投資とはどういうもの?初心者におすすめの方法は?

初心者でも始めやすい代表的な金融商品も取り上げながら、投資に関する基本的な知識について解説します。

投資とはどういうもの?初心者におすすめの方法は?

昨今は、多くの方が資産運用を行うようになりました。給料が上がりにくく、公的年金だけでは豊かな老後を過ごすことが難しいなどの背景から、資産運用でお金を増やす必要性はかつてないほど高まっています。しかし「投資とは?」と質問されたとき、その意味を十分に理解できている方は少ないかもしれません。また、資産運用を行うための金融商品にはたくさんの種類がありますが、どの金融商品が自分に合っているか分からない方もいるでしょう。そこで、今回は投資に関する基本的な知識について解説します。初心者でも始めやすい代表的な金融商品も取り上げますので、参考にご覧ください。

投資とは?

投資とは?

投資とは、利益を見込んで自己資金を投じること。投資する対象によって、利益の出しやすさやリスクが異なります。投資と聞くと、リスクがあって怖いものだと感じる方がいるかもしれません。しかし実際のところ、投資のリスクは怖いものではなく、値幅の大きさのことです。投資対象によって想定される値幅は異なりますので、ご自身に合った金融商品を選べば決して投資は怖いものではありません。

また、投資と似たような言葉に投機というものがあります。投資は、会社の価値や将来性など長期的な視点で資金を投入する行為。投機は、短期的な価格変動の観点から利益を得ようとするものです。投機の場合、短期間でももちろん大きな利益を上げられる可能性はありますが、安定的に利益を上げ続けることはできません。長期的に投資を行うほど価格が安定し、配当などを受け取ることもできるため、安定的に利益を上げられるのです。

さらに投機では、機関投資家などプロが巨額の資金を使って行っています。そのため、短期間で大きな損失を被ってしまう可能性がありますので、投機は短期間ではなく長期間で行うようにしてください。

投資の種類

投資の種類

資産運用を行うための金融商品には、たくさんの種類があります。それぞれ金融商品の特徴について理解していなければ、資産運用で利益を出すことは難しいでしょう。ここでは代表的な金融商品を、9つ取り上げてご紹介します。

銀行預金(円)

銀行預金(円)はもっとも身近な資産運用の方法でしょう。中には疑問に思われる方がいるかもしれませんが、銀行預金も立派な資産運用の1つです。現在、大手都市銀行における1年間の定期預金の金利は0.002%ほど。100万円を1年間の定期預金にしていても、利息は20円(税引前)しか受け取ることができません。

しかし1990年代初頭、1年間の定期預金の金利は6%を超えていました。金利が6%で複利運用をすると、12年間でお金は約2倍に増えます。このように金利が高ければ、銀行預金も立派な資産運用の方法の1つなのです。

外貨預金

外貨預金とは、日本円からアメリカドルやユーロなどの外貨に換えて行う資産運用です。外貨預金で得られる利益は2つあり、1つ目は為替差益になります。為替差益とは為替レートの変動によって得ることができる利益のこと。例えば1ドル100円のときに10万円を米ドルに換えると1,000ドルになりますが、この1,000ドルを1ドル101円のタイミングで円に戻せば、101,000円になって1,000円の利益を得られます。

そして、外貨預金で得られる利益の2つ目は金利収入です。日本円に比べ、米ドルやユーロなどの外貨は金利が高い傾向にあります。そのため、日本円の銀行預金よりも高い利息を受け取ることができるでしょう。このように、為替差益と高い金利を目的に行うのが外貨預金です。

投資信託

投資信託とは、投資家から集めた資金をプロの投資家であるファンドマネージャーが、債券や株式に投資をして利益を狙う金融商品。少ない金額から投資することができます。プロのファンドマネージャーが運用してくれるので、金融や経済に関する知識があまりなくても行える金融商品といえるでしょう。そのため、投資信託は投資初心者にもおすすめの金融商品です。

一般的に投資信託は、株式や債券などさまざまなアセット(資産)に投資を行います。そのため、簡単に分散投資を行うことが可能です。投資の基本は長期分散投資。長い期間、値動きが違うさまざまなアセットに投資をすることによって値動きが安定し、結果的に大きな利益を得ることができます。この長期分散投資を簡単に行える点は、投資信託の大きなメリットでしょう。

株式

株式投資は、数ある金融商品の中でもっともポピュラーな金融商品でしょう。株式投資とは企業が発行する株式を購入し、配当金や売却によって利益を得る投資。最近は株主優待を実施している企業が増えており、これも株式投資で得られる利益の1つです。
株主優待とは、株式を買ってくれた投資家に食品や地域の特産物などをプレゼントしてくれる制度のこと。自分好みの株主優待を実施している企業に投資するのも、株式投資の魅力の1つといえるでしょう。

国債

国債とは、国が発行する債券です。償還期限まで保有すると、債券に記載された「額面金額」が償還されます。個人投資家が国債で運用をする場合は「個人向け国債」を利用することが一般的です。個人向け国債には満期が3年・5年・10年の3つあり、3年と5年の個人向け国債は固定金利、10年の個人向け国債は変動金利になっています。個人向け国債は、現在の金利が0.05%ほどで決して高くありません。ただし、銀行預金よりは金利が高いことが特徴といえるでしょう。

また、個人向け国債は1年以上にわたり保有すれば、基本的に元本を毀損せず解約することもできます。国が破綻しない限り元本は保証されますので、投資初心者におすすめの金融商品です。

REIT

REITは一般的に「不動産投資信託」と呼ばれ、投資家から集めた資金を、専門家がビルやマンションなどの不動産に投資する金融商品です。不動産投資を個人で行うには多額の資金が必要ですが、REITを利用すれば少ない資金から不動産投資を行えます。

このREITで得ることができる利益は、売却益と配当収入です。不動産は家賃収入がありますので、REITは高い配当を期待することができます。

暗号資産(仮想通貨)

仮想通貨は電子データのみでやり取りがされ、インターネット上での取引でのみ用いられる通貨のこと。仮想通貨の代表格であるビットコインが、2021年2月に1ビットコイン600万円を超えて大きな話題になりました。2020年の1年間でビットコインは6倍以上に上昇しており、短期間でも大きな利益を狙える可能性がある金融商品です。ただし、ビットコインなどの仮想通貨は非常に値動きが激しいため、投資する際は十分に注意してください。

不動産投資

不動産投資はマンションや一軒家を購入し、運用することで利益を狙う投資です。不動産投資を行うには多額の資金が必要ですが、その分だけ大きな利益を狙えることが特徴。この不動産投資で得られる利益は、家賃収入と売却益です。特に家賃収入は安定的に入る収入になるため、老後資金の補完などに利用する人が増えています。

FX

FXは外国為替証拠金取引のこと。外貨預金と同様、米ドルやユーロなどの海外通貨を使って運用する金融商品です。FXには、レバレッジという外貨預金にはない特徴があります。レバレッジは“てこの原理”のことで、手元資金の数倍の取引ができる仕組みです。このレバレッジ機能があるので、FXは投資資金が少なくても大きな利益を狙うことができるでしょう。

しかしその反面、大きな損失を被ってしまう可能性がある金融商品でもあります。FXを行う際は高いレバレッジをかけて短期で大きな利益を狙うのではなく、無理をせず安定的に長期で利益を狙うようにしてください。

投資のメリット

投資のメリット

代表的な金融商品と、その特徴についてご説明しました。続いて、投資を行うことで得られる全体的なメリットについて確認していきましょう。

資産価値を守ることができる

投資を行うと資産価値を守ることができます。なぜなら、インフレが起こると物価が上昇し、お金の価値が減少してしまうからです。例えば物価が年率2%上昇する場合、単利計算でも5年間で10%物価が上昇することになります。現金で資産を保有していると、この物価上昇率についていくことができず、相対的に資産は減ってしまうことも。しかし投資によって資産を増やすことができれば、インフレになっても資産価値を減らさずに済みます。

資産運用に否定的な方の中には、銀行預金がもっとも安心だと思われていることが多いかもしれません。しかしインフレになると、銀行預金では相対的に資産価値を減らしてしまうことになります。そのため、ぜひ積極的に資産運用を検討してみてください。

資産を増やすことができる

資産運用を行うことによって、お金を増やすことができます。当然のことと思われるかもしれませんが、これは非常に重要なことです。なぜなら、人生にはさまざまなライフイベントがあるからです。特に「結婚」「住宅購入」「老後の生活」は、人生の3大ライフイベントといわれています。こうしたライフイベントを楽しくこなすためには、どうしてもお金が必要でしょう。計画的にお金を貯めていなければ、ライフイベントを楽しく過ごせません。

さらに3大ライフイベントの他にも、人生にはさまざまな出来事が待っています。それらに備えて自己資産を用意できることは、資産運用の大きなメリットでしょう。

効率的に運用できる

超低金利時代が続き、現在、銀行預金や郵便貯金だけではお金を効率的に増やせません。資産運用には資産を減らしてしまうリスクがあるものの、長期分散投資を行えば、資産運用でお金が大きく減る可能性は低いでしょう。銀行預金でほとんど増えることのないお金を効率的に増やせる点は、資産運用の大きなメリットになります。

投資のリスク/デメリット

投資のリスク/デメリット

投資にはメリットがある反面、リスクやデメリットがあります。具体的に2点を挙げてご説明しますので、しっかり頭に入れておいてください。

元金を下回る可能性がある

投資は決して元本保証ではありません。株式や投資信託、外貨預金などさまざまな金融商品がありますが、いずれも元金を下回ってしまう可能性は決してゼロではないのです。これを元本割れと呼びますが、投資における大きなデメリットとなるでしょう。

投資する商品によってリスクの大きさや利回りが違う

投資する金融商品によって、リスクの大きさや利回りはまったく異なります。安定的にお金を増やしたい方がリスクの高い金融商品に手を出してしまうと、大きく資産運用の計画が狂ってしまうでしょう。ご自身の投資目的に合わせ、商品ごとの利回りとリスクを考えて投資することが必要です。
そして、投資目的に合わせて金融商品を選ぶためにはある程度の知識が求められます。特に投資初心者にとって、これも1つのデメリットになるかもしれません。

まとめ

まとめ

投資とはどういうものなのか、詳しく解説しました。近年、資産運用ブームが起きています。しっかり投資に関する知識を身に付けていれば、資産運用は決して怖いものではありません。金融商品によって、リスクの大きさや狙える利回り等に大きな違いがあります。投資する際には金融商品ごとの特徴を十分に理解し、自分に合った金融商品を選びましょう。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。