証券取引所ってなに?

日本には東京証券取引所以外にも証券取引所があります。そこで今回は、証券取引所についてご説明します。

証券取引所ってなに?

証券取引所とは?

証券取引所とは?

証券取引所とは、株式などが集中的に売り買いされる専門の場所です。日本では東京と名古屋、札幌、福岡の全国に4ヶ所あります。証券取引所では、「取引参加者」と呼ばれる一定の資格を持った証券会社などの金融商品取引業者や登録金融機関を通じて、株式などが売買されています。

上場基準は市場によって異なる

証券取引所で売買されている株式などは、その証券取引所に上場されている銘柄だけです。そして上場とは、ある企業の発行する有価証券や、原油・穀物などの商品が取引所で売買可能になることです。
上場するためには証券取引所の承認が必要で、その上場基準は市場によって異なります。証券取引所によって上場基準は違いますし、東京証券取引所や名古屋証券取引所には第一部市場と第二部市場など上場区分と呼ばれるものがありますが、この上場区分ごとにも異なる基準を設けているのです。なお、もっとも厳しい審査基準となっているのが「第一部」になります。

東京証券取引所では第二部への新規上場に関して、新規事業を育成する目的で緩和された審査基準が設けられています。そのため、通常まずは第二部に上場して、上場から1年以上が経過後に発行済み株式数や株主数などが一定基準を満たせば、第一部に指定替えをすることが可能です。ただし、知名度が高く発行済み株式数も多い企業は、最初から第一部に上場されることもあります。

金融商品取引所とは?

2007年9月に施行された金融商品取引法では、証券取引所と金融先物取引所の規定が統合されました。証券取引所は「金融商品取引所」に名称変更され、2013年1月には東京証券取引所グループと大阪証券取引所の統合により日本取引所グループが発足。世界有数の規模を誇る取引所グループが誕生しています。

証券取引所の種類

証券取引所の種類

ご説明した通り、証券取引所は東京と名古屋、札幌、福岡にあります。それぞれの証券取引所によって特徴がありますので、種類別にご紹介しましょう。

東京証券取引所(東証)

日本でもっともメジャーな証券取引所であり、通称「東証」と呼ばれます。
東京証券取引所には4つの市場があり、それぞれの市場に特徴がありますので、しっかり理解するようにしましょう。

東証一部

まずは日本でもっとも取引量が多く、メジャーな市場である「東京証券取引所一部(東証一部)」について説明します。
東証一部には2021年8月20日現在、2,190が上場しています。東証一部に上場するには株主数が2200人以上、時価総額が250億円以上などさまざまな基準があり、これは日本の証券取引所の中でもっとも厳しい基準です。以下で東証一部に上場するための基準をまとめましたので、参考にしてください。

東証一部に上場するための基準

厳しい基準を通過しているため、まさに日本を代表する企業がずらりと並ぶ市場になっています。参考までに、東証一部に上場している企業の中で、時価総額が大きい企業を5社まとめました。

東証一部に上場している企業の中で、時価総額が大きい企業

トヨタ自動車(株)(7203)やソニーグループ(株)(6758)など、日本を代表する企業が時価総額の上位を占めています。

東証二部

東京証券取引所第二部は、通称「東証二部」と呼ばれます。東証一部に比べると上場基準は優しいですが、東証一部に次ぐ市場です。2021年8月20日現在、472社が東証二部に上場しています。東証二部の上場基準についてまとめましたので参考にしてください。

東証二部の上場基準

東証一部に比べると上場基準は緩いですが、それでも十分にハードルの高い市場と言えるでしょう。東証二部に上場している企業の中で、時価総額が大きい企業を5社まとめました。

東証二部に上場している企業の中で、時価総額が大きい企業

日本を代表する帝国ホテル(9708)が東証二部に上場されているのは、興味深く感じる方が多いかもしれません。帝国ホテルは1961年に上場しており、以後、一貫して東証二部に上場されている企業です。

マザーズ

マザーズは、新規産業や企業の育成のために創設された市場です。新興企業に対し、創業してから早い段階で証券市場を通じた資金調達の機会を提供することにより、企業の成長を支援するために設立されました。2021年8月20日現在、マザーズには379社が上場しています。以下に、マザーズの上場基準をまとめましたので参考にしてください。

マザーズの上場基準

東証一部・東証二部に比べると、だいぶ基準が緩いことがわかるでしょう。新興市場でも上場しやすい基準にすることによって、新興市場の育成を図っているのです。マザーズに上場している企業の中で、時価総額が大きい上位5社は以下となっています。

マザーズに上場している企業の中で、時価総額が大きい上位5社

フリマアプリで有名な(株)メルカリ(4385)が、マザーズの中でもっとも時価総額が大きい企業になっていす。メルカリは2013年に設立され、瞬く間に大きな成長を遂げた新興企業の代表的な企業と言ってよいでしょう。

JASDAQ

JASDAQもマザーズ同様、新興企業向けの市場です。ただしマザーズと違い、スタンダード市場とグロース市場の2部制で構成されています。ジャスダックは新興企業だけではなく、老舗企業も存在する市場です。

スタンダード市場は、一定の事業規模と実績を有している成長企業を対象としています。一方、グロース市場は特色のある技術やビジネスモデルを有し、成長可能性のある企業を対象とします。たとえ赤字であっても、成長可能性があれば上場できる可能性がある市場です。
2021年8月20日現在、スタンダード市場には658社、そしてグロース市場には37社が上場しています。JASDAQの上場基準についてもまとめましたので、以下を参考にしてください。

JASDAQの上場基準

JASDAQのグロース市場は、赤字であっても上場できます。そのため、スタンダード市場に比べるとハードルが低いのも特徴です。JASDAQに上場している企業の中で、時価総額が大きい企業を5社まとめましたので参考にご覧ください。

JASDAQに上場している企業の中で、時価総額が大きい企業

日本でも有名なファストフードの日本マクドナルドホールディングス(株)(2702)が、JASDAQの中でもっとも時価総額が大きい企業になります。

名古屋証券取引所(名証)

名古屋証券取引所(名証)

名古屋証券取引所は名証一部と名証二部、セントレックスの3市場に分かれています。このうち、セントレックスは新興企業向けの市場です。2021年8月20日時点でもっとも時価総額が大きい企業は、それぞれ名証一部がトヨタ自動車(株)(7203)、名証二部が(株)アトム(7412)、セントレックスは(株)ギガプライズ(3830)となっています。

名証一部にはトヨタ自動車以外にも三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)や信越化学工業(株)(4063)など、東証一部に上場している多くの企業が含まれます。なお、2021年8月20日現在で名証一部には190社、名証二部には74社、セントレックスには14社が上場しています。

札幌証券取引所(札証):本則市場、アンビシャス

札幌証券取引所(札証):本則市場、アンビシャス

札幌証券取引所には、2021年8月20日時点で56社が上場しており、そのうち14社は新興企業向けの市場であるアンビシャスです。札幌証券取引場には武田薬品工業(株)(4502)や三井物産(株)(8031)など、東証一部に上場している多くの企業が含まれます。アンビシャスには、ダイエットで有名なRIZAPグループ(株)(2928)などが上場しています。

福岡証券取引所(福証):本則市場、Q-Board

福岡証券取引所(福証):本則市場、Q-Board

福岡証券取引所には、2021年8月20日時点で107社が上場しています。そのうち、18社が上場しているのは新興企業向けの市場であるQ-Boardです。福岡証券取引所には札幌証券取引所と同じく、武田薬品工業(株)(4502)や三井物産(株)(8031)など東証一部に上場している多くの企業が含まれます。そしてQ-Boardには、不動産会社の(株)ハウスフリーダム(8996)などが上場しています。

証券取引所の開場時間

証券取引所の開場時間

各証券取引所は、売買取引ができる時間が以下のように決められています。

  • 東証:9時~11時半、12時半~15時
  • 東証以外:9時~11時半、12時半~15時半

午前中を前場、午後を後場と呼びます。東証と東証以外で、取引時間が異なる点に注意してください。また、条件はあるものの、PTS取引などで開場時間以外でも株の売買は可能です。開場は平日のみで、祝日・年末年始は休場しています。

まとめ

証券取引所についてご説明しました。日本の証券取引所と言えば、東京証券取引所を思い浮かべる方は多いでしょう。しかし、日本には東京証券取引所以外にも名古屋や札幌、福岡にも証券取引所があります。また、東京証券取引所と言っても、個人投資家が売買できる東京証券取引所は4つの市場に分かれているのです。それぞれの市場によって特徴がありますので、市場の特徴についてしっかり理解しておきましょう。

監修者プロフィール:

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール> 大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えることをモットーに活動中。