エリオット波動って何?

2021年9月14日

 

株価などを予想するのに多くの投資家が利用している、エリオット波動について解説します。

エリオット波動とは

エリオット波動とは、米国の経済哲学者であるラルフ・ネルソン・エリオット氏が確立した分析理論です。相場にはパターンがあり、一定のサイクルを繰り返しながら動いていくという考え方に基づいて作られた理論です。エリオット波動は再現性が高いため、多くのトレーダーが相場の方向感を予測するために用いています。

 

投資の世界には多様な理論がありますが、中には難解で再現性が低いものもあります。その点、エリオット波動は決して難しくありませんし、かつ再現性も高い理論です。エリオット波動についてしっかり理解できれば、株式投資やFXなどで利益を上げられる可能性が高まるでしょう。

エリオット波動の考え方

エリオット波動の基本的な考え方は、「値動きの1つの周期は5つの上昇波と3つの下降波で構成される」というもの。前半の上昇局面が5つの波に分かれ、後半の下落局面が3つの波に分かれると考えます。

上昇局面の5つの波は、以下のように分けて考えるとわかりやすいでしょう。

 

・第1波:底から上昇し始める局面

・第2波:第1波に対する押し目

・第3波:第1波と第2波でレートが底打ちしたことを確認して、本格的な上昇になる局面

・第4波:第3波に対する押し目

・第5波:天井に向かう最後の上昇局面

 

これら5つの波の中では、第3波がもっとも大きい上昇になると考えられています。そのため、第3波を狙うのがエリオット波動を利用した取引手法の王道と言えるでしょう。

 

基本は上昇が5波来た後、下降が3波来て相場が構成されているとの考えから成り立っている理論です。具体的には、上昇相場は「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」という5つの連続した波動から成り立ち、その後には「下げ→上げ→下げ」という3つの波動による下降調整相場が続くというものです。基本の波の形で長短さまざまな周期があり、大きい波の中に小さい波が組み込まれています。

エリオット波動は相場分析の上で非常に有用な理論ですが、当然ながら欠点もあります。そのうち、もっとも大きな欠点がエクステンションです。エクステンションは「伸びる」という意味で、波の周期が伸びること、あるいは波の数が違うなど基本形から崩れる場合があります。エリオット波動のエクステンションとは、波の1つが理論どおりに終わらず、延長されるという意味です。

エリオット波動はこのエクステンションと呼ばれる事象が起こるため、完璧な理論ではありません。しかし、株価や為替レートを読むのに役に立ちますので、しっかり理解しておきましょう。

フィボナッチ数が現れる

エリオット波動論では、節目から次の節目までの値幅にフィボナッチ数が現れやすいという特徴があります。フィボナッチ数とは、イタリアの数学者であるレオナルド・フィボナッチの名前から取られた、数の並びのことです。以下のような決まりで数の並びを作ります。

 

1)1番目と2番目は1

2)3番目以降は、1つ前と2つ前の数を足した値

 

実際にこの決まりに従って数の並びを作ると、以下のようになります。

 

1、1、2、3、5、8、13、21、34…

 

フィボナッチ数では並びの中の1つの数と、その1つ前の数との比が黄金比と呼ばれる比率に近づいていくという性質があります。黄金比は1対約1.618の比率です。この黄金比は人間が自然に好む形であると言われており、黄金比を知ることによって為替相場や株式相場の予想に役立てられます。

 

為替相場や株式相場の動きも多くの人間の思惑によって決まるものであり、ある意味自然現象と言えなくもありません。そこで、フィボナッチ数をテクニカル分析にあてはめた手法がいくつか考えられています。では、エリオット波動に現れるフィボナッチ数について見ていきましょう。

 

押し目/戻りの幅

レートが上昇してから一旦下落して押し目をつける場合、最初の上昇幅と押し目の下落幅の比率にフィボナッチ数に関係する比率(0.6188 0.382など)がよく出るとされています。

同様に、下落してから一旦上昇する場合も下落幅と上昇幅の間に、フィボナッチ数に関係する比率が出ることが多いとされているのです。なお、押し目/戻りの幅としては、フィボナッチ数だけでなく半値押しや半値戻しもよく使われています。

エリオット波動のメリット

エリオット波動には、主に以下のような4つのメリットが挙げられます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

 

長短それぞれの周期があるため、時間軸を問わず分析できる

エリオット波動は長い周期と短い周期それぞれの周期があるため、時間軸を問わず分析できるという特徴があります。なぜなら、どんな時間足でも波が上下しながら相場を形成しているからです。

 

投資家の多くは、自分好みの時間足で取引する傾向にあります。自分好みの時間足でエリオット波動が使えなければ、一部の投資家しかエリオット波動の恩恵が受けられません。時間足の種類に関係なく取引できるのは、エリオット波動の大きなメリットでしょう。

 

相場の流れを見ることができる

エリオット波動を利用することによって相場の流れを見られます。前述の通りエリオット波動の基本的な考え方は、「値動きの1つの周期は5つの上昇波と3つの下降波で構成される」というもの。前半の上昇局面が5つの波に分かれ、後半の下落局面が3つの波に分かれると考えます。

 

もちろん、エリオット波動は百発百中ではありません。しかし、エリオット波動を知っていることによって、相場の大きな流れの把握が可能です。そして相場の流れを知ることは、FXや株式投資での勝率を飛躍的に上げることにつながるでしょう。

なぜなら株式相場や為替相場において、相場の流れに乗るのは非常に重要だからです。うまく相場の流れに乗れれば、利益を上げられる可能性は高まります。相場の流れが把握できるエリオット波動は、株式投資やFXで勝つためにとても重要な理論であると言えるでしょう。

 

トレンドの方向性や転換点の予測ができる

エリオット波動を利用することによって、トレンドの方向性やどのくらいトレンドが続くのかを予想できます。トレンドの転換点を予想できれば、利益確定や損切りを迷わず行えるでしょう。

 

株式投資やFXで利益を上げるためには、利益確定や損切りをしっかり行う必要があります。特に損切りは人間の本能に逆らった行為になるので、本能に従っているとなかなか損切りを行えません。頭では損切りしなければいけないとわかっているのに、本能で損切りを否定してしまう。そのため、どんなに損切りを行おうと思っても、明確な根拠がなければなかなか行えないのが損切りです。

 

しかし、エリオット波動による理論的なトレンドの方向性を知ることができれば、迷わず損切りを行えるでしょう。適切な損切りを行えれば、株式投資やFXで勝つ確率は飛躍的に上昇しますので、エリオット波動のメリットが非常に大きいのです。

 

さまざまな金融商品で利用ができる

エリオット波動は、さまざまな金融商品で利用できます。株式取引はもちろんFX取引でも利用できますし、暗号資産(仮想通貨)取引でも利用可能です。また、金融商品が違ってもエリオット波動の理論は同じなので、一度、エリオット波動についての使い方を覚えればさまざまな金融商品に応用できます。限られた1つの金融商品だけではなく、多くの金融商品に応用できるのは、エリオット波動を使う大きなメリットと言えるでしょう。

エリオット波動のデメリット

エリオット波動の主なデメリットは、3つに集約されます。実際に利用する前に、しっかり理解するようにしましょう。

 

あくまで理論であり客観的な根拠に乏しい

エリオット波動はあくまで理論であり、客観的な根拠があるわけではありません。エリオット波動ではエクステンションが起きますし、理論どおり波が動かないことはざらにあります。もちろん、何の根拠もなく作られた理論ではないので、エリオット波動の正確性は高いと言えます。とはいえ、決して100%信用できるものではないのです。客観的な根拠に乏しいことは、エリオット波動の大きなデメリットと言えるでしょう。

 

見方が複数ある

これはエリオット波動だけに限ったことではありませんが、見方が複数あるのはエリオット波動の大きなデメリットでしょう。人によってさまざまな見方ができるので、100%正しい予測はできません。しかし、エリオット波動の利用によって予想の精度は上げられます。

 

エリオット波動に関するマイナスの意見があるのは事実ですが、うまく使いこなし、そしてそもそも百発百中ではないと理解しておけば、エリオット波動はかなり有益なものです。エリオット波動に限らず、株式投資やFX投資で勝つためには、過度に1つの理論を信じるのはやめましょう。さまざまな見方ができるのは、当然のことだと割り切って使うことが重要です。

 

他のテクニカル分析と合わせる必要がある

エリオット波動を使う際は、色んなテクニカル分析と組み合わせる必要があります。特に相性が良いのが、先ほど取り上げたフィボナッチ数との組み合わせです。フィボナッチ数と組み合わせることによって、エリオット波動の分析の精度を上げられます。そのため、フィボナッチ数についても十分に理解しておきましょう。

まとめ

エリオット波動について詳しくご説明しました。エリオット波動は相場にパターンがあり、一定のサイクルを繰り返しながら動いていくという考え方に基づいて作られた理論です。エリオット波動を使いこなせるようになれば、トレンドの流れや転換点を予測できるようになるでしょう。また、フィボナッチ数などのテクニカル分析と合わせることによって、エリオット波動を使った予想の精度を上げられます。

 

エリオット波動は、投資の世界ではとても有名で、実際に多くの投資家が利用している投資理論です。もちろん、人によって合う合わないはあるでしょう。しかし、それでもエリオット波動の理論そのものを知らないことは、投資を行うにあたって大きなデメリットになるでしょう。ここで取り上げた内容を参考に、エリオット波動を用いたトレードを実際に行ってみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール:

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。
<プロフィール>

大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。