ETFとは?投資信託との違いとは?

2021年6月7日

 

ETFは上場投資信託のことを示す言葉です。本記事では、ETFの特徴や投資信託との違いについてわかりやすく解説します。

ETFとは

ETFとは「Exchange Traded Fund」の略で、上場投資信託のことを示す言葉です。投資信託の種類の1つですが、証券取引所に上場され、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウ等の指数に連動するように運用されています。
個人が手軽に買うことができるものですが、最近では日本銀行が多額のETFを購入しています。また、機関投資家等の投資のプロたちが活用したりする商品でもあります。

ETFの仕組み

ETFには、投資信託のように少額から分散投資が可能な仕組みがあります。常に変動する日経平均株価などの市場価格へ、リアルタイムに投資できる上場株式のような取引が可能です。
例えば日経225のETFを購入すれば、日経平均株価を構成する225銘柄すべてに投資すると同様の効果があり、少額から多数の企業や複数の業種に分散投資することができます。

 

また、ETFは複数の銘柄で構成されているため、1つの銘柄に投資するだけで分散投資が可能です。さらに通常の投資信託とは違い、上場株式のように日経平均株価やTOPIXの値動きにリアルタイムに投資をすることができる、投資信託と上場株式の特徴を併せ持った商品です。
ETFには、国内ETFと外国籍ETFがあります。国内で上場され日本で設定されたETFは国内ETF、外国で上場され外国で設定されたETFは外国籍ETFと呼ばれています。

ETFのメリット

手軽に投資が始められる

個別銘柄を選んで投資しようとすれば、好きな銘柄を吟味して選ぶことができます。しかし、一つ一つ情報を得て吟味し、投資先として選ぶまでには大変な手間が掛かり、何を選んだらよいか迷うこともあるでしょう。ETFを購入すれば複数社に分散投資するため、銘柄の選定に迷わず投資を始めることが可能です。

 

少額から分散投資ができる

株式投資のリスクを抑えながらそのリターンを得るために、分散投資はとても重要です。複数の企業や業種、あるいは国や地域に分散投資を行うことで、リスクを低減することができます。しかし、個別銘柄に分散投資を行うには大きなまとまった資金が必要。投資信託は、そんな分散投資を少額から可能にする優れた金融商品です。そして、ETFを購入することで投資信託のメリットである分散投資が可能となり、日経225やTOPIXなどを構成する銘柄に分散投資するのと同様の効果を得られます。

 

ETFは日本だけでなくアメリカやヨーロッパ、先進国の株式、金やコモディティ等、豊富なラインアップの中から選ぶことができる商品。何百、何千という世界の企業に分散投資しようと思えば、巨額の資金が必要になります。
しかしETFでも通常の投資信託同様に、少額でそれが可能になるのです。このように一般的な投資信託同様に、少額で分散投資できる点はETFの大きなメリットでしょう。なお、外国籍ETFは外貨での取引になるため、円換算した場合の価格で為替手数料も加味して判断することが必要です。

 

自分の好きなタイミングで投資できる

投資信託は一日一回、基準価格が決定されます。この基準価格は、その日の取引の申し込みが終わってから公表されるもの。そのため、自分が取引したい価格と乖離した価格で取引してしまう可能性があります。
例えば日経平均株価をニュースで見て、「この値段で買いたい」と思って注文しても、その後に価格が上がり、一日終わってみたら買いたい金額より高い金額で購入してしまっていることがあるかもしれません。反対に、売却したいときには売りたい金額よりも安い金額になってしまうことがあり、自分が取引したい金額と乖離してしまうことがあるのです。これに対してETFは、上場株式と同様にリアルタイムで取引できるため、自分の好きなタイミングで投資できます。

 

また、ETFは上場株式と同様に成り行き注文、指値注文を行うことが可能です。
成り行き注文とは、売買を行う際に価格を気にせずに注文すること。即座に売買が成立することがメリットです。例えば日経平均株価の変動を見ながら「今買いたい」と思って注文することで、そのときの時価で買うことを表します。
これに対して指値注文とは、自分が指定した価格で売買すること。自分が指定した金額になったときに売買され、指定した金額に達しない場合は売買が成立しません。指値注文を利用することで、自分が売買したい価格で取引できる可能性が高くなります。通常の投資信託ではできない売買が行えるため、これもETFのメリットといえるでしょう。

 

コストが安い

ETFは投資信託と異なり、販売会社を通さずに購入できます。そのため、投資信託と比較して信託報酬が総じて低い傾向にあるのが特徴です。信託報酬とは投資信託を購入する際の手数料とは別に、保有している際に資産から引かれていくランニングコストのこと。例えば信託報酬が1%で保有している投資信託の価格が100万円だとしたら、年間1万円が毎日日割りで自動的に差し引かれることになります。

 

信託報酬は、特に長期の運用になるとその成果に大きな影響を及ぼします。少額に感じる手数料であっても、長期運用しているとその差は何百万円もの大きな金額になることも。そのため、信託報酬はできるだけ低いものを選ぶことが望ましく、期待できるリターンと比較し検討することが大切です。

 

ETFは一般的に通常の投資信託よりも低く設定されており、信託報酬を抑えながら運用できるため長期の運用にも有利になるでしょう。ただし、最近ではネット証券などを中心に投資信託の信託報酬も引き下げられ、ETFとの差は縮まってきています。

 

値動きがわかりやすい

投資信託の基準価格はその日の申し込みが終わって公表されるため、翌日にならないと自分がいくらで取引できたのかがわかりません。しかし、ETFは上場株式同様にリアルタイムで変動します。そのため、日経平均株価等の指標をチェックしていると、ETFが今どの程度の価格で取引できるのかがわかります。

 

信用取引が可能

ETFのメリットの1つとして挙げられるのが、上場株式と同様に信用取引が可能なこと。信用取引とは現金や株式を担保として証券会社に預け、証券会社からお金を借りて投資を行うことで少ない元手でも大きな取引することが可能な取引です。預けたお金や株式の価値の、最大で約3.3倍まで取引できます。
ただし、借金して投資するということになるので、利益が3.3倍になることもあれば、予想に反した値動きをした場合には、損失も3.3倍になることもあるでしょう。ETFでは信用取引を行うプロのような投資戦略も可能ですが、初心者は手を出さない方が無難です。

ETFのデメリット

積立投資の可能な証券会社が限定されている

将来の資産形成のために投資信託の定期買い付けを利用し、購入する積立投資が有効です。ドルコスト平均法を用いて、高いときも安いときも一定額ずつ購入することで購入単価を平均化。これにより、高値でまとめて買ってしまうことを防ぐことができるメリットがあります。
また、自動買い付けしていくことで、投資するタイミングを迷わず機械的に投資することが可能です。毎月自動的に投資されるため、将来の資産形成のために大変有利な仕組みとなっています。

 

通常の投資信託ではこういった仕組みを利用できますが、ETFは一般的には定期買い付けができず、その場合には自動で定期積立を行えません。自動買い付けができる証券会社はごく限られた会社で、通常は自分でその都度買い付ける必要があります。そのため、積立投資を行いたい場合には通常の投資信託の方が有利といえるでしょう。

 

自動で複利効果を得ることができない

通常の投資信託で得られる分配金は、再投資されて複利の効果を得ることができます。しかし、ETFで得られる分配金は再投資されず、受け取ることしかできません。そのため、再投資したい場合は一度受け取ってから自分で再投資することが必要です。手間が掛かり、また、分配金が最低額まで貯まるのを待ってから投資しなければいけない点に注意してください。分配金を自動的に再投資するには、通常の投資信託の方が有利です。

 

株主優待がない

上場株式を購入すると株主優待を受けられますが、ETFの場合は投資信託と同様に株主優待がありません。株主優待を受けるには、自分で上場株式を購入する必要があります。

 

価格が乖離する可能性がある

ETFには、投資信託の基準価格と対象となる上場株式などの市場価格があります。投資信託の基準価格はその日の申し込みが終わると算出されますが、ETFは市場価格に連動するとは言え、このときに市場価格との乖離が発生します。乖離が大きくなると、ETFの市場価格にタイムリーに投資できるというメリットが無くなってしまいます。そこで、裁定取引をすることによって価格の乖離を少なくする仕組みが取られているのです。
乖離を少なくする仕組みはありますが、このような理由で市場価格と乖離することがあるということを頭にいれておきましょう。市場価格と基準価格とを比較した上で取引を行わないと、市場価格と乖離した価格で売買してしまい、自分が希望する価格で取引できないことになる点に注意が必要なのです。

 

売買手数料が発生する

ETFでは通常の投資信託のように購入時手数料が不要です。信託報酬は割安となっていますが、上場株式を購入するときのように売買手数料を支払う必要があります。
投資信託はこの売買手数料がなく、ノーロードファンドを選べば購入時手数料は不要。ETFは売買手数料がかかるため、頻繁に売買を繰り返すとその分だけ手数料を多く支払うことになります。

 

価格の変動に振り回される

値動きがわかりやすいというETFのメリットは、値動きに翻弄されてしまうというデメリットにもなります。通常、投資信託は一日が終わらないとその価格が決定しません。価格の変動はあまり気にしなくてもよいのですが、ETFはそのときによってリアルタイムで価格が反映されて変動するため、初心者は値動きに翻弄されて取引のタイミングをより気にしてしまうことがあります。
長期分散投資を行うのであれば、一日の価格の変動などほとんど気にする必要はありません。そのため、ETFのタイムリーな値動きに投資できるという点が、むしろデメリットになってしまう可能性もあります。

まとめ

このように、ETFは上場株式投資と投資信託の特徴が織り交ぜられた金融商品です。大まかにまとめると、複数の銘柄に対しリアルタイムで分散投資できることが最大のメリットであるといえるでしょう。個別銘柄で分散投資を行おうとすれば大きな資金と手間を必要としますが、それを自動的に分散投資してくれる金融商品が投資信託です。

 

しかし、投資信託の基準価格が決定されるのはその日の申し込みが終わった後。上場株式のようにリアルタイムの値動きを見て投資をすることができないため、自分が取引したい価格から乖離した価格になってしまうことがあります。ETFの購入はそんな投資信託のデメリットをカバーしながら、上場株式のようにリアルタイムな値動きに投資できるというメリットがあります。

 

その反面、上場株式のように株主優待を受けることができない、投資信託のように分配金を自動的に再投資できない、積立投資ができる証券会社が限られているというデメリットもあることを覚えておきましょう。

 

ETFは、変動する相場に対しリアルタイムに分散投資を行えるというメリットがありますが、分配金が再投資されない、自動積立ができる証券会社が限られているというデメリットもあります。つまり、長期の資産形成にはあまり向いていません。長期の投資であれば一日の中の価格変動などあまり気にする必要はなく、自動的に分配金を再投資してくれて自動的に積立投資が可能な投資信託を選んだ方が適切ともいえます。ETFでは長期分散投資も可能ですが、その手間を考慮すると通常の投資信託を選んだ方が、初心者には向いているでしょう。

 

投資信託を使った資産形成や長期分散投資を行い、投資に少し慣れてくると、上場株式のような値動きのあるものに投資してみたいと思うようになるかもしれません。そうした際に次の一歩を踏み出すときには、分散投資を実践しつつ、市場の価格の変動を見ながら投資できるETFが最適といえます。また、ETFでは信用取引を利用した戦略を取ることもでき、機関投資家や投資のプロも活用しているようなプロ向けの使い方も可能です。

 

このように目的に合わせて、初心者からプロまで多様な使い方ができるのがETFの大きな魅力でしょう。ETFの特徴を理解し、それぞれのお金の目的に応じて活用を検討してみてください。

監修者プロフィール:

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP🄬、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表
<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。