投資と投機の違いとは?

投資と投機は一部似ているところもありますが、大きく異なります。そこで今回は、投資と投機の違いについて、分かりやすくご説明します。

投資と投機の違いとは?
  1. 投資と投機の違いを分かりやすく解説
    1. 投資とは
    2. 投機とは
    3. 投資と投機の違い
  2. 投資や投機と比較されやすい表現
    1. ギャンブル
    2. 貯蓄
    3. 資産運用
  3. 投資のメリット
    1. 普段使用しない資産を効率よく活用し資産形成できる
    2. 取引期間が長いので、複利の効果を活用しやすい
    3. リスクとリターンを商品により自分で選べる
    4. 少額投資や積立投資など、コツコツ資産形成することもできる
    5. 株主優待や株主の権利など、商品によってはお金以外の利益が得られる
  4. 投資のデメリット
    1. 元本割れするリスクがある
    2. 利益を上げるまでに時間がかかることがある
    3. 知識やノウハウを得るまでに時間がかかる
    4. 投資先への長期的な予測を立てるのが難しい
  5. 投機のメリット
    1. 短い期間で利益を上げることができる
    2. 取引の期間が短いため、損失も抑えやすい
  6. 投機のデメリット
    1. 元本割れするリスクがある
    2. 短い期間で取引するため、こまめに価格変動の確認が必要
    3. 短い期間で大きな損失をする可能性もある
    4. 取引の回数が多くなり、コストが多くなることがある
    5. 短期間の価格変動による精神的な負担が大きい
  7. 資産運用には投資と投機どちらが良いの?
  8. 初心者向けの資産運用
    1. 投資信託
    2. 株式投資
    3. 債券
  9. 投資を始める上でのポイント
    1. 必ず余裕資金で取引を行う
    2. いきなり大きな金額で取引しない
    3. 内容の分からない商品やサービスで取引しない
    4. 自分の目標・ルールを決める
    5. 情報収集や勉強等、自身の知識を高める
    6. 長期投資、分散投資、積立投資を活用しリスク面を考慮する
    7. 投資信託の活用も手
  10. まとめ

投資と投機の違いを分かりやすく解説

投資と投機の違いを分かりやすく解説

投資とは

投資とは、将来的な利益を求めて中長期的に出資することです。投資に利用される金融商品の代表格は株式や債券、投資信託などです。

投資の主な利益は、保有資産の売買差益であるキャピタルゲインと、資産を保有することで得られるインカムゲインです。インカムゲインの代表格は、株式の配当収入や投資信託の分配金になります。ただし、投資は資産が増える可能性がある代わりに元本を下回るリスクも負います。

投機とは

投機とは、短期的な相場変動から利益獲得を目指すことを言います。資産の価格変動を予測し、短期間の売買によって利益を狙います。資産そのものの価値よりも、短期間の価格の変動のみに着目した取引が投機の特徴です。

投資と投機の違い

投資と投機は、株式やFXなどで利益を狙うという意味では同じで、明確な線引きはありません。あえて違いを挙げるなら「投資期間の違い」になります。資産の価値に着目して「中長期的」に利益獲得を目指すのが投資で、価格変動のみに着目して「短期」で利益獲得を目指すのが投機です。

投資と投機の違い

投機のデメリットは短期間で利益を追うため、短期間で大きな損失を被ってしまう可能性があることです。なぜなら、短期間で高く変動の大きい商品に投資するのが一般的だからです。一方、投資は中長期で利益を得ることを考えているため、リスクは投機に比べかなり低くなります。

「投資」「投機」、それぞれのメリット・デメリットについては後程詳しく解説します。

投資や投機と比較されやすい表現

投資や投機と比較されやすい表現

投資や投機と比較されやすい「ギャンブル」「貯蓄」「資産運用」の違いについて解説します。

ギャンブル

ギャンブルは、金銭を賭けて勝負をする行為です。結果は偶然的に左右されやすいものです。損失のリスクを伴うハイリスク&ハイリターン、運要素が強いという点で、投機とギャンブルは似ているかもしれません。しかし、ギャンブルには運営者である胴元がおり、胴元の取り分は利益から差し引かれるのが一般的です。胴元の有無が、投資や投機と異なります。

貯蓄

貯蓄は、将来に備えて資産を蓄えておくことが主な目的になります。資産を増やす投資や投機と異なり、貯蓄は資産を貯めるために行うので基本的には減りません。投資や投機はリスクがありますが、貯蓄はリスクが少ないと言えるでしょう。

資産運用

資産運用とは、金融商品などを作って資産を増やしていくことです。投機のように短期間ではなく、長期間かけてお金を増やしていくものになります。投資だけでなく、貯蓄も組み合わせながら資産を形成していくのが資産運用です。

投資のメリット

投資のメリット

主な投資のメリット、5つについて解説します。

普段使用しない資産を効率よく活用し資産形成できる

投資は中長期間かけるのが前提なので、普段利用していない資産を効率よく増やすことができるでしょう。例えば、数年間使う予定のない現預金があれば、株式や投資信託にすることによりお金が増える可能性があります。
ただし、損をしてしまう可能性もあります。そのため、すぐに利用するお金ではなく、当面利用する予定がない資金で資産運用するようにしましょう。

取引期間が長いので、複利の効果を活用しやすい

投資は取引時間が長いので、複利の効果を活用しやすいでしょう。なぜなら、複利は運用期間が長いほど大きな効果になるからです。

リスクとリターンを商品により自分で選べる

資産運用に利用する金融商品は、商品によってリスクとリターンが異なります。そのため、ご自身に合った金融資産を選ぶようにしましょう。現在は情報収集しやすく、インターネットなどで、想定されるリスクとリターンを調べられます。リスクとリターンを商品により、自分で選べることは投資のメリットの1つと言えるでしょう。

少額投資や積立投資など、コツコツ資産形成することもできる

投資信託や株式投資など、金融商品には様々な種類があります。しかし、多くの商品で少額から投資ができ、積立での投資も可能です。毎月、少額からコツコツと資産形成できることもメリットです。

株主優待や株主の権利など、商品によってはお金以外の利益が得られる

株式投資の場合で、最も大きな利益が狙えるのはキャピタルゲインです。しかし、株によっては配当収入や株主優待もあります。配当収入や株主優待は、キャピタルゲインに比べて安定的に入ってくる収入です。
そのため、長期投資には向いていると言われています。特に、株主優待に関してはお金ではなく、様々な特徴のある商品が送られてくる企業も少なくありません。お金以外の利益を得られるのは、投資のメリットと言えるでしょう。

投資のデメリット

投資のデメリット

投資にもデメリットがありますので、下記で具体的に解説します。

元本割れするリスクがある

いくら中長期で運用すると言っても、元本割れをするリスクはあります。短期間で大きく元本が割れてしまうこともありますし、長い期間の投資でも結果的に大きく元本を割れてしまう可能性もあります。

利益を上げるまでに時間がかかることがある

投資は中長期かけて利益を出すものです。しかし、選んだ商品によっては利益を上げるまでに、想定以上の時間がかかる場合もあります。なぜなら、投資したすべての資産が、一気に大きく上昇する可能性は低いからです。

知識やノウハウを得るまでに時間がかかる

投資で利益を得るためには、ある程度の知識やノウハウが必要です。今はインターネット検索や動画配信サイトで、簡単に様々な情報を手に入れられます。しかし、それらがすべて正しいとは限りません。どの情報が正しいかをしっかり選別し、本当に必要な知識やノウハウを得るまでに時間がかかるのはデメリットになるでしょう。

投資先への長期的な予測を立てるのが難しい

投資先の長期的な予想を立てるのが難しいのも、投資のデメリットです。今は良くても、将来的に大きく想定外の下落をする可能性があるので注意が必要になります。

投機のメリット

投機のメリット

投機の主なメリットについて、2つご紹介します。

短い期間で利益を上げることができる

投機はリスクが高い取引ではありますが、値動きが大きい資産に一定集中して上昇すれば、短いスパンでも大きな利益を得られる可能性があります。特に、FXや株式取引の信用取引を使えば、元手資金の数倍の取引ができるため、短期間でも大きな利益が狙えるでしょう。

一方、投資はリスクを低くするために、様々な資産に分散して投資を行うのが一般的です。安心して投資を行えますが、その分だけ短期間で利益を得ることは難しくなってしまいます。

取引の期間が短いため、損失も抑えやすい

投機は一般的に、大きな損失を被ってしまうリスクが高いと言われています。負担になるかもしれませんが、あらかじめ損切りのタイミングを決めておき、マーケットを確認して適切な損切りを行うことができれば、致命的なリスクは回避できるでしょう。

投機のデメリット

投機のデメリット

投機にはデメリットもありますので、事前に確認しておきましょう。

元本割れするリスクがある

投機は短期間で大きな利益を得られる可能性がありますが、逆に大きな損失を被ってしまうことも考えられます。特にFXやCFDなど手元資金の◯倍の取引ができる金融商品を利用すると、大きな損失になってしまう可能性があるので注意が必要です。

短い期間で取引するため、こまめに価格変動の確認が必要

投機は短い期間で利益を出す必要があるため、こまめに価格変動の確認が必要です。特に、レバレッジがかかった商品で運用する場合は追証の心配もありますので、基本ポジションを保有している間は目を離さない方が良いでしょう。こまめに価格変動の確認が必要なのも投機のデメリットと言えそうです。

短い期間で大きな損失をする可能性もある

投機は短い期間で、大きな利益を得られる可能性があるのが最大のメリットですが、逆に損失を被ってしまうこともあります。特に、FXやCFDで大きなレバレッジをかけて取引してしまうと、大きな損失を被ってしまうかもしれません。最悪の場合、莫大な追証を背負ってしまうこともありえます。注意しましょう。

取引の回数が多くなり、コストが多くなることがある

投機で利益を出すためには、頻繁に取引を行う必要があります。そのため、その分だけ取引コストが高くなってしまう可能性があるでしょう。例えば、FXで利益が出しやすいと言われているスキャルピングの場合、数秒から数分で取引を完結させるため、取引回数が非常に多くなるのが一般的です。取引回数が多くなれば、その分だけコストも大きくなるでしょう。

短期間の価格変動による精神的な負担が大きい

短期間で大きくマイナスになるのを実際に経験すると、非常につらいものです。メンタルがよほど強くないと、なかなか投機で冷静な判断はできないでしょう。精神的な負担になることもデメリットの1つと言えるでしょう。

資産運用には投資と投機どちらが良いの?

資産運用には投資と投機どちらが良いの?

ここまで、投資と投機のそれぞれの特徴、違い、メリット・デメリットについて解説しました。では、資産運用を安定的に行いたい場合はどちらが良いのでしょう。

おすすめは、投資です。なぜなら、投資は分散投資や積立投資などを活用し、リスクを調整して資産を増やせるからです。また、投資は長期目線のため、短期目線の投機に比べると取引価格の変動を頻繁に確認しなくてよいのもメリットになります。

一方、マーケットをこまめに見続ける時間的な余裕があり、かつ資金的に余裕がある方なら、一部の資金を投機で増やすのも良いでしょう。

それぞれの特徴を理解し、資産形成していくことが重要です。

初心者向けの資産運用

初心者向けの資産運用

金融商品には様々な種類がありますが、今回は初心者に向いている3つのおすすめ商品をご紹介します。それぞれの特徴について、参考にしてください。

投資信託

投資信託とは、投資家からお金を少しずつ集めて大きな資金にし、運用のプロであるファンドマネージャーが投資家に代わって資産運用をしてくれる金融商品です。投資信託の主なメリットは以下の通りとなります。

・プロに運用を任せられる
・分散投資ができる
・少額から始められる
・取引価格が公表されており、透明性が高い
・種類が多い

このように、投資信託は手軽に様々な資産に分散投資ができ、運用自体はプロに任せられます。また、少ない金額から始められるので、投資初心者の方に非常に合った金融商品と言えるでしょう。

株式投資

株式投資は上場している企業の株を購入し、キャピタルゲインやインカムゲインを狙っていく金融商品です。非上場の株を買えなくはありませんが、一般的ではありません。株式投資の主なメリットは以下の通りです。

・キャピタルゲインで大きな利益が狙える可能性がある
・株主優待がもらえる
・配当金がもらえる
・会社の意思決定に関する権利がもらえる
・情報収集がしやすい

銘柄によっては、株式投資で大きなキャピタルゲインを得られる可能性があるでしょう。また、株主優待や配当金がもらえる銘柄もあります。上場企業の場合は財務諸表などの情報が公開されているので、情報収集がしやすいのもメリットになるでしょう。

債券

債券は、あらかじめ決められた期間を保有すると、決められた金利を受け取れる金融商品です。債券の主なメリットは以下の通りとなります。

・安全性の高い商品がある
・他の商品に比べリスクが低い(銀行預金よりは高金利)
・売却益を狙うことができる

債券を発行する発行体が倒産などしない限り、元本が割れるリスクは低いと言えるでしょう。また、あらかじめ決められた金利を受け取れるのもメリットになります。債券価格は満期までの間は上下に変動するので、状況によっては売却益を狙うことも可能です。

投資を始める上でのポイント

投資を始める上で覚えておきたいポイントについてご説明します。

必ず余裕資金で取引を行う

投資は、必ず余裕資金で行うようにしましょう。株式や投資信託などの金融商品は、いつ下落するか分かりません。また、いつ上昇するかも分かりませんので、当面使う予定のない余裕資金でないと、下落しているタイミングで解約せざる得ないケースが出てきてしまいます。余裕資金で取引を行えば、多少下落していたとしても上昇するまで待てるでしょう。

いきなり大きな金額で取引しない

特に、初めて投資する場合は、大きな金額での取引はやめておきましょう。大きな金額でうまく予想が当たれば、もちろん大きな利益になります。一方で、大きな損失を被ってしまう可能性もあります。

また、投資で利益を上げるためには様々な知識や経験が必要です。長く投資を行っていれば、そうした知識と経験を身に付けられます。まずは少ない金額から始め、投資に慣れるようにしましょう。

内容の分からない商品やサービスで取引しない

内容が分からない商品やサービスで、取引をするのはやめましょう。「証券会社の担当者や銀行員が勧めてきたから安心だろう」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、商品の内容について理解しないまま取引をすると、想定外の損失を被ってしまう可能性があります。

投資をするのは自分自身です。自分のお金を使って投資をするので、必ず商品やサービスの内容についてはしっかり確認するようにしましょう。

自分の目標・ルールを決める

投資を行う際は、どのくらいの利益が上がったら解約しようなど目標を決めておくのが重要です。また、どのくらいの期間を保有するのか、あるいは損切りの水準などのルールを決めておくのも大切になります。投資で成功するためにも、こうした目標やルールは事前に決めておくようにしましょう。

情報収集や勉強等、自身の知識を高める

投資で利益を上げるためには、人任せにせず、自分で投資に関する知識をつける必要があります。情報収集や勉強をおろそかにせず、自身の知識を高めるようにしましょう。

長期投資、分散投資、積立投資を活用しリスク面を考慮する

投資で安定的に利益を出すためには、長期分散積立投資が重要だと言われています。長い期間投資をすれば、いつか上昇する局面がある可能性があります。

また、様々な資産に分散して投資をすれば、1つの資産が下がっても他の資産が上昇するかもしれません。積立投資を行うことによって投資のタイミングをずらせるので、価格が高い時も低い時も購入が可能です。結果的に購入平均単価も安定するでしょう。

投資信託の活用も手

投資初心者が初めて投資を行うのであれば、投資信託を活用するも良いでしょう。投資信託には、1つの商品で様々な資産に分散されている商品があります。また、積立投資も可能ですし、運用自体は投資のプロのファンドマネージャーが行ってくれます。

まとめ

まとめ

投資と投機の違いについて、分かりやすく解説しました。

投資は様々な資産に分散して投資を行い、長期間保有し利益を狙う手法です。

投機は短期間で大きな利益を狙う手法で、うまくいけば短期間で大きな利益が得られるため、非常に魅力的に感じる方は多いでしょう。しかし、その分だけリスクが高くなります。

資産運用を検討されている方には、投資がおすすめです。投資の基本は長期で安定的にお金を増やすことです。また、複数の資産に長期間かけて投資を行えば、リスクを下げてリターンを狙うことができるでしょう。

本記事を参考に、投資と投機の違いについて理解いただき、ご自身に合った商品を検討ください。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融を分かりやすく伝えることをモットーに活動中。