小型株とは?


小型株とは何を表し、どのような銘柄のことを言うのか。また、メリットやデメリットなどについて解説します。

小型株とは

小型株とは?

小型株とは?

流動性が低い銘柄

小型株とは、時価総額ならびに流動性が低い銘柄のことです。株式は時価総額と流動性によって、大型・中型・小型に分けられます。

東京証券取引所・1部上場銘柄の場合、時価総額(株価×発行済み株式数)と流動性が高い上位100銘柄を「大型株」、次いで上位400銘柄を「中型株」、そしてそれ以外を「小型株」と定義し、東京証券取引所では年に1回銘柄の入れ替えを実施しています。
国内株式の9割が小型株と言われており、小型株は大型株に比べて発行株式数が少なく流動性が低いことから、一度注目が集まると価格の変動が大きくなる点が特徴です。

人気・不人気の差が大きい

2部上場銘柄や東証マザーズの銘柄なども、基本的には小型株に分類されています。小型株は数が多く、人気・不人気の差が大きいことが特徴と言えるでしょう。同じ小型株の中でも、目立つ人気の銘柄もあれば目立たなくて不人気の銘柄もあります。ただし、そんな目立たなくて不人気な銘柄の中にも、大きな成長が期待できる企業は少なくありません。

お買い得な銘柄が隠れている可能性

国内株式の9割が小型株で、大型株や中型株は機関投資家にも注目されています。しかし、小型株の中には、見過ごされている銘柄もあるのです。大きな成長が期待できる銘柄、業績好調なのに割安な銘柄など、お買い得な銘柄が隠れている可能性があります。それらを見つけるのが、小型株の面白みの1つです。小型株とは何かを理解し、投資の面白みを知るために特徴やポイントについて理解しておきましょう。

小型株に投資するメリット

小型株に投資するメリット

時価総額下位の小型株は、上位と比べて全体的に株価が低くなっています。10万円までの少額運用ができる株も、小型株には少なくありません。事業規模が小さく将来性が高い企業が多いことは、小型株ならではの特徴です。

大型株は大手企業が多く、安定している代わりに大きな成長がしにくいものです。小型株には大手のような安定性はないものの、大きな成長も期待できるため株価が2~3倍に上がることもあります。
まだ注目の集まっていない有望な小型株に目をつければ、将来的に株価の大きな値上がりが期待できるでしょう。こうした株を「大化け株」と呼び、大型株にはない大化け株を狙っていけることは小型株の大きなメリットです。

小型株は、相場と異なる動きをすることもあり、株式市場が低調な時は大型株も軒並み低調になります。しかし、小型株はその影響を受けにくく、全体の株価が下落傾向の時も銘柄によっては上昇するケースもあります。

小型株に投資するデメリット

小型株に投資するデメリット

先述の通り、小型株の特徴の1つに流動性が低いことが挙げられます。流動性が低いとは、売りたい時にすぐに売れない可能性があるということです。
具体的には、保有している小型株を売却したい場合に希望する価格で売却することができず、希望価格よりかなり売価を下げなくては買い手がつかなくなるケースが想定されるでしょう。
購入する際は隠れた大化け株を狙うことができる反面、売却する際にはこのようなデメリットがあります。そのため、長い目で見て成長を見ることができるよう、長期的な視点で投資することが望ましいでしょう。

また、値動きが激しいという特徴もあります。小型株は時価総額が小さいため、取引株数の影響を受けやすいのです。例えば、新商品の開発など、何かのきっかけで投資家から注目を集めて株価が急激に上昇したり、まとまった売り注文が入ったりすることで急激に下落することがあります。
また、ネガティブな情報で株価が大幅下落することもあるため、価格に注意しなければなりません。そのため、できるだけリスクを小さくしたいなら、小型株の中でも時価総額の大きな銘柄を選ぶことが大切です。

なお、時価総額が小さく小規模の企業では、時価総額が大きく大規模な企業と比べて、経営が不安定な場合が少なくありません。倒産のリスクや株価の急激な下落の可能性は、大型・中型株と比較して高い傾向にあります。
小型株に限ったことではありませんが、事業が発展せず業績が悪化すれば、おおむね株価は下落してしまうでしょう。小型株は企業として成熟していないため、成長が期待できる面もあります。その反面、成長が停滞していると人気がなくなり、株価は下落しやすくなります。こうしたデメリットを踏まえ、決算書などから企業の経営状態をチェックして投資することが重要となります。

特に初心者にとっては、ハイリスク・ハイリターンであり、途中で価格の下落を恐れ売却してしまったり、財務諸表の見方が不明で、どの程度増減したのかがわからなかったりする問題もあります。
まずは、投資信託や大型株などから始め、ある程度値動きに慣れ、財務諸表の読み方がわかってから投資する方が良いでしょう。ごく少額から始める他、小型株に分散投資されている投資信託なら、自動的に複数の小型株を組み合わせています。こうしたものを選んでみるのも1つの方法です。

小型株投資のポイント

小型株投資のポイント

時価総額や自己資本比率、PER(株価収益率)、ROE(自己資本利益率)などの財務分析を行い、スクリーニングしてみましょう。株価の変動が少ない銘柄を選びたいなら時価総額の大きさで選んだり、財務分析を行うことで株価が割安か割高か、利益の実績はどうかを判断したりすることが可能です。

自己資本比率

自己資本比率は、経営の安定性を評価する際の指標として用いられています。

【計算式】
自己資本比率=〔自己資本(純資産)÷総資本(負債の部+資本の部の合計)〕×100

総資産に対する自己資本の割合がどの程度あるかを示し、自己資本比率が高いほど経営の安定性が高いということになります。そのため、倒産の可能性が低い銘柄を選ぶ際には、できるだけ自己資本比率が高い企業を選ぶことが重要です。

PER

PERは株価収益率のことを言います。株価と企業の収益力を比較することによって、株式が割安か割高かを判断する際に利用されます。

【計算式】
株価÷1株当たり利益(EPS)

1株当たりの利益に対して株価が何倍かを示し、数字が小さい方が割安、高いと割高ということになります。PERは必ずしも割安・割高を正確に判断するものではありませんが、他の指標と併せながら活用しましょう。

ROE

また、ROEは自己資本利益率のことを言い、収益性を評価する指標です。資本をどれだけ有効に活用し、利益を出すことができているかを分析します。

【計算式】
当期純利益÷自己資本×100%

ROEが高いほど資金を効率よく使っているということになり、収益性が高いと評価されます。ROEが高い場合でも自己資本比率が低いためにROEの数値が高くなっている、あるいは反対にROEが低くても、自己資本比率が高く安定しているという場合もあります。そのため、複数の指標から複合的に判断しましょう。

また、会社の計画(業績予想)に対する進捗状況や実績を確認するのに重要な書類で、決算発表時に公開される「決算短信」などから、今期の実績の理由や来期の見通し、今後の方向性などを読むことも重要です。財務諸表の数字からはわからない情報を読めため、重要な投資の判断材料となります。

自分でスクリーニングをするのが難しい場合は、投資信託に組み込まれている銘柄からスクリーニングしてみるのも良いでしょう。投資信託には、複数の小型株に分散投資しているファンドがあります。投資信託に組み入れる銘柄はファンドマネージャーが、既に一定の基準でスクリーニングして組み入れられているため、そういった銘柄を選んでみるのも1つの方法です。

スクリーニングの基準や対象銘柄は、目論見書(もくろみしょ)や運用報告書に記載されています。どのような銘柄に分散されているか、どのようにして銘柄を選定しているのかを確認してみてください。時価総額やROE、自己資本比率など財務指標の条件を入力すると、自動的に自分に合った銘柄を選んでくれるツールもあます。財務指標の意味を理解した上で活用してみると良いでしょう。

また、価格が高い時に投資してしまわないよう、チャートを見ながら購入するタイミングを判断することも重要です。こういったポイントを理解し、さらに複数の小型株の銘柄に分散投資することで、もし値下がりしてしまった場合にも損失を抑えることもできます。
ハイリスク・ハイリターンな小型株でもリスクを抑えながら投資することも可能ですし、反対に1つの銘柄に集中し、リスクを取りながら大化け株を狙っていくという方法もあります。

低位株、割安株との違い

低位株、割安株との違い

小型株と似たものに「低位株」や「割安株」といったものがあります。低位株は、業績の悪化などによって株価が低迷している銘柄のことを言います。小型株であり、かつ低位株でもある銘柄もありますが、小型株は会社の規模が小さく、時価総額も小さな企業のため低位株とは異なります。
また、割安株はPERなどの指標が小さな銘柄のことですが、時価総額が小さくても株価が割安であるということではありません。混同されがちですが、この2つと小型株とはしっかり区別しておきましょう。

大化けする銘柄を狙うのであれば、小型株のみでなく低位株や割安株を見つけて選ぶのも手段の1つです。これらを選ぶ際にも小型株と同様に、財務諸表を読みスクリーニングすることが重要と言えるでしょう。選び方のポイントも共通する点があります。

まとめ

まとめ

小型株とはどういうものか、メリット・デメリットと銘柄を選ぶ際のポイントについて解説しました。小型株は大型や中型株では期待できない大きな値上がりを期待できますが、その反面、リスクも大きなものになっています。
大化け株を見つけるという投資の楽しみもありますが、それなりのリスクが伴うことは忘れないようにしましょう。また、流動性も低いため短期ではなく、長期的に大きな成長を狙って投資することをおすすめします。

小型株は価格の変動が大きいので、スクリーニングのために財務諸表を読めることも重要です。そのため、初心者にはあまり向いていない投資先かもしれません。ただ、複数の小型株に分散投資できる投資信託の商品もありますから、まずはそれらを購入してみるのも方法でしょう。また、大きく値下がりしたり倒産したりした場合でも、損失をなるべく抑えられるよう、少額から始めてみることもポイントの1つです。

LINE証券には「いちかぶ」と呼ばれるサービスがあります。いちかぶは1株単位で取引できるため、そういったサービスを利用するのもおすすめです。

小型株の中には地元の上場企業など身近な銘柄も含まれ、会社の評判などの情報が入ってきやすいものもあります。そういった情報は、決算短信にはなかなか現れにくいものです。また、財務諸表には表れてこない、投資においては有利な情報でもあります。そういった情報も参考にしながら、銘柄を選定してみても良いでしょう。大化けする銘柄を探してみるのは、株式投資の楽しみの1つです。無理のない範囲で、小型株への投資を行ってみてください。

また、財務諸表を読み、今後の展望などからその事業を判断することは、ビジネスの場面においても役立つことが多いでしょう。単に資産を増やすという目的のみでなく、小型株への投資を通じて成長する事業を見抜き、会社の実績を財務諸表から読み取れるようになります。自分の勤務先の財務諸表を読んだり、将来の見通しなどを考えたりすることも可能です。そうした視点からも、ここで解説した内容を参考にしながら、小型株への投資を検討してみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。