ボラティリティって何?

2021年7月16日

 

ボラティリティは、投資の判断材料の一つとして重要な言葉です。ボラティリティの意味や活用法などについて、詳しく解説します。

ボラティリティとは

ボラティリティは簡単に言うと、株価や通貨の値動きの変動率のことです。一般的に価格変動の度合いを示す言葉で、「ボラティリティが大きい」=「その商品の価格変動が大きい」を意味し、「ボラティリティが小さい」=「その商品の価格変動が小さい」を意味します。ボラティリティは、その商品のリスクの度合いとして捉えるのが一般的。ボラティリティが大きい商品はリスクが高く、ボラティリティが小さい商品はリスクが低いと判断されます。

 

基本的には「%」で表し、値動きの幅が値動きの幅が大きいほどボラティリティは大きく、値動きの幅が小さいほどボラティリティは小さいということです。FXや短期のトレードではこのボラティリティを利用して利益を狙ったり、逆に長期投資においてはボラティリティを小さくするための運用商品のポートフォリオを考えたりすることに使います。

 

FXの例

FX取引において、どの通貨ペアを選択するか、どの時間帯に取引するかによってボラティリティは異なります。FXでは値動きを利用して利益を得る取引ですので、利益を得るためにボラティリティを知ることは重要です。

ある程度のボラティリティは利益を得るためには大切ですが、あまり大きすぎると予想以上の損失になってしまったり、また通貨ペアの性質によって予想外の動きをしたりすることもあります。そのため自分の経験や技量に合った、大きすぎず小さすぎないボラティリティの通貨ペアを選んだり、時間帯を選んだりすると良いでしょう。

 

通貨ペアの影響

通貨ペアによってボラティリティの大きさや取引量は異なります。それによって突発的な値動きがあったり、その通貨を発行する国の情勢によっては大きな為替の変動が起こったりすることもあります。例えば、日本人にとってメジャーな米ドル/円のペアやユーロ/円の通貨ペアは価格の動きが比較的安定し、ボラティリティも大きすぎません。そのため、落ち着いて値動きを観察することができ、初心者に向いている通貨ペアと言えます。

 

先進国の通貨でもっとボラティリティが大きいのはポンドと言われていて、大きな値動きがありますので初心者は特に注意が必要な通貨です。ボラティリティの大きさは一覧表がありますので、どの程度の大きさなのかを確認してから取引しましょう。

また、チャートからもある程度値動きの幅を見て比較することも可能です。日本やアメリカのように経済が安定している国の通貨はボラティリティが小さく、新興国のように経済が未成熟な国の通貨はボラティリティが大きくなります。

 

ボラティリティは時間帯によって変わる

FXは年末年始、土曜日・日曜日を除けば平日の24時間は取引が可能。日本での祝日も海外では休みではないので、祝日でも24時間で取引できます。つまり、投資家の都合の良い時間で取引が可能なのです。

しかし、東京・ロンドン・ニューヨークでは値動きが変わる時間帯があります。何か値動きに大きな影響を与える特別なことがあれば別ですが、それぞれ時間帯毎に下記のような特徴がありますので見ていきましょう。

 

・東京時間の値動き(日本時間9時~15時)

9時~15時の東京時間の値動きは穏やかで、前日の値動きが継続するケースが多くなっています。トレンドが発生する際も緩やかなトレンドで、ボラティリティもどちらかと言えば小さい時間帯です。

 

・ロンドン時間の値動き(日本時間16時~24時頃)

ロンドン時間は日本時間で16時~24時頃のことを言います。ロンドン時間は東京時間と比べて大きな値動きを見せる、ボラティリティの大きな時間帯です。値動きも大きいので、ロンドン時間の値動きに乗ることができれば値動きの大きさから利益を狙っていくことも可能。ロンドンは世界一の為替取引市場であり、もっとも大きな値動きが起きる市場です。

 

・ニューヨーク時の値動き(日本時間22時~6時)

ニューヨーク時間は日本時間で22時~6時のこと。ニューヨーク時間とロンドン時間が重なる22時~24時は、もっとも値動きが大きい時間帯です。ニューヨーク時間もロンドン時間と同様、値動きが大きくボラティリティが大きい時間帯。日本時間の深夜3時~4時頃も大きな値動きを見せる時間帯となっています。

 

このように、時間帯によってもボラティリティは異なります。そのため、自分の投資スタイルに合った時間帯を選ぶのも良いでしょう。

 

株式の例

FXは短期的な為替差益を狙った取引であるため、ボラティリティの大きさは利益を狙う上で有利になります。株式投資はFXと同様に日常の値動きの幅で利益を狙うこともできますし、長期的に保有する資産運用目的、将来の資産形成に使うことも可能です。

その場合、短期的な価格の変動ではなく長期的な資産の成長を狙うため、どちらかと言えばボラティリティが小さい銘柄を選ぶ方が望ましい場合があるでしょう。リスクの許容度によって、適したボラティリティの銘柄やポートフォリオを選ぶことが大切です。そこで、目的や投資のスタンスにあったボラティリティの使い方を知っておきましょう。

 

よく、株式は長期保有でリスクを低減できると言われます。しかし、運用の期間が長くなれば不確実性が高くなるためボラティリティが大きくなるのが一般的で、リスクは大きくなると言えるでしょう。長期保有によってリスクを低減できるのではなく、配当金を再投資することにより複利の効果で成長しやすくなります。

 

また、年平均利回りにすると大数の法則によってリターンが平均化されるだけであり、リスクが小さくなるわけではありません。どちらかと言えば、投資期間が長ければ長いほど先のことは読みにくくなるため、ボラティリティは長期になれば高くなってリスクも上がります。長期の資産運用、資産形成においてこのリスクとボラティリティは誤解されて伝えられがちなので、誤解されないように注意してください。

 

そして、短期取引おいて株式のボラティリティは、市場の取引開始直後の時間帯でボラティリティが大きくなる傾向にあります。それは、取引時間外の間にさまざまなニュースが流れ、それを見て買い、売りを判断する人が多いから。このような理由で、その時間帯には値動きが大きくなります。

さらにプレスリリースやIRが発表されると、それの情報によって売買が行われ、株価が急騰したり急落したりすることがあるでしょう。例えば上場企業は毎年業績予想を出していますが、業績予想に対して業績がそれを上回っていれば、年の途中で業績予想の上方修正を行うことがあります。逆に業績が予想よりも下回っているようだと、下方修正を行うことがあるのです。あるいは新製品の発表などが行われると値動きが大きくなり、ボラティリティが大きくなることも考えられるでしょう。株式のボラティリティは、このような性質を持っています。

 

ボラティリティを活かして利益を得る

長期投資においては、ボラティリティよりも長い目で見た複利効果を得る方が望ましいでしょう。しかし、デイトレードやスキャルピング(数秒で売買を行い、それを1日に何回も繰り返す超短期売買)といった短期的取引によって利益を得る場合には、このボラティリティを活かすことが必要になります。これら短期トレードでは、売買する株の値動きの変動幅がないと短期間で利益を上げることが難しくなるからです。

 

短期トレードを中心に行っているトレーダーにとっては、ある程度ボラティリティの大きい銘柄を選ぶこと、ボラティリティが大きくなるタイミングを狙って投資したりすることが利益を得る上で重要になります。

ボラティリティが大きいと予想通りに株価が動き、儲かることができればその分だけ利益が大きくなりますが、予想と反対に株価が動くと大きな損失を招くことに繋がります。

ボラティリティの種類

ヒストリカル・ボラティリティ(HV)

ボラティリティには2種類あり、過去の価格変動率をもとにして計算したものがヒストリカル・ボラティリティです。これは、過去に対象資産の価格がどの程度変動したのかを示す指標。ヒストリカル・ボラティリティは歴史的変動率とも呼ばれ、過去のデータに基づいて計算された将来の変動率のこと。日々の資産(通貨や株価などの対象となる資産)の変化率の平均値として計算されています。

 

インプライド・ボラティリティ(IV)

ヒストリカル・ボラティリティが過去のボラティリティを表すのに対し、未来のボラティリティを表すものがインプライド・ボラティリティです。

このインプライド・ボラティリティは、オプション価格から逆算して計算され、市場参加者の将来の予想が反映されるものであり、市場動向の分析に使用できます。また、オプション取引におけるテクニカル分析指標の一つで、将来の変動率(ボラティリティ)を予測したものであり予想変動率とも呼ばれます。

過去のボラティリティを知るのも大切ですが、投資家にとって重要なのはこれから先のボラティリティです。そのため、インプライド・ボラティリティの方を重視すべきであると考えられています。

ボラティリティの活用方法

ボラティリティはFXや株式の短期売買等の短期トレードの判断に用いたり、株式の長期投資においてはボラティリティを指標にリスクを考えて資産ポートフォリオを組んだりといった活用ができます。デイトレードやスキャルピングトレードなど短期取引の場合、ある程度の値動きがないと利益を出すことはできません。そのため、ある程度大きなボラティリティの通貨ペアや時間帯、銘柄を選ぶことが大切です。その際にはどの程度の大きさなのか、また、値動きの性質などを加味しながら選ぶことが大切です。

 

例えばボラティリティの大きな時間帯や通貨ペア、株式の銘柄を選び投資することで大きな値動きを利用し、大きな利益も狙っていくことができます。反対に、初心者であまり値動きに慣れていないという方はボラティリティが大き過ぎず、それなりに変動のあるものを選ぶ際の参考にできるでしょう。

 

リスクについて

中長期投資のリスク判断ではどの程度のリスクをとり、どれくらいのリターンを目指すかあらかじめ考えておくことが重要です。目標とするリターンに対して、将来的にどの程度のブレが考えられるのか。ボラティリティを利用することで、どの程度の上振れ・下振れが起きるか考えることが可能です。このとき、どの程度の値動きになるのか判断するための材料として使うことができます。

 

リスクをとって高いリターンを得るには、ボラティリティの大きい銘柄やポートフォリオを。反対にリターンはそれほど大きくなくても良いから、リスクを抑えた運用をしたい場合にはボラティリティの小さな銘柄やポートフォリオを決めていただくと、自分の許容するリスクや求めるリターンに合った投資ができるでしょう。このように長期投資と短期的な取引、どちらにおいてもその判断基準として使うことができます。

まとめ

ボラティリティとは何なのか、どのようなことがわかる指標なのか、投資においての使い方などを解説しました。投資には価格の変動がつきものです。そして、その変動幅が大きなものもあれば小さなものもあり、動き方の性質も銘柄や取引する時間帯等によって異なります。

 

長期と短期で使い方は違いますが、長期投資ならばいかにボラティリティが小さく、低リスクで大きなリターンを得られるポートフォリオを組むための判断材料として用いる。あるいはFXやデイトレード、スキャルピングトレード等の短期売買では変動の幅を活かして利益を得る取引のため、これに適したボラティリティを選ぶために活用できます。

 

このように長期でも短期でも投資においては、許容できるリスクの幅を考えること、あるいは値動きを利用してリターンを得るためにこのボラティリティを読むことが重要です。ここで解説した内容を参考に、ご自身の目的やスタンスに合った投資のために活用してください。

監修者プロフィール:

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)

日本FP協会認定 CFP🄬、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>

25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。