
  • 大陰線(だいいんせん)…大きく下落した
  • 上影陽線(うわかげようせん)…一度大きく値が上がったものの、途中で下落に転じて、始値よりやや高く終わった
  • 上影陰線(うわかげいんせん)…一度大きく値が上がったものの、途中で下落に転じて始値よりやや安く終わった
  • 下影陽線(したかげようせん)…一度大きく値が下がったものの、途中で上昇に転じて、始値よりやや高く終わった
  • 下影陰線(したかげいんせん)…一度大きく値が下がったものの、途中で上昇に転じて、始値よりやや安く終わった
  • 十字線…上下したものの、始値と同じ価格で終わった

それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

小陽線と小陰線

小陽線と小陰線は、値動きが小幅な陽線・陰線です。株式相場や為替相場などのマーケットは、平常時はそんなに大きく値動きをしません。そのため、マーケットのほとんどの時間では、チャート上で小陽線と小陰線が占める割合が高くなります。特に1分足や5分足などの短い周期のチャートになるほど、小陽線や小陰線の割合が高くなるのが一般的です。

大陽線と大陰線

大陽線と大陰線は値動きが大きい陽線・陰線です。小陽線・小陰線と大陽線・大陰線の区別は、実のところ明確に決まっていません。見た目で大まかに小陽線・小陰線と大陽線・大陰線かどうかを判断します。
マーケットの値動きは穏やかになったり激しくなったりするので、荒い動きをローソク足で表すと大陽線や大陰線になるのです。この大陽線や大陰線は、トレンドが変わることを教えてくれる場合があるので非常に重要です。なぜなら、トレンドの転換点を知ることができれば大きな利益を出せますし、逆に大きな損失を抑えることができるからです。

チャートを見ていると、大陽線や大陰線が出たことがきっかけになって、その後の値動きが変わることがよくあります。特にしばらくレンジ相場が続いた場合、経済指標や経済ニュースなどの何らかのきっかけがあって大陽線や大陰線が出ると、その方向への値動きがしばらく続くことがよくあるでしょう。このことから、レンジ相場の後に大陽線が出れば買いからエントリーすることが考えられます。もし、この状況で売りのポジションを持っていれば、決済することを検討すべきでしょう。

一方、逆に大陰線が出れば、売りからエントリーすることが考えられます。このように、大陽線や大陰線を使うことによってエントリーや決済のタイミングを検討できますので、大陽線や大陰線が出たときは注意してください。

ただし、既にかなり上がっている状態でさらに大陽線が出たとき、あるいは逆にかなり下がっている状態で大陰線が出たときには、そこからさらに大きな動きにはなりにくいでしょう。そのため、このような状況になったときは、エントリーを見送ったほうが無難です。

上影陽線・上影陰線

陽線や陰線の中で上ヒゲが長いものを、上影陽線・上影陰線といいます。上影陽線・上影陰線は上昇から下落へと値動きが反転することを示唆する線になるので、とても重要な線です。また、上影陽線・上影陰線の中で下ヒゲがなく、かつ上ヒゲが実体より大幅に長いもののことを、形がトンカチに形が似ていることからそのままトンカチと呼ばれています。

下影陽線・下影陰線

上影陽線・上影陰線とは逆に、下ヒゲが長い陽線・陰線のことをそれぞれ下影陽線・下影陰線と呼びます。下影陽線・下影陰線も、下落から上昇へと値動きが反転することを示唆するので重要な線です。なお、下影陽線と下影陰線の中で上ヒゲがなく、かつ下ヒゲが実体より大幅に長いもののことをカラカサと呼びます。

上影陽線など上ヒゲか下ヒゲの長い線が出た際に、値動きの傾向が変わることが少なくありません。上ヒゲが長い線が出た場合、売りによってレートが押し戻されたことを意味します。特に、レートがしばらく上がった後で上ヒゲが長い線が出た場合は、これ以上は上がらないと思っている投資家が多いということ。このようなローソク足が出たら、その後にレートが下落する可能性が高いでしょう。買いポジションを持っていたなら、決済しておくべきだといえます。

逆に、レートがしばらく下がった後で下ヒゲが長い線が出た場合、それ以上はレートが下がりにくいことを意味します。したがって、その時点で売りポジションを持っていたなら、決済しておくべきだといえるでしょう。

十字線

始値と終値が同じで、実体部分が横棒になっている線のことを十字線といいます。日足や週足など周期が長めのチャートでは始値と終値が同じになることが稀少なため、あまり十字線は出ません。

チャートは複数の周期のチャートを組み合わせて使おう!

チャートは複数の周期のチャートを組み合わせて使おう!

チャートには日足や分足などの周期があります。1つの周期のチャートだけではなく、複数の周期のチャートを合わせてみることで、より良い判断を行えるでしょう。ここで、複数の収益のチャートを組み合わせる方法をご説明します。

取引方法に合ったチャートを見る

チャートを使ってエントリーと決済のタイミングを判断する際には、基本的には取引方法に合ったチャートを注視します。例えばデイトレードで、1日の間に何度もエントリーと決済を繰り返しているような取引方法の場合なら、1分足や5分足などの短い周期のチャートを見るようにしましょう。一方、数日程度の周期で売買を行うスイングトレードなどでは、時間足や日足を重視する必要があります。

取引方法と合わない周期のチャートを使っても、利益を得ることはできません。例えばデイトレードをする際に、日足のチャートだけを見ていては全くタイミングをつかむことができないでしょう。

ただし、取引方法に沿ったチャートを見るとともに、より長い周期や短い周期のチャートも併用して値動きの方向性を確認することはおすすめです。複数のチャートを併用することによって、より精度の高い分析が行えるでしょう。

長い周期のチャートから順に見ていく

複数のチャートを組み合わせて見る場合、まず長い周期のチャートで長期的な方向性をつかむようにしましょう。そして、短い周期のチャートを併用し、直近の方向性を見るようにします。周期が短いチャートになればなるほど値動きの方向性がつかみにくい傾向にあり、方向性が定かでない中で闇雲にエントリーするのは大きなリスクを伴うでしょう。例えばデイトレードの場合、最終的な売買の判断は、1分足や5分足などの短い周期のチャートを見て下すことになります。

ただし1分足5分足などの短いチャートだけではなく、まずは周期の長いチャート(1時間足や日足など)を見て大きな流れを確認。それから1分足などの短いチャートを見て取引することで大きな流れをつかめ、利益を上げられる確率が高くなるでしょう。

また、スイングトレードなどの比較的期間が長いトレード手法の場合でも、周期の長いチャート以外に短い周期のチャートを見るようにしてください。周期の長いチャートでは目下の動きがわかりません。何か事件などが発生して急激に値動きが変化するような場合は、短い周期のチャートを見ることが必要になるからです。

まとめ

まとめ

投資においてもっとも基本的なローソク足についてご説明しました。ローソク足は初めて見ると、何を表しているのか理解できない方が多いかもしれません。しかし、しっかり順を追って学んでいくと、非常に有効なものであることがわかります。瞬時に多くの情報をつかむことができるローソク足の理解を深めることで、FXや株式投資の勝率を上げることができるでしょう。

また、ローソク足はテクニカル分析の基本になります。これからテクニカル分析について勉強していく際は、必ずローソク足の知識が必要です。ここでご説明した内容を参考に、ローソク足について理解を深めてください。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。