目論見書とは?

投資信託を選ぶ際にインターネットの商品ページの詳細で見かける、「目論見書」という項目について解説します。

目論見書とは?

目論見書とは

目論見書とは

目論見書とは投資信託について、投資判断に必要な重要事項を説明した書類のことを言います。その投資信託がどのような目的で、どのような考え方で運用されているかなどが記載されている、いわば投資信託の説明書です。

投資家は一般的に目論見書を確認し、自身の投資の目的に合っているのかを判断します。そして、投資信託の販売会社は投資信託を購入する前に、必ず投資家へ目論見書を配布しなくてはいけません。目論見書には交付目論見書と請求目論見書がありますので、それぞれの違いも理解しておきましょう。

交付目論見書

投資信託の目的や基本的な性格、各種リスクや投資方針、投資対象、運用実績や手数料について記載されています。例えば、日本株のインデックスファンド(株価指標に連動した成果を目指す投資信託)なら投資対象が日経225やTOPIXに連動した値動きを目指すことが、それぞれの株価指標を構成する上位銘柄にそれぞれ何%ずつ投資されているかと共に記載されているのです。

そして、過去の運用実績やベンチマークとの差異、保有している間のコスト等も記されています。投資信託を購入する際に必ず投資家へ交付されるもので、投資信託の基本的な情報がすべて網羅されたものです。インターネットで購入する場合には、商品ページからいつでも確認することができます。

請求目論見書

投資家から請求があった場合に交付をしなければいけない目論見書です。ファンドの沿革、損益や純資産等の経理状況など、追加的でより詳細な情報が記載され、投資家が請求した場合は運用会社に交付する義務があります。

目論見書の見方

目論見書の見方

目論見書にどのようなことが記載されているのか、各項目の見方を解説します。

商品分類・属性区分

一般社団法人投資信託協会が定める「商品分類に関する方針」に基づいたファンドの分類が記載されています。株式投資信託なのか債券投資信託なのか、国内を対象としたものなのか海外なのかなど、それぞれの分類について確認が可能です。

ファンドの目的

ファンドの運用方針が記載されています。ファンドの特色として、ファンドの運用方針・方法が具体的に記載されたものです。どのような投資先に対して投資されているのか、インデックスファンドとアクティブファンドのどちらか、どのような仕組みで投資されているかなどが確認できます。

インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数(インデックス)と連動した投資効果を目指す投資信託のことです。例えば、日経平均株価に連動する日経225のインデックスファンドを購入することで、225社に分散投資しているのと同様の効果があります。

これに対してアクティブファンドとは、ファンドマネージャーが成長しそうな投資銘柄を選び、インデックスを上回る成果を目指す投資信託のことです。一般的に、インデックスファンドと比較してリスク・リターンが大きいと言われ、インデックスファンドよりも信託報酬(投資信託を保有する間にかかる手数料のこと)が高い傾向にあります。

このようなポイントを確認し、まずはご自分の投資の目的に合った商品かどうか見極めましょう。

主な投資制限

投資手法やどの程度株式を組み入れるかなど、どのようなルールで運営されているのかが記載されています。このルールが目的に合っているかどうか、十分に確認しておきましょう。

分配方針

投資信託には、個別の株式の配当にあたる分配金が支払われます。定期的に分配金が支払われる商品もあれば、分配金を受け取らずに自動的に再投資されている商品もあります。分配頻度や金額などについて記載されていますので、あらかじめ確認しておきましょう。

基準価額の変動要因と主なリスク

投資信託の価格のことを「基準価額」と言い、これは個別銘柄に投資する際の株価のようなものです。日経225に連動する動きを目指すインデックスファンドであれば、日経平均株価が上がると日経225のインデックスファンドの基準価額もそれに連動し上がりやすくなります。基準価額がどのような要因で変動するのか、どのようなリスクがあるのかを確認することが可能です。

各リスクについて

価格変動リスク、流動性リスク、信用リスク、為替リスク、カントリーリスク、金利変動リスクがあります。どのような要因で、投資信託の基準価額が変動するのか確認しておきましょう。

基準価額・純資産額とその推移

目論見書作成時点のファンドの基準価額の推移や、純資産額などが記載されています。分配の推移も記載されており、決算ごとの分配金額や基準価額の騰落率を確認できます。特に基準価額の騰落率は、どの程度下がることがあり、自身の許容できる範囲であるかを確認するために重要と言えるでしょう。

日本株や先進国株、新興国株、国内債券や外国債券等の代表的な資産クラスと、騰落率を比較することでリスク・リターンの判断が可能です。また、ファンドが投資する主な資産の構成や組入銘柄を確認できます。

年間収益率の推移

年間収益率がどの程度の収益率で推移してきたかで、収益性や安定性を確認する目安となります。これらの情報を目論見書で確認しながら、投資対象やリスク・リターンを確認し選んでいきましょう。

申し込みメモ

申し込みメモには、決算期ファンドの諸条件・注意事項などが記載されています。

ファンドの費用

ファンドの購入・保有にかかる費用について、購入時手数料や信託財産留保額や運用管理費(信託報酬・監査費用・その他費用/手数料)、ファンドの分配時、換金(解約)および償還時にかかる税金などが記載されています。

目論見書を見る時の重要ポイント

目論見書を見る時の重要ポイント

目論見書を見る時の重要なポイントは、主に以下の3点です。

・どの投資先に投資され、何をベンチマークとしているか

・どのような運用スタイルで投資されているか

・商品分類やファンドの目的

どの投資先に投資され、何をベンチマークとしているか

目論見書には、どのような基準で投資先を選定しているかなど、銘柄選定の理由も記載されています。目論見書から目的に合った商品であるかどうか確認が必要です。

どのような運用スタイルで投資されているか

その商品がどのような値動きをしてきたか運用スタイルもチェックしましょう。特に、ファンドの騰落率から自身の許容できるリスクに合っているかどうか、アクティブファンドに関しては過去の実績、そして信託報酬等の手数料がどの程度かかるかも確認すべきポイントです。

信託報酬と過去の実績を踏まえ、それだけ高い信託報酬を払う価値のある実績を出せているかどうか見ておきましょう。また、その投資信託の価格に影響を与える要因も確認しておくことも大切です。

商品分類やファンドの目的

目論見書には、こうした投資信託の商品選びにおいて重要なポイントが記載されています。これらを、運用する資金の目的に合っているかどうかを照らし合わせながら見ておきましょう。

運用目的を確認するためには、まずライフプランから資金の目的を確認することが必要不可欠と言えます。ライフプランから「何のための資金がいつ必要なのか」が見えてくると、どのような金融商品で、どの程度のリスクで運用すれば良いかがわかってくるでしょう。

その上で、どの程度のリスクで運用するのかがわかりますので、それを元に適した資産配分を考え、目的に合ったリスクや性質の商品を選びます。まずはライフプランをしっかり考え、目的と一致する商品かどうか目論見書を確認しながら判断するようにしましょう。

まとめ

まとめ

目論見書とは何なのか、着目すべきポイントなどと共にご説明しました。投資信託を選ぶ際に選び方がよくわからず、ランキング上位の商品を選んでみたり、ブログや動画ですすめられているおすすめの商品を選んだりする方は少なくありません。

しかし、投資信託の運用方針や性質、リスクなどを理解して投資しないと、運用する資産の目的に合わず、リスクやコストの高い商品を選んでしまうことがあります。商品自体が良いものでも、ご自身の考え方や許容できるリスクに合わなければ、最適な商品とは言えません。そのため、投資信託を選ぶ上では目論見書の確認が必要不可欠です。

特に、アクティブファンドを選ぶ際には、どのような考え方で、どのように運用しているかが大きく異なるので注意してください。

そして、まずは運用する資金の目的をしっかり把握することが大切です。そのためにはライフプランニングを行い、何年後に必要なお金なのか、それに対してどの程度のリスクを許容できるか等を確認した上で投資しましょう。

将来必要な資金で、リスクを抑え安定的に運用すべき資金なのか、仮に減ってしまっても問題なくリターンを求めたい資金なのかという目的に対し、目論見書からそれに見合った運用が行われているかを確認します。

ライフプランニングで運用する資金の目的を明確にし、ご自身が許容できるリスクの範囲を知り、どのような商品で運用すべきなのかを理解しましょう。その上で、目論見書を確認しながらご自身に合った商品を選ぶのが、失敗しない投資商品の選び方といえるでしょう。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。