配当金とは?

2021年6月23日

 

株主への利益還元となる「配当金」について、受け取り方や配当金に掛かる税金など、知っておきたいことをご説明します。

配当金とは

会社が年間で出した利益の一部を、株主に還元する仕組みが「配当金」です。会社は株式を発行することで投資家から資金を集め、その資金を元手に事業を行って儲けを狙います。配当金は会社が儲かったら、その一部をお金を出してくれた株主に渡すという意味で支払われる株主の利益です。

株式投資と言うと、買うときと売るときの差額を狙った取引だとイメージする方が多いかもしれません。しかし、株式を保有していることで配当金を受け取ることができるのも、株式投資の利益です。なお、株式の売買の差額で得られる利益をキャピタルゲイン、配当金の利益をインカムゲインと言います。

 

配当金は年に1回、もしくは2回あることが多いです。定期的に配当金を出している企業は投資家にも人気のため、この配当金に力を入れている企業は少なくありません。株価の上下で売却益を狙うより、保有していることで安定して受け取ることができる配当金も、株式投資の判断基準の一つとなるでしょう。ここでは株式投資における配当金の仕組みや配当金の高い企業の見分け方や留意点、また、配当金に関わる税金について解説します。

配当金を受け取るには

配当金を受け取るには、各企業で定められた権利確定日までに株式を購入している必要があります。そのためには、権利確定日の2営業日前の権利付最終日までに株式を購入しておかなくてはなりません。権利確定日までに株式を購入し、保有していることで、配当金のほかに株主優待や株主総会の議決権など株主の権利を得ることができます。また、株主優待や議決権は一定の株数(単元)を保有していないと与えられませんが、配当金は単元に達していなくても受け取ることが可能です。

配当金の多い企業の見分け方

<配当利回り>

配当利回りとは購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当金を受けることができるかを示す数値のことです。預金に例えると、1年あたりの利息のようなものと言えるでしょう。配当利回りが高いほど、投資した金額に対して受け取れる配当金の割合が高いということになります。

 

1株あたりの価格や配当金額は、企業によって全く違います。株価も配当金額も異なる企業を比較しようとしても、どちらが有利なのかは計算してみないとわかりにくいもの。それを、株価に対して支払われる配当金額の割合で比較できるようにした指標が配当利回りです。予想配当利回りは企業が公表しているため、配当金の多い企業を選ぶために比較してみると良いでしょう。なお、配当利回りは以下の通りです。

 

計算式:配当利回り(%)=1株あたりの年間配当金額÷1株購入価額×100

 

例えば1株あたりの年間配当金額が200円で、1株の購入価額が10,000円だとしたら以下のようになります。

 

・200÷1,0000=0.02×100=2%

 

配当金額が同じならば購入株価が高ければ配当利回りは下がり、反対に購入株価が低ければ配当利回りは上がります。株価や配当金額が変動すれば配当利回りも変動しますので、株価が常に変動するように配当利回りも常に変動します。また、予想配当利回りも企業の業績によって変動することもありますので、投資の際は常にチェックが必要です。

配当金に関する用語

配当性向

企業が税引後の利益である当期純利益のうち、利益のどれだけを配当金の支払いに向けて株主に還元したかを示す指標です。配当金は企業が儲かった分の一部を投資家に還元してくれるものですが、その企業が利益の中からどの程度を還元してくれているかを比較することができます。なお、配当性向の計算式は以下の通りです。

 

計算式:配当性向(%)=1株あたりの年間配当金額÷1株あたりの当期純利益

 

例えば1株あたりの当期純利益が500円で、一株あたりの配当金額が100円だとすると配当性向は20%となります。

配当性向が高いほどその会社の株主への還元率が大きいことを表しています。配当利回りと同じく配当金からその会社の株式を評価する指標なのです。

 

ただし配当性向が低くても、その分を内部留保されて研究開発や事業への再投資のために使われるといったこともあります。さらに、企業価値を高めるために使われている場合もあるため、配当性向が高いから良い、低いから悪いというわけではなく、配当性向のみで企業の優劣を判断することはできません。配当金は低くても長期的に企業の成長に繋がり、株価が上昇する可能性もあります。

 

連続増配銘柄

増配とは前期よりも配当金の金額を増やすことです。年間1株配当が毎年増え続ける株式のことを、連続増配銘柄と呼びます。保有していれば毎年配当金が増えていき、毎年どの程度増配するかはその銘柄、その年によって異なります。

配当金は会社が儲かった分の一部を投資家に還元している仕組みです。そのため利益が出なければ、配当金を増やすどころか支払うこともできません。連続して増配できるということは、その会社の収益力が高いことを意味し、連続増配銘柄は国内外の多くの投資家から支持されています。

 

また、不況の際には業績が悪化し、配当金を支払うことができない企業が多いもの。しかし、不況でも増配できている銘柄は、不況でも安定した収益を上げることができる、収益力が高く安定した企業であることがわかるでしょう。

 

権利付最終日

株主がその銘柄を保有することで、株主権利を得られる最終売買日のことを権利付最終日と呼びます。配当金や株主優待、株主総会の議決権は、権利確定日に株式を保有していることが必要です。ただし注意したいのが、配当金を受け取る権利を得るには、権利付最終日までに株式を購入していなければいけないということです。権利付最終日は権利確定日の2営業日前で、この日に遅れれば株主としての権利を受け取ることができません。権利確定日に株主として名簿に載るには、2営業日前までに株式を購入する必要があります。その権利確定日の2日前が、権利付最終日ということです。

 

権利落ち日

株主がその銘柄を保有することで、配当金や株主優待など株主の権利を得ることができる最終売買日が権利付最終日ですが、その権利付最終日の翌営業日が権利落ち日です。この権利落ち日以降に株式を購入しても、株主の権利を得ることはできません。そのため、配当金や株主の権利を受けるには、次の権利確定日まで保有することが必要です。こうした背景から、権利落ち日には権利を得て株式を売却する投資家も増えるため、株価が下がりやすい傾向にあります。

配当金と株主優待を受けてから売却しようと思うと、このタイミングで株価が下がっていることもあるため注意してください。反対に、この権利落ち日に株価が下がったタイミングを狙って投資するという戦略もあります。

 

権利確定日

権利確定日とは、権利が確定して株主名簿に記載される日のこと。権利確定日に株式を保有していることで、配当金や株主優待、株主総会議決権といった株主の権利を受けることができます。権利確定日に権利を得るためには、この日に株主名簿に株主として載っていることが必要です。そして、そのためには権利付最終日に株式を購入していなくてはいけません。

 

配当金を受け取るためには、一定期間の株保有が必要だと思われている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、この権利確定日に株主として名簿に記載されていれば、配当金を受けることができます。これは、仮に1日で売却してしまったとしても問題ありません。ただし先に述べたように、権利確定日に名簿に載るには権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに株式を購入しておく必要がある点には注意してください。

配当金に掛かる税金

配当金には配当所得という税金が掛かります。配当金を得るために借り入れしている場合であれば、その利息を差し引いた金額が配当所得として課税対象です。配当所得は通常、確定申告でその他の所得と合算し税金を計算することになります。ただし上場株式の配当金を受け取る場合には、確定申告が不要な申告分離課税を選択することも可能。申告分離課税を選択すると所得にかかわらず、一律で所得税・復興所得税15.315%と地方税5%の合計20.315%が配当金額から源泉徴収されて振り込まれます。

 

申告分離課税を選択すれば確定申告が不要で、自動的に税金が差し引かれるため便利でしょう。しかし、所得によっては申告分離課税で源泉徴収される税率よりも税率が低く、また配当控除を受けることもできるため、確定申告した方が税金を抑えられることもあります。

 

配当控除

上場株式の配当金を総合課税で受け取る場合、配当控除を受けることができます。配当控除とは、国内株式等の配当金を受け取る際に総合課税を選択し、確定申告を行った場合に適用される税額控除です。通常、配当金は法人税が課せられた後の税引後の当期純利益を株主に分配するものですが、税引後の分配金である配当金に所得税を課税すると二重課税になってしまいます。そのため、二重課税にならないように設けられたものが配当控除です。

 

配当控除の計算は課税総所得の金額によって異なり、所得税については配当所得の10%、もしくは5%。住民税については、配当所得の2.8%または1.4%が算出税額から差し引かれます。なお、申告分離課税を選択すると配当所得控除を受けることはできません。総合課税か申告分離課税どちらを選ぶか、判断材料の一つとなります。

 

NISA口座ならば配当金は非課税

配当金は配当所得として課税されますが、NISA口座で取引した株式の配当金については非課税とすることができます。NISAとは、NISA口座内で投資した一定金額以下の株式や株式投資信託の配当金や分配金、売却益が非課税になる制度です。申告分離課税を選択して配当金を受け取ると約20%の税金が掛かりますが、その分が不要になるためNISA口座の活用で有利に配当金を受け取ることができます。

 

一般NISAは年間120万円が上限となり、ジュニアNISAは80万円が上限。そして、つみたてNISAは個別銘柄が対象外となっています。NISA口座を利用して上場株式の配当金を受け取る際の留意点は、配当金の受け取り方で株式数比例配分方式を選ぶ必要があること。配当金の受け取り方には以下のような種類が挙げられますが、配当金受領方式と登録配当金受領口座方式を選ぶと配当金は非課税とはならず、源泉徴収されますので注意が必要です。

 

・配当金を総合証券口座で受け取る「株式数比例配分方式」

・ゆうちょ銀行等や郵便局に配当金受領証を持ち込んで受け取る「配当金領収証方式」

・指定の銀行口座で受け取る「登録配当金受領口座方式」

 

年間で最大120万円までという上限がありますが、NISA口座を利用することで配当金の恩恵をさらに高めることが可能です。また、最長で5年間、総額600万円まで投資することができ、5年経過後はロールオーバーすることができます。

配当金だけで選ばない

配当金が高い銘柄は人気ですが、それだけを判断材料に投資する会社を決めるのは注意が必要です。配当金が高い銘柄を選ぶ方が、効率的だと考える方は多いでしょう。しかし、配当金は業績によって変動することがあります。

 

配当金は利益の一部を還元するもの。そのため、利益が減ったり業績が悪化したりすれば、企業が配当金を減らすこともあるのです。現時点で配当利回りや配当性向が高い株があったとしても、将来的に業績が悪化して高配当ではなくなる可能性もあります。こうしたことから、配当金のみでなく企業の業績や今後の見通しも含めて判断することが大切です。

 

上場企業であれば企業のホームページから、投資家向けに公開された企業の財務状態や方針を見ることができます。配当金だけでなく、そうした情報も十分に確認しておいてください。

まとめ

株式投資の配当金の仕組みや配当金の高い投資先の見分け方、留意点、そして配当金に掛かる仕組みなどを解説しました。株式投資で単に売却益のみを目的とするのか、配当金や株主優待等も含めて総合的な利益を目的とするのか。どのように株式投資で利益を狙うかという自分の投資スタンスを、これらの知識を踏まえて考えてみると良いのではないでしょうか。

 

また、投資において税金も重要な要素の一つです。NISA口座を活用したり、総合課税と分離課税のどちらが自分にとって有利なのか考えたりすることで、配当金の恩恵を最大限に狙っていくこともできます。昨今は低金利を受けて、投資への関心が高まってきました。投資先を選ぶ際の判断材料の一つとして、ぜひ参考にしながらご検討ください。

監修者プロフィール:

小川 洋平

日本FP協会認定 CFP🄬、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>

25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。