仕手株とは?

本記事では、株式投資で損失をできるだけ避けるために覚えておくべき「仕手株」について詳しく解説します。

仕手株とは?

仕手株(してかぶ)とは

仕手株(してかぶ)とは

仕手株とは、巨額の資金を用いて意図的に操作された株のことです。これといったニュースや適時開示がないにも関わらず株価が急騰している場合は、その銘柄は仕手株となっている可能性が高いでしょう。仕手株は集団の投資家によって行われるもので、この集団の投資家のことを「仕手筋(してすじ)」と言います。

仕手株は業績などの根拠がなく上昇するため、多くの投資家から長い間にわたり資金を集められるものではありません。そのため、仕手筋が売却をすると一気に下落するのが一般的です。投資家の中には高値で仕手株に手を出してしまい、大きな損失を被ってしまう人がいます。特にマーケットに慣れていない投資初心者の場合、仕手株を見分けるのは難しいかもしれません。そのため、仕手株についてはしっかり理解しておきましょう。

仕手株の仕組み

仕手株の仕組み

仕手株の仕組みを理解するにあたって、重要な3つのポイントをご説明します。

玉集め

玉集めは「ぎょくあつめ」と読み、仕手筋が仕手株の対象とする株を集めることです。仕手筋は、他の投資家に気づかれないよう少しずつ対象の株を集めます。

なぜなら、玉集めの段階で他の投資家に気づかれるとうわさが広がるなどしてしまい、うまく利益を上げられないためです。そこで一気に購入するのではなく、数ヶ月かけて仕手株の対象とする株を集めるのが一般的となります。

玉転がし

玉転がしは「ぎょくころがし」と読み、一気に株を購入して出来高を上げ、株価を上昇させることです。個人投資家に株の対象の株を購入してもらうため、とにかく目立たせるのが一般的となります。

それまであまり注目されていなかった銘柄の出来高が急に上がると、多くの投資家の注目を集められます。投資家の注目が集まると、当然その株を購入する投資家が出てくるものです。そして一般的に、個人投資家が少しずつ対象の株を買い始めると仕手筋は少しずつ株を売却し、個人投資家が買いやすいように需要と供給を安定させます。需要と供給を安定させることによって、対象の株を買いやすい状況にし、株価を上昇しやすい状況を作るのです。この一連の流れを、玉転がしと呼びます。

ふるい落とし

ふるい落としとは、集めていた株をすべて売却することです。仕手筋は、保有している株を1度に売却することによって巨額の利益を得ます。

もともと出来高が少ない株が仕手株になるケースが多いので、仕手筋が売却をすると一気に株価は下落するのです。結果的に、仕手株にのせられた個人投資家は大きな損失をしてしまいます。

これが、仕手株の仕組みです。仕手株をつかむと大きな損失を負ってしまう可能性があります。そのため、株式投資をするのであれば、仕手株についてしっかり見極めることが重要です。

仕手株になりやすい株を見分けるポイント

仕手株になりやすい株を見分けるポイント

仕手株を見極められないと、思わぬ損失を被ってしまう可能性があります。ここで仕手株になりやすい株を見分けるポイントを4つ解説します。しっかり理解しておきましょう。

発行済み株式数が少ない

仕手筋は、できるだけ多くの株式を集めたいと考えているものです。そして株式は、発行済み株式数が少ないほど集めやすくなります。つまり、発行済み株式数が少ない銘柄は仕手株になりやすいと言えるでしょう。

発行済み株式数の目安は一概に言えませんが、6,000万株が1つの目安になるとされています。もちろん、6,000万株を超えていても仕手株になる可能性はありますので、あくまで目安として覚えておいてください。

株価が安い

株価が安いのも仕手株になりやすい条件の1つです。前述した発行済み株式数が少ないのに似ていますが、株価が安い方が必要な資金も少なく多くの株式を集めやすくなります。株価が安い銘柄のことを低位株と呼びますが、低位株は仕手株になりやすいので注意が必要です。

仕手株になりやすい低位株の目安は、1株当たり500円であると一般的にはされています。しかし、こちらもあくまで目安になりますので気をつけましょう。

出来高が少ない

仕手筋は、一般投資家に気づかれないよう株を集めたいと考えているものです。そのため、普段から出来高が少ない銘柄を仕手株にする傾向があります。出来高が少ないということは、つまり取引している人が少ないため注目されていない銘柄です。多少株価が動いても、ほとんどの人に知られない出来高が少ない株式には注意しましょう。

成長途中の新興株

成長途中の新興株は、前述した3つの条件に当てはまる株が多いでしょう。そのため、仕手株になりやすい特徴があります。新興株は大きく値動きする傾向にあり、大きな利益を狙えるかもしれません。ただし、仕手株にされてしまう可能性もありますので、投資する際は注意するようにしましょう。

まとめ

まとめ

仕手株について詳しくご説明しました。仕手株は投資初心者の方にとって、あまり馴染みがないかもしれません。しかし、株式投資で利益を出すためには、覚えておきたい重要なポイントです。

仕手株と知らずに投資して高値づかみしてしまうと、大きな損失を被ってしまう可能性があります。ここで解説した仕手株になりやすいポイントをしっかり理解し、仕手株に騙されないよう備えましょう。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融を分かりやすく伝えることをモットーに活動中。