RSIとは?

RSIはテクニカル分析を行う上で使いやすく精度も高い手法のため、多くの投資家に人気があります。今回はRSIについて詳しく説明します。

RSIとは?

RSIとは

RSIとは「Relative Strength Index」の頭文字を取った略語で、日本語では「相対力指数」と呼ばれるものです。RSIは一定期間における価格の変動幅から、現在の相場が買われ過ぎなのか、売られ過ぎなのかを、「0%~100%」の数字で表すテクニカル指標で、オシレーター系の代表的な逆張り(ぎゃくばり)指標となります。

RSIの特徴

RSIの特徴

数あるテクニカル指標の中でも、投資初心者の方にも使いやすいRSIには、主に3つの特徴があります。ここでRSIの特徴について、それぞれわかりやすくご説明しましょう。

  • ボックス相場の逆張りに強い
  • 視覚的に使いやすい
  • トレンド中はあまり機能しない

ボックス相場の逆張りに強い

ボックス相場での逆張りに強いのがRSIの特徴です。ボックス相場の時のRSIの数値は正確な場合が多く、参考にすれば、小さな利益を何度も積み重ねられます。
ボックス相場でRSIの数値を信じてトレードして逆の方向に動くケースもありますが、それでも確率の高い指標として参考にすることは可能です。為替相場はほとんどがボックス相場であることを考えると、ボックス相場の際に力を発揮できるのはRSIの大きなメリットと言えるでしょう。

視覚的に使いやすい

RSIでは、一般的に用いられる期間として14日が多く、他には9日や11日などもあります。買われ過ぎなのか、売られ過ぎなのかの水準は、それぞれ「80%・20%」、「75%・25%」、「70%・30%」がよく用いられますので覚えておきましょう。

ローソク足チャートと並べて見比べると、RSIが買われ過ぎ・売られ過ぎのラインに近づくにつれ相場が反転しやすいことがわかります。30%以下で判定した時に買い、70%以上で反転した時に売りと判定するというように、主として逆張り的な売買指標として使われる所以です。このように、視覚的にわかりやすいのは、RSIの大きな特徴と言えるでしょう。

ただ、反転の目安のラインに行った場合、反転する可能性が高いということで100%反転するとは限りません。あくまでもRSIは、反転する可能性が高いテクニカル指標であると割り切って使うことが重要です。

トレンド中はあまり機能しない

RSIが50%付近だと、小幅なもみ合いとなるケースが多くなります。その後に大きく相場が反転、またはトレンド形成されるかを判断することは難しいので、トレンドが発生している時はあまり機能しません。この点はデメリットと言えるでしょう。
RSIが50%付近のところで逆張りをした場合、相場が大きく反転すれば大きな利益を取れます。しかし、逆にトレンドが形成されて上昇もしくは下落をすると、大きくマイナスになってしまうでしょう。

RSIは、投資初心者の方でも使いやすいテクニカル指標です。しかし、RSIを使う際は、他のテクニカル指標と並行して利用することが重要です。
次に、RSIと相性の良いテクニカル指標を使った、実践的なRSIの使い方を取り上げますので参考にしてください。

RSIと相性の良いテクニカル指標「ボリンジャーバンド」

RSIと相性の良いテクニカル指標「ボリンジャーバンド」

RSIと相性の良いテクニカル指標は多くありますが、初心者の方でも使いやすいのがボリンジャーバンドです。
ボリンジャーバンドとは、高い確率で+2σ(標準偏差)と-2σのラインの間で価格は動くであろうという予測をもとにして、将来の価格の動きを予測するために使われるテクニカル指標です。統計学上、+2σと-2σの間に収まる確率は95.45%とされていますので、かなり正確に今後のレンジを読めるテクニカル指標と言えるでしょう。

このボリンジャーバンドとRSIの相性は非常に良く、ボリンジャーバンドを参考にしながらRSIを使えば、レンジ相場の中で何度も利益を取れる可能性があります。つまり、ボリンジャーバンドのラインの中に入っていれば、レンジを破るトレンドが起こる可能性は少なく、あとは、RSIを使って買われ過ぎなのか売られ過ぎなのかを判断すれば良いのです。もちろん、ボリンジャーバンドのラインを破る可能性は0ではありません。この点については注意が必要ですが、RSIにボリンジャーバンドを使えば、より勝率を高められるでしょう。

RSIの計算式

RSIの計算式

様々な特徴があるRSIですが、どのような計算式で算出されるのかについても確認しておきましょう。RSIの算出式は以下の通りです。

RSI=n日間のうち上昇した日の上昇幅/n日間の変動幅の合計×100

RSIは、過去一定期間(以下n日間)における、株価の上昇幅と下落幅における上昇分の割合を表している株価チャートです。計算式を見るとわかりますが、n日間の上昇幅を上昇幅と下落幅の合計で割っていますので、上昇した値が何%あるのかを表しています。変動幅は0〜100%の数値によってチャート上で表示されますので、非常にわかりやすいテクニカル指標と言えるでしょう。

RSIの活用方法

RSIの活用方法について、株価チャートで見ていきましょう。

RSIの活用方法

ローソク足の株価チャートの下に、追加指標として表示される株価チャートがRSIです。RSIの数値は右端に縦軸のメモリで表示されており、0%から100%で表されます。なお、RSIは1本の線で表示されます。
株価が上昇するとRSIの数値も上昇していきますので、RSIが表示されている線は上に向かって動いていきます。反対に、株価が下落するとRSIの数値は下落していきますので、RSIが表示されている線は下に向かって動いていくのです。

RSIは一般的に、「30%以下になると売られ過ぎ」「70%以上になると買われ過ぎ」と言われています。わかりやすいように、30%と70%のところに横線を引いてみると良いかもしれません。
RSIが30%を下回ったり70%を超えたりしている場合は少なく、大半が30から70%の間にあるのがわかります。つまり、30%を下回ったり70%を上回ったりするのは、そう多く現れないタイミングなのです。

RSIは「70%以上となれば買われ過ぎと判断する」「30%以下となれば売られ過ぎと判断する」となります。ただし、強いトレンドの際は上記の水準が続くこともあるため、他のシグナルも確認することも必要です。

レンジ相場時の逆張りシグナルとして活用

RSIは、レンジ相場(持ち合い相場)において力を発揮しやすいテクニカル指標です。RSIは買われ過ぎ・売られ過ぎを数値で見られるので、RSIを見れば反転のタイミングを予測できます。
つまり、RSIが70%を超えた場合は買われ過ぎである可能性が強いため、今後下落する可能性が高くなるということです。逆にRSIが30%以下になると、売られ過ぎの可能性が高いので今後上昇する可能性が高くなり、このタイミングで逆張りするのは有効と言えるでしょう。RSIは、相場の転換サインとして活用できます。

値動きとRSIの動きが逆行することを「ダイバージェンス(逆行現象)」と言います。ダイバージェンスとは、ストキャスティクスやRSIなどのオシレーター系インジゲーターに見られる価格との逆行現象のことです。主に、チャートの動きとテクニカル指標の動きを比較して、トレンド転換のポイントを見極めるために使われます。ダイバージェンスを見つけられれば、その後にトレンド転換が起きる可能性が高くなるので、大きな利益を狙える可能性があるでしょう。

ダイバージェンスの例

トレンド転換点を知るためには、「買い勢力と売り勢力の力関係が逆転するポイント」をつかむことが重要です。言葉にすると簡単ですが、実際にこのポイントをつかむのは非常に難しいです。熟練のトレーダーでも、なかなかこのポイントを正確にはつかめません。しかし、RSIやストキャスティクスなどのオシレーター系のテクニカル指標を使いこなせれば、初心者の方でもトレンド転換点をとらえられます。

先ほどご説明した通り、ダイバージェンスはオシレーター系インジケーターに見られる特徴的な現象です。そのため、ストキャスティクスやRSI、RCI、MACDなど主要なオシレーターは、どれでも必ずダイバージェンスが発生することになります。数あるテクニカル指標の中でもRSIは非常にわかりやすいので、RSIで現れるダイバージェンスは短期的なトレンド転換点をとらえるのに向いていると言えるでしょう。RSIは相場の調整や反転を示唆する有力なサインとして、有効なテクニカル指標なのです。

RSIはスクリーニングでも活用できる

RSIはスクリーニングでも活用できる

RSIは売られ過ぎか買われ過ぎかの分析だけでなく、株価が買い基調なのか、売り基調なのかを判断するのにも役立ちます。具体的にRSIは100%で表示されますので、50%を基準に50%以上が買い優勢、50%以下が売り優勢という形で分析できるわけです。

なお、RSIをスクリーニングで使う場合には、30%・70%の数字を基準に数値を設定すると良いでしょう。なぜなら過去の株価チャートを見るとわかりますが、売買サインの精度高めるために20%・80%という数値を使うと、30%を下回って20%に近づくことも70%上回って80%に近づくことも頻度としてはかなり少ないからです。つまり、それだけ売買サインが出にくくなるため、トレード機会の損失になってしまいます。
トレード機会を取るか、それとも売買サインの精度を取るかという選択になりますが、トレード機会が多いと負ける機会が増える一方、勝つ機会も増えるのです。いずれにしろ、株式市場全体や個別銘柄の株価動向に合わせて、RSIを使うことが最適なのかどうか考えながら利用することが重要になります。

まとめ

初心者の方でも利用しやすいテクニカル指標の1つである、RSIについて詳しくご説明しました。テクニカル指標は、もちろん万能なものではありません。しかし、上手く活用すれば、投資の勝率を上げることに役に立ちます。RSIは視覚的にも使いやすいテクニカル指標のため、多くの方にとって使いこなしやすいでしょう。ここで取り上げた内容を参考に、RSIに関する理解を深め、ぜひご自身の投資に役立ててください。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えることをモットーに活動中。