投資信託の種類が知りたい!

様々な種類がある投資信託。この記事では、具体的にどのような種類があるのか解説します。

投資信託の種類が知りたい!

投資信託とは

投資信託とは

投資信託とは複数の投資家から集めた資金を1つの大きな資金とし、運用のプロが複数の株式や債券等といった資産に投資して、運用益を投資家に返す金融商品のことを言います。一般的に複数の投資先に投資をする場合には、ある程度まとまったお金が必要です。しかし、投資信託の仕組みを使うことで多くの投資家から少しずつお金を集め、これをまとまった資金にして複数の投資先に分散投資できます。

投資先は株式・債券などの資産やデリバティブ取引を用いた商品など多様なものがあり、それぞれの投資信託の運用方針に基づき専門家が運用しています。分類の方法は様々ですが、「投資信託説明書(交付目論見書)」などに情報が記載されています。

あくまで投資ですので、元本は保証されません。しかし、複数の銘柄に分散することでリスクを抑えた投資が行えます。ファンドと呼ばれることもありますが、投資信託はファンドの一部であり、必ず行政の指導管理下にあります。

投資信託の区分

投資信託の区分

投資信託には、「公社債投資信託」や「REIT」といった種類があります。

公社債投資信託

株式を一切組み入れず、国債や社債など債券(公社債)を中心に運用する投資信託のことです。約款上、投資対象に株式を一切組み入れないこととして、公社債(債券)などで運用する証券投資信託のことを示します。

投資対象に少しでも株式を組み入れていたり、株式を組み入れることができる旨が投資信託約款に記載されていたりする投資信託は、公社債投資信託として募集することはできません。逆に株式を全く組み入れていなくても、約款で株式を投資対象としていたら株式投資信託と分類されます。

REIT

REITは「Real Estate Investment Trust」の略です。不動産を投資対象とし、複数の投資家から集めた資金で投資のプロが不動産を購入して、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する投資信託のことを言います。簡単に言えば、REITを買うことにより複数の不動産物件を所有し、家賃収入を得ることができるというイメージです。

不動産投資を行うには、大きなまとまったお金が必要です。しかし、REITは少額でも買うことができ、投資家は購入した口数に応じて不動産投資の利益を受けられます。日本の市場で取り扱っているものは「J-REIT」と呼び、これは日本の不動産を投資対象としたものです。これに対して、外国の不動産を投資対象とするものを外国REITと言い、米国のREIT、先進国のREIT等、日本以外の不動産にも投資することができます。

このように、様々な投資先の投資信託を選ぶことが可能です。投資先によって異なる値動きをしますので、これらを組み合わせることでリスクを低減することもできます。

追加型と単位型

投資信託はさらに購入できるタイミングによって、「追加型(ユニット型)」と「単位型(オープン型)」に分けられます。追加型(ユニット型)はオープン型投資信託やオープンファンドとも呼ばれ、運用開始後も購入できる投資信託(ファンド)です。契約型投資信託の一種で、単位型投資信託とは異なり、いつでも日々の基準価額をもとに自由に売買(取引)ができます。そのため、投資家は自分の相場観でタイミングを見ながら取引することが可能です。

単位型投資信託(単位型投信)はユニット型投資信託やクローズ型投資信託とも呼ばれ、ファンドの購入が設定前の募集期間だけに限られ、設定後は償還まで資金の途中追加ができない投資信託を言います。投資信託の運用が始まる前の当初募集期間中のみ購入できるものです。

その他の分類の仕方

その他の分類の仕方

投資信託は運用方法によっても、主にインデックス型とアクティブ型に分けられます。

インデックス型

日経平均株価やTOPIXなどのインデックス(株価指数)と連動した投資効果を目指す投資信託のことです。例えば、日経平均株価に連動する日経225のインデックス型の投資信託を購入することで、225社に分散投資しているのと同様の効果を得ることができます。その他にもアメリカや先進国、新興国の株式や債券等のインデックスに連動するものもあります。

アクティブ型

インデックス型がインデックスを構成する銘柄すべてに投資するのに対し、ファンドマネージャーが投資銘柄を絞ることで、インデックスを上回る成果を目指す投資信託がアクティブファンドです。インデックスファンドと比較して、リスクとリターンが大きいと言われています。購入時手数料や運用管理費用(信託報酬)がインデックス型と比べ高いのが一般的ですが、中にはインデックス型を大きく上回る運用実績の商品もあります。

また、投資信託で受け取れる分配金を決算の都度受け取るタイプと、分配金を受け取らずに再投資されるタイプがあります。分配金は株式の配当金に似たもので、運用の成果によって得られた利益を投資家に配分するものです。分配金が支払われるタイプの方がお得なように思えるかもしれません。しかし、分配金が支払われないタイプは元本に組み込まれて複利効果で価格が上がるため、長期保有では分配金が支払われない方が有利と言えるでしょう。しかし、長期的な利益よりも分配金を定期的に受け取りながら運用したい場合には、毎月分配型等の分配金が支払われるタイプが向いています。

投資信託で選べる投資対象は国内株式や外国株式、国内債券や外国債券、新興国の株式や債券、REIT(不動産投資信託)、複数の投資対象を組み合わせたバランス型ファンド等、投資対象が多様です。自分が許容できるリスクや考え方に合わせて、様々な商品を選ぶことができます。

MMF、MRF、ETF

この他に、MMFやMRFというものもあります。

MMFは「マネー・マネジメント・ファンド」の略で、国内外の公社債や短期の安全性の高い金融商品を中心に運用する公社債投資信託です。投資信託ですので元本割れする可能性はありますが、安全性が高い公社債を対象としているため低リスクの商品となります。

そしてMRFとは「マネー・リザーブ・ファンド」の略で、安全性の高い国内外の公社債や短期の金融商品を中心に運用する公社債投資信託です。MMFと似ているものですが、MRFはMMFよりもさらに短期の運用を行っています。

また、ETFとは「上場投資信託(Exchange Traded Funds)のことで、投資信託のように少額から分散投資できる仕組みがありながら、常に変動する日経平均株価などの市場価格へリアルタイムに投資できる上場株式のような取引が可能です。

複数の銘柄で構成されているため、1つの商品に投資するだけで分散投資できます。さらに通常の投資信託とは違い、上場株式のように日経平均株価やTOPIXの値動きにリアルタイムに投資できる、投資信託と上場株式の特徴を併せ持った商品です。例えば日経225のETFを購入すれば、日経平均株価を構成する225銘柄すべてに投資すると同様の効果があり、少額から多数の企業や複数の業種に分散投資することが可能です。

ブル型、ベア型

その他に、ブル型、ベア型といった投資信託も存在します。これは先物・オプション取引等を利用し、指数の動きに対して同じ方向(ブル型ファンド)、または逆の方向(ベア型ファンド)への連動を目指す運用を行う投資信託です。

例えば、「日本株4.3倍ブル」という商品名の投資信託であれば、日経225やTOPIXなどのベンチマークの値動きの4.3倍の値動きになることを意味します。これは、上昇が見込まれる相場においてさらなる利益を得たい場合に、先物・オプション取引などを利用してレバレッジを効かせます。そして、その値動きを増幅させ、より高いリターンを狙うのです。

一方、「日本株3倍ベア」という商品名の投資信託であれば、下落相場においてその下落幅を3倍に増幅させ、相場の下落を利益に変えられる商品ということになります。ベア型の商品は主に下落が見込まれる相場でも利益を得るために活用され、信用取引の「空売り」と同様の効果が得られるものです。日本株だけでなく米国株や先進国株の指標、新興国株など、様々な種類のブルベアファンドがあります。

まとめ

まとめ

投資信託は少ない資金から複数の会社に分散投資できる優れた金融商品です。現在では100円からでも日本の大企業や債券、世界中にある多くの会社の株式や債券を購入でき、長期の資産形成や資産運用に適しています。投資であるため損失が発生することもありますが、この記事でご紹介したような投資先に分散投資することで、様々なケースの物価上昇による資産価値の目減りを防ぐことが可能です。

また、株式や債券、REITなど複数の資産に分散投資してプロが資産の配分を自動的に調整してくれるバランス型ファンドや、複数の資産に対して分散投資できる商品もあります。これらを活用すれば、手軽に複数の種類の投資先に対し分散投資を行うことができるでしょう。昨今ではiDeCoやつみたてNISAが話題となっていますが、これらの制度を利用して投資信託を購入することもできます。

生命保険会社でも資産形成を目的とした商品の魅力が低金利の影響で薄れ、代わりに変額保険など投資信託を利用した生命保険商品も登場しています。投資信託の仕組みを知り、種類を知ることで、そういった生命保険商品の判断・運用を行う際の投資先選びにも役立つでしょう。ご自身の目的に合わせ、どの種類の投資信託を使うかを考える際の参考にしてみてください。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。