円高/円安って何?

2021年9月6日

 

ここでは為替レートは投資のみならず、私たちの日常生活にも影響を与える円高/円安について詳しく解説します。

円高とは

円高は米ドル等の外国の通貨に比べて、日本円の価値が高くなっていることを意味します。例えば、1ドル=100円から1ドル=80円になった場合には円高です。100円が80円になったことから、円の値段が安くなっていると思うかもしれません。しかし、1ドルを買うのにこれまで100円払わなければいけなかったのが、20円安い80円で買うことができるため、日本円の価値が高くなっている、すなわち、円高ということになります。

 

円高は他国の通貨よりも、日本円の資産(株式や国債等)に人気が集まっている状況等で起きます。例えば、リーマンショックのような世界的な大不況や金融の混乱が起き、日本国債に世界のお金が集まった結果として円高になるなどが挙げられます。

円安とは

円安とは、日本円が安くなったことを意味します。例えば、1ドル=100円が1ドル=120円になれば円安です。円高の例とは逆で、1ドル=100円で購入できていた状態から1ドル=120円になれば、20円高い価格を払わなければ買えなくなったことになるため、日本円の価値が下がっている、すなわち、円安ということになります。

 

円安は日本以外の国にお金が集まっている状況で起きます。例えば、アメリカ経済が好調で、アメリカの株式が再び買われ始め、ドル高傾向になったことなど。このような影響で、為替が変動します。

円高のメリット/デメリット

メリット

円高とは日本円の価値が上がることで、相対的にドルなどの外貨が安くなることを意味します。その結果、海外からエネルギーや原材料を輸入している企業にとっては原材料費や生産コストが安くなります。そのため売上が同じであれば、原価が下がるので利益が出やすい傾向にあるでしょう。このように円高が輸入企業の利益アップに繋がるため、輸入関連の銘柄で株価が上りやすくなります。

 

また、私たちの生活にも、円高によって海外製品などの輸入品が安くなることが考えられます。例えば、多くを輸入に頼っているエネルギー資源や、小麦、大豆、果物等の食品です。

 

1ドル=100円のときに、10ドルの物を輸入するとしましょう。支払いは日本円で1,000円になりますが、1ドル=80円になると800円の支払いで済みます。そのため、輸入品を安く購入できることになり、海外産の原材料で生産されている商品の価格が下がるケースがあります。

なお、海外旅行先では、より多くの外貨に両替することができるため、お得に買い物をすることができます。

 

デメリット

円高は輸入については有利になりますが、反対に輸出する際には売上の減少に繋がります。

例えば、1ドル100円から80円に下がった際に10ドルの物を輸出した場合、1ドル100円のときには円に換えると1,000円の売上ですが、800円に下がってしまいます。その結果、利益の減少に繋がり自動車会社等の輸出で利益を得ている企業の株価は、下がりやすい傾向にあるでしょう。

 

外国株式や外国債券を保有している場合には、それらの海外の資産は日本円での価値が低くなりやすくなります。これらの外国の資産は、基本的にその国の通貨で取引されるもの。そのため、日本円に換算したときに株式・債券等の資産の値動きに加えて、為替の値動きも加わった値動きになります。

 

例えば、5年満期のアメリカ国債の金利が2%だとして、1ドル=100円のときに1万ドル投資したとしましょう。その場合、日本円で100万円を預けることになります。1万ドルの2%のため年間200ドル、5年では1,000ドルを受け取れます。そして満期の償還金と合わせ、11,000ドルを受け取ることが可能です(税金は考慮しない)。

 

しかし、仮に5年後の為替レートが1ドル=80円と円高になっていた場合、11,000ドルは880,000円となり、預けた100万円に対し12万円減ってしまう結果になります。ドルでは増えていても、円に換えた際に減ってしまうことがあるわけです。このように、外貨では増えていたとしても、円高によって円に換えた際に減ってしまうことが多々あります。

 

また、新興国の通貨などで年利10%を超える金利の定期預金もあり、日本円では考えられない高金利でお得なように見えるかもしれません。しかし、新興国はまだまだ政治的・経済的に不安定です。日本円に対して通貨価値が下がる傾向あるため、金利が高くても日本円に換えると損をしているというケースも多い点に注意が必要です。

円安のメリット/デメリット

メリット

円安とは日本円の価値が下がることであり、相対的にドルなどの外貨が高くなることを言います。円安のメリットは、外国株式や外国債券といった海外の資産価値が高くなることです。

 

円高のデメリットの例として挙げた5年満期のアメリカ国債の場合だと、円安になることで逆の状況が起こります。

5年後に償還金と合わせて11,000ドル受け取り、その際の為替レートが1ドル=110円になっていた場合には円に換えると121万円となり、投資額の21万円増えるという結果になるのです。このように、為替の影響によって株式や債券から得られる利益のみでなく、為替差益によってさらに利益を得ることもできます。

 

また、日本から輸出する製品の価格が高くなります。1ドル100円から120円に上がったとすると、10ドルの製品を輸出した場合には1,000円の売上が1,200円の売上に増加するわけです。そのため、輸出産業が好調となります。

特に輸出企業の収益が上りやくなるため、輸出関連の企業の銘柄の株価が上り、日経平均株価やTOPIXといった株価指数が上昇しやすい傾向にあるでしょう。

 

デメリット

海外から輸入する製品の価格が上がります。

その結果、海外からエネルギーや原材料を輸入している企業にとっては原材料費・生産コストが高くなり、減益してしまう傾向にあります。また、輸入関連の銘柄の株価が下がりやすくなります。

 

私たちの生活でも、原油価格が上昇することでガソリン代や灯油代等が上がったり、小麦や果物など主に輸入品が多い商品等の価格が上がったりしやすい傾向になります。

例えば1ドル=100円から120円になった場合、10ドルの物を輸入すると1,000円で買えていた物が、1,200円支払わないと買えなくなるのです。海外旅行で買い物をする際には、両替できる外貨が少なくなるため割高になってしまいます。

 

また、長期的に通貨安の傾向になると輸入品の価格が上昇しやすく、物価上昇の要因となります。その結果、悪性のインフレが起きることも考えられるでしょう。

為替が変動する仕組み

日本円を外国通貨に換える際の交換レートが「為替相場」です。為替相場は需要と供給のバランスで日々刻々と変動しており、24時間価格が変動しています。時間帯によっても値動きが大きく変動する時間帯があり、特にニューヨーク市場やロンドン市場が開いている時間帯には大きくなりがちです。

 

為替レートはその国の金融政策や財政政策、それに伴う市場金利、経済の動向、その国の通貨の信認によっても左右されます。例えば、リーマンショック後には各国でこぞって金融緩和、つまり自国の通貨の供給量を大規模に増やしていたことがありました。

しかし、その際に日本は通貨の供給量をほとんど増やさずにいたため、1ドル=80円を下回るような円高に見舞われたのです。このように、他国の通貨の供給量に対して自国通貨の供給量が少ないといったことでも、為替は変わってきます。

 

その後、安倍元首相がアベノミクスの第一の矢として大胆な量的緩和を掲げ、世界各国と同水準の通貨の供給を行うことを宣言。自民党が衆院選で勝利して政権を取り戻すと一気に円安が進み、株価も回復してきたということがありました。このように、経済政策や政治によっても為替は大きく変動することがあるのです。

 

過去の為替相場例

過去の為替の相場を見ると、1985年に起きたプラザ合意ではアメリカの貿易赤字の解消のため米ドルの価値の大幅な切り下げを行い、各国の通貨に対し大幅にドル安となりました。円とドルの為替相場はプラザ合意以前に1ドル230円程度で推移していましたが、その直後には100円以上の円高に。それからさらに円高が進行して、現在では100円台を中心に推移しています。このように、長期的には大きく為替が変動することがあることも覚えておきましょう。

 

FXとは?

FXはこの為替相場の変動を利用して、購入と売却の差から利益を得る取引です。

また、為替相場は投機的な動きや通貨高、通貨安を調整するための各国の政府の介入などもあり、為替相場の変動は一概に何が要因になるかを言えません。さらに、長期的なレートの変動には経常収支やインフレ率も影響し、短期の変動の要因とは異なります。

 

さまざまな要因が影響するため、為替レートを予想することが難しいことは言うまでもないでしょう。為替が変動した後に、その要因を正確に分析することも困難なものです。

まとめ

円安/円高について詳しく解説しました。株式投資においては価格の変動を左右する重要な要素となり、FXにおいてはその変動幅がダイレクトに損益となります。円安/円高でどのような銘柄や資産がどう価格変動するのか。このことを理解し、投資先を選んだりFXのポジションを決めたりする判断材料として活用してみると良いでしょう。

 

また、為替によって物価が変動し、勤務先の業績も変わり、賞与に影響が出たりするなど、私たちの生活にも密接に関係しているものです。投資している方にとってはもちろんのこと、投資に興味がないという方でも、生活において密接に関わることとして注目していただきたいものです。

 

将来的に日本円が円安傾向になる場合、輸入品の価格が上がることで物価が上昇することも考えられます。円の価値が下落すれば物価が上がることで、将来のためにお金を貯めていても現在と同じ物が買えなくなってしまうでしょう。そのため、目標の金額を貯金できていても、その後の人生設計が狂ってしまうことになりかねません。

 

外国債券投資信託や外国株式投資信託等は、円安の際に価格が上りやすいという性質があります。これを利用して将来のために積立することは、円安による資産価値が失われる可能性への対策となるでしょう。

 

また、外貨建ての貯蓄系保険等で将来の資産形成を行っていた場合、予想以上に円高になれば損失が発生することもあります。このように、投資の判断材料にも将来の資産形成のためにも、円安/円高について理解することはとても重要です。FX等で短期的な取引で利益を得る、あるいは投資信託等で将来の資産を貯めるためにも、ここで解説した内容を十分に知っておきましょう。

監修者プロフィール:

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)

日本FP協会認定 CFP🄬、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>

25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。