FXにはどんな税金がかかるの?

2021年6月28日

 

投資商品には税金がつきものです。FXもその例外ではありません。今回はFXの税金について詳しくご説明します。

FXとは?

FXとは外国為替証拠金取引のこと。米ドルやユーロなどの為替を使って利益を狙う金融商品です。FXには手元資金の数倍の取り引きができるレバレッジ機能があるため、投資資金が少なくても大きな利益を狙うことができます。(もちろん、大きな損失を負ってしまう可能性もあります。)こうした背景から、老若男女を問わず人気のある金融商品の一つとなっています。例えば30万円程度の投資資金から、1億円を超える利益をあげた投資家が出たこともあります。

 

ただし、もちろんこのFXにも税金がかかります。正しく理解しておきましょう。

FXでかかる税金は?

FXでの利益は雑所得として申告分離課税の対象となり、確定申告が必要です。ちなみに雑所得とは、以下9種類の所得のいずれにも該当しない所得のこと。FXの他に仮想通貨や原稿料、年金なども雑所得に含まれます。

 

・給与所得

・退職所得

・一時所得

・利子所得

・配当所得

・不動産所得

・事業所得

・山林所得

・譲渡所得

 

FXの税率は一律で20.315%。その内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%になります。株式や投資信託の利益に対しても20.315%の税金がかかりますので、20.315%の税金は投資の世界では一般的と言えます。

 

株式投資や投資信託の場合は、特定口座という口座を利用すれば証券会社が投資家に代わって納税してくれるため、自分で確定申告をする必要はありません。

FXには特定口座のような口座はありません。そのため利益が出た場合、原則すべてのトレーダーは確定申告をする必要があります。利益が出た場合も確定申告をしなくて良い例外については、後ほどご紹介します。

FXで確定申告が必要になるケース

FXで確定申告が必要になるケースは、利益が出たときです。税金を納めることに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、税務署は個人のFXによる損益を把握しています。当然のことですが、税金から逃れることは絶対にできません。

 

どうやって税務署は個人のFXによる損益を把握しているのでしょうか。それは、FX会社が顧客ごとの取引損益を税務署に提出しているからです。以前、数億円の利益をFXであげたにもかかわらず、確定申告せずにいたトレーダーがいました。結局、このトレーダーは税務署から追徴課税を受け、莫大な税金を払うことになってしまったのです。納税は国民の義務になりますので、絶対に行うようにしましょう。脱税は犯罪ですので、人生を狂わせてしまうことになります。

FXの利益が年間20万円以下の場合は、確定申告が不要!

年間でFXによる利益を含め、給与所得以外の総計が20万円以下の場合、確定申告を行う必要はありません。給与以外の収入がFXしかない場合、年間の利益が20万円以下であれば税金を納める必要はないのです。少額でFX投資をする人にとっては、ありがたい制度と言えるでしょう。

 

ただし、年間収入が2,000万円を超える給与所得者は、確定申告が必要になりますので注意してください。また、被扶養者は年間の所得が38万円以下の場合、確定申告が不要であることも合わせて覚えておきましょう。

確定申告をした方が良いケース

利益が出なければ確定申告を行う必要はありませんが、実は確定申告した方が良いケースもあります。ここでは3つの具体的なケースをご紹介します。

 

損益通算ができるとき

損益通算とは、利益と損失をぶつけることができる制度のことです。例えば以下のようなケースの場合、確定申告を行うことによって税額を抑えることができます。

 

・AというFX会社で50万円の損失

・BというFX会社で100万円の利益

 

この場合、損益通算を行わないと、B社で出した100万円の利益に対してまるまる税金が掛かることになります。ですが損益通算を行って利益と損失をぶつければ、100万円-50万円=50万円の利益に対しての税金になるため、税額を抑えることが可能です。

このように別々のFX会社の損益に関しては、自分で確定申告をしないと損益通算することはできません。しっかり計算する必要があるので、覚えておきましょう。

 

なお、この損益通算にはいくつかの注意点があります。株式や投資信託の損益と損益通算を行うことができません。FXで行うことができる損益通算は、FXもしくは先物取引、CFD(差金決済取引)、オプション取引などです。

 

繰越損失を使いたいとき

繰越損失とは、損失を3年間繰り越すことができる制度です。例えば1年目に50万円の損失が出て、2年目に100万円の利益が出たとしましょう。この場合、1年目に確定申告を行って繰越損失を行っておけば、2年目にでた利益とぶつけることができます。

 

ただし損失が出ても、確定申告しないと繰越損失を使うことができませんので注意してください。

 

必要経費がある場合

経費があれば、確定申告を行うことで控除できます。以下にFXで認められる経費の代表例についてまとめておきましたので、参考にしてください。

 

・FXトレードに必要なパソコンやモニター、スマートフォンなどの購入費用

・FXトレードにかかるインターネット代、電話代

・FXの勉強をするための新聞や書籍などの購入費用

・FXトレードを行う家の家賃や光熱費

・FXのセミナーの受講費用や交通費、宿泊費

 

確定申告を行う直前に慌てないためにも、これらの経費は日頃からしっかり整理しておきましょう。

FXの確定申告のために準備しておくこと

FXは株式投資や投資信託とは違い、特定口座がありません。そのため、確定申告をすることが多くなるはず。確定申告は毎年期間が決まっており、2月15日から3月15日の間に行わなくてはなりません(2020年分の確定申告は新型コロナウイルスの影響によって、2月16日から4月15日までに延長されました)。例年、申告期限の直前になって慌ててしまう人が少なくありません。そうならないためにも、スムーズに確定申告を終えられるよう事前に準備をしておきましょう。以下、2つのポイントをご紹介します。

 

1)FX会社が発行する年間損益報告書の準備

FXの年間損益を計算するためには、FX会社が発行する年間損益報告書の準備が必須になります。年間損益報告書は毎年1月の中旬頃に発行されることが多いので、あらかじめこのスケジュールについても頭に入れておきましょう。特に複数のFX会社と取り引きしている場合は、損益通算を行う必要性が出てくるかもしれません。早めに準備することで、いざ確定申告の期間になってから慌てずに済むでしょう。

 

一般的に年間損益報告書は、証券会社の口座にログインするとダウンロードで取得できることが多くなっています。書類自体の用意は、さほど難しくありません。

 

2)領収書などをしっかり保管しておく

前述した通り、FXの確定申告を行う際には必要経費を控除することができます。領収書を確定申告書に添付する必要はありませんが、もしも税務調査の対象となったときには、領収書がないと経費を証明することが難しくなります。後から問題にならないよう、経費に関わる領収書はきちんと整理して保管しておくようにしましょう。

まとめ

FXにはレバレッジ機能があるので、初期投資の資金が少なくても莫大な利益を上げることができる可能性があります。実際に初期投資の資金が30万円程度からFX取引を行い、1億円以上の利益を出した“億り人”と呼ばれる人もいます。こうした事例を見て「自分も大きな利益を得られるのではないか」と考え、FX投資を始める人も少なくありません。(もちろん、大きな損失を負ってしまう可能性もあります。)

 

ただし当然ながら、FXの利益には税金がかかります。FXに限らず金融商品には税金がかかりますので、FXだけが特別なわけではありません。FXの税金は利益確定ごとに納税するものではなく、1年間の損益をまとめて確定申告をし、納める制度になっています。税金についてしっかり知識を持っていないと、いざ利益が出て納税をするときに、大変な状況を招いてしまうかもしれません。納税に回すべき資金もトレードに回してしまい、いざ納税するタイミングでお金がないという状況になりかねないのです。

 

FX行う目的は、もちろん利益を出すこと。そのためにも、税金についての知識は非常に大切です。ここで取り上げた内容を参考に、FXの税金について理解を深めておきましょう。

監修者プロフィール:

渡辺 智(ワタナベ サトシ)

FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>

大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。