三角持ち合いとは?

三角持ち合いはFXや株式の相場で登場する用語です。今回は、その意味や形、取引への活用法などを解説します。

三角持ち合いとは?

三角持ち合いとは

三角持ち合いとは

三角持ち合いとは、レンジ相場(※1)の中で1本のトレンドライン(※2)と1本の水平ライン、または2本のトレンドラインによって形成される三角形ができる相場のことを言います。

(※1)レンジ相場
マーケット全般で使われる言葉で、一定の範囲内で価格が上がったり下がったりを繰り返す相場であり、「ボックス相場」とも呼ばれます。

(※2)トレンドライン
トレンドを規定している重要なサポートライン(支持線)やレジスタンスライン(抵抗線)のことです。一般的に「トレンドラインは株価のサポートライン(支持線)、またはレジスタンスライン(抵抗線)になる」と言われています。

株価や為替の変動が一定の範囲で継続している状態を「持ち合い」と言い、株価の上昇・下落の値幅が徐々に狭まってチャートの形が三角形のようになる状態を「三角持ち合い」と言います。

これは、相場を読むチャート分析の指標の1つで、頂点付近で相場がどちらかに大きく動く傾向が見られるため、売買のサインの1つとして用いられています。金融・経済の専門知識がなくても分析することができ、活用すると短期的な取引に有利ですので、どのようなものなのか理解しておきましょう。

三角持ち合いで出てくる用語

三角持ち合いで出てくる用語

サポートライン(支持線)

過去の相場の下値と下値を結んだ線のことで、「下値支持線」とも呼ばれます。相場が下降した際にこのライン近くまで値下がりすると、買いが増えて下げ渋る傾向があり、この位置から反転するパターンが多く見られるでしょう。
ただし、サポートラインを抜けて下落した場合には、下げが加速することがあります。また、チャート分析では長期移動平均線を支持線として見る場合があることを覚えておきましょう。

レジスタンスライン(抵抗線)

レジスタンスラインは過去の相場の上値と上値を結んだ線のことで、「上値抵抗線」とも言います。相場が上昇した時にこのラインの近くまで値上がりすると、売りが増えて価格の上昇から下降への転換点となるパターンが少なくありません。しかし、レジスタンスラインを抜けて上昇した場合には、上昇が加速することがあります。

三角持ち合いの種類

三角持ち合いの種類 均衡型

上昇トレンドラインと下降トレンドラインによって作られるパターンです。上の図表のように高値と安値の幅(レンジ)が小さくなっていき、二等辺三角形に近い形になり「シンメトリカルトライアングル」とも呼ばれます。買いと売りの攻防が激しく、均衡型の三角持ち合いの形だけでは先行きが不透明で、上か下かどちらにブレイクするか分からない状態です。

この均衡型の三角持ち合いはトレンド継続の形と考えられ、トレンドの途中に発生することが多く、ブレイクした際にこれまでの相場が継続する可能性が高いとされています。そのため、上昇トレンドでこの三角持ち合いが現れた場合には上昇する可能性が高く、下降トレンドで現れた場合には、下降する可能性が高いとされているのです。

上昇型

三角持ち合いの種類 上昇型

上昇型は、上昇トレンドラインとレジスタンスラインにより少しずつレンジが狭くなり、三角形を作っていくパターンのことを言います。「強気な三角持ち合い」「アセンディングトライアングル」などとも呼ばれています。買い優勢によって起きるパターンなので、ブレイクした際に上昇へ向かう確率が高いとされています。

下降型

三角持ち合いの種類 下降型

下降トレンドラインと安値のサポートラインによって徐々に値幅が狭くなり、三角形を作っていくパターンのこと。「弱気な三角持ち合い」「ディセンディングトライアングル」とも呼ばれます。売りが強いために起きるレンジなので、ブレイクした際に下降へ向かう確率が高いとされています。

三角持ち合い活用のコツ

三角持ち合い活用のコツ

買いはレジスタンスラインを上抜けしてから

三角持ち合いの買いのポイントはレジスタンスラインを上抜けしてからです。相場はレジスタンスラインで下落しやすい傾向があり、三角持ち合いでもその傾向が見られます。しかし、そこを突破した場合には買いの勢いが強くなり、大きく上昇する可能性が高くなります。買いのポイントの1つと考えられるでしょう。

売りはサポートラインを下抜けしてから

三角持ち合いの売りのポイントは、サポートラインを下抜けしてからです。価格がそのライン付近に到達すると上昇する傾向があり、三角持ち合いでも同様です。サポートラインを下抜けすることで買いの力が弱まり、売りの力が強くなります。価格も下落する可能性が高まるので、売りのポイントとして考えられます。

トレンドから予想する

一般的にトレンドは相場の大きな波を示すもので、トレンドの方向へ進むよう強い力が働きます。相場は上下を繰り返しながらも平均的には大きな波のような形を形成する傾向にあり、その大きな波の方向がトレンドです。そのため、上昇トレンド中であれば価格も保ち合い(もちあい)を上抜けし、上昇する可能性がさらに高まります。その際に、上昇型の三角持ち合いが出ていれば、この信頼性はさらに高まると考えられるでしょう。

また、下降トレンド中であれば持ち合い後に下抜けし、価格が下落する可能性もさらに高まり、下降型の三角持ち合いであればその可能性はさらに高まると言えます。均衡型の三角持ち合いにおいても直前のトレンドの方向に振れやすい傾向にあるため、直前に上昇・下降のどちらのトレンドであったかで判断することが可能です。

このように、直前のトレンドと併せて考えることで、三角持ち合いからその後の相場の動きを予測しやすくなります。

三角持ち合いの留意点

三角持ち合いの留意点

きれいな三角形になることはほとんどない

三角持ち合いは、図表のようにきれいな三角持ち合いの形になることはほとんどありません。高値・安値に対してレジスタンスラインとサポートラインを引こうとすると、線から大きく外れたポイントが生じてきれいな線が引けないことがほとんどです。すべての高値・安値にラインを引く必要はなく、高値・安値に近いポイントを自分で判断して線を引いて三角形に近い形を作っていきましょう。

だましに注意

三角持ち合いでは、レジスタンスラインとサポートラインからどちらかに抜けたと見せかけて、相場が反転するだましの動きが発生することがあります。レジスタンスラインから大きく上抜けしたと思ったら直後に大きく反発し、下落を始めるなどの動きが発生することがあるでしょう。このだましの動きに引っかからないよう注意することが大切です。ただし、だましを完全に見抜くのは難しいものです。損失リスクを低減させるためにも損切りを設定するなど、対策を講じておくことで損失リスクを低減することが必要です。

スキャルピングの場合の注意点

スキャルピングとは、数秒から数分というごく短い期間で売買を繰り返し、小さな利幅を得るトレード手法です。ポジションの保有時間が極端に短く、すぐ利益確定することが前提です。三角持ち合いのブレイクを利用したスキャルピングでよく見られる失敗は、まだブレイクしていない段階で、ブレイクを期待してポジションを持つことです。ブレイクのポイントをしっかり判断し、そのポイントでポジションを持つことが重要と言えるでしょう。

その反面、三角持ち合いのブレイク後にその方向へトレンドが発生するのか、だましで反転してくるのかは保有期間が短いためあまり気にする必要はありません。仮にだましで反転してきたとしても、既にポジションを決済した後の動きになるため、だましで損失が発生しにくいと言えるでしょう。

自分のスタイルに合った大きさの三角持ち合いを選ぶ

相場では大小様々な三角持ち合いを発見できます。短期トレーダーであれば、小さな三角持ち合いを利用してトレードするのも有効です。自分自身のトレードスタイルに合わせて利用していきましょう。

三角持ち合いとボリンジャーバンドの併用

ボリンジャーバンドとは、アメリカの投資家ジョン・ボリンジャーが考案したテクニカルチャートの1つです。移動平均線とその上下2本ずつの標準偏差からなる線の、計5本の線で表されます。

ボリンジャーバンドは統計学を使って作られていて、大まかに言うと、高い確率で+2σ(標準偏差)と-2σのラインの間で価格は動くだろうという予測をもとに、将来の価格の動きを予測するために使います。σ(標準偏差)とはバラツキの範囲のことで、σ1は約68%の確率で収まる範囲、σ2は約95%の確率で収まる範囲を表すもの。投資における「リスク=振れ幅」を示す数値にσ1が用いられています。

ボリンジャーバンドもトレンドの発生を見つけたり、ブレイクするポイントを教えてくれたりする指標です。そのため、三角持ち合いとの相性が良いと言われています。この三角持ち合いだけでなく、他の分析手法を一緒に活用することで相場を読み取ることができる確率が高くなります。

必ず動きを予測できるものではない

三角持ち合いを活用することで、相場の動きを予想しやすくなるということをお伝えしてきました。しかし当然のことながら、必ずしもここで解説した通りになるとは限りません。そのため、予想に反した場合の損切のポイントをあらかじめ設定しておくなど、損失にいかにして対策するかも重要です。

とはいえ複数回取引を行っていれば、可能性としてはそれぞれの特徴の動きを見せやすくなります。また、慣れないうちはレジスタンスラインとサポートラインの引き方によって三角持ち合いの形が変わり、読み間違えてしまうこともあるでしょう。慣れるまではいきなり大きな金額、レバレッジでは取引せずに、慣れてから徐々に取引額やレバレッジを大きくしていきましょう。

まとめ

まとめ

三角持ち合いとはどのようなものか、どのような種類がありどのように活用していけば良いかなどお伝えしてきました。相場の分析にはファンダメンタルズ分析とチャート分析(テクニカル分析)の二つがあり、主に短期的な取引ではチャート分析の方が有利で、長期的な取引ではファンダメンタルズ分析の方が有利とされています。

プロの機関投資家でも短期での取引を得意とする人はチャート分析のみで取引を判断するという人もおり、ファンダメンタルズ分析と違って経済指標などの専門知識がなくても相場を予想することが可能です。そのため、機関投資家に比べて金融・経済の専門知識の少ない個人投資家に向いている手法とも言えるでしょう。

三角持ち合いは、そのチャート分析の手法の1つです。必ずではありませんが、上手く三角形を見つけて活用すれば利益を得られる可能性は高くなります。そのため、FXや株式など短期的な取引を行う場合には覚えておいていただきたい手法です。また、過去のトレンドや他の分析手法も組み合わせていくことで、より相場の動きを正確に読み取ることができるようになるでしょう。

ただ、初心者のうちは上手くラインが引けなかったり、タイミングを見誤ってしまったりすることもあります。慣れるまでは大きな金額やレバレッジを掛けて取引をしないようにして、慣れてきてから、少しずつ取引額やレバレッジを大きくしていきましょう。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)

日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表
<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。