FXのチャートの見方

為替や株価の値動きを把握できるチャートはFXで利益を出すために欠かせません。今回は、FXのチャートの見方についてご説明します。

FXのチャートの見方

チャートとは

チャートとは

FX(外国為替証拠金取引)は、投資資金が少なくても大きな利益を出せる取引として、非常に人気のある金融商品の1つです。例えば30万円程度の投資資金から1億円以上稼いだ“億り人”も少なくありません。FXには投資資金の数倍の取引ができるレバレッジ機能があるため、投資資金が少なくても大きな利益を狙うことができます。(反面、大きな損失を負ってしまう可能性があります。)そんなFXで利益を出すためには、チャートの見方についてしっかり勉強する必要があります。

チャートとは、価格の動きを示したグラフのこと。FX以外にも、株価など価格が変動するものにはチャートが存在します。FXトレーダーではなくともチャートを見たことがある方は多いでしょう。

チャートを見ることによって為替や株価の値動きを把握できるほか、今後の値動きの分析が可能です。FXの分析方法にはファンダメンタルズ分析とテクニカル分析があり、チャートを使った分析方法はテクニカル分析になります。

ファンダメンタルズ分析とは、雇用統計や政策金利の発表などの経済指標、その国の経済や政治情勢などを分析し、今後の為替や株価の値動きを分析する方法です。ファンダメンタルズ分析は長期の値動きを予想するのに適しており、短期の分析には向いていません。一方でテクニカル分析は、チャートを見て今後の値動きを分析する方法です。チャートを分析するためにはテクニカル指標と呼ばれるさまざまな指標があり、このテクニカル指標を活用することで分析の精度を上げられます。テクニカル分析は視覚的にもわかりやすく短期の値動きも予想できることから、多くのトレーダーが利用している分析方法です。

FXのリアルタイムチャートでは、1分、5分、10分などの区切られた時間で、リアルタイムに変化する為替チャートの動きを観測できます。この一定時間における値動きを表す線のことを「時間足」と呼びます。FX会社によっては1つの画面に複数の時間足を表示することが可能で、時間帯による値動きの違いを一目で把握できます。

チャートの種類

チャートの種類

チャートの種類は多様ですが、主に以下の3つに集約されます。

  • ローソク足
  • バーチャート
  • ラインチャート

各チャートの種類について、詳しく見ていきましょう。

ローソク足

ローソク足

ローソク足とは、1日や1週間などの一定期間を「始値(はじめね)」「高値(たかね)」「安値(やすね)」「終値(おわりね)」の四本値(よんほんね)で表したものです。ローソク足は、「実体」と「ヒゲ」から構成されています。実体は始値と終値で作られたボックスのことで、ヒゲは実体から高値・安値を示す線のことです。ローソク足には陽線と陰線の2種類があり、始値より終値が高い場合は陽線、始値より終値が低い場合は陰線になります。

ローソク足を使うことによって、相場の強弱や方向感を視覚的に把握することが可能です。また、1本のローソクでその期間の始値、終値、安値、高値がわかるため、とても便利なチャートです。日本ではもっともポピュラーで、多くのトレーダーが使っているチャートになります。実はローソク足は日本で発案されたもので、海外でもローソク足の名前で使われている、日本発祥のチャートなのです。

バーチャート

バーチャート

バーチャートとは、始値、終値、安値、高値をバーで表現したもの。欧米でよく使われているチャートで、ローソク足とは違い、バーのみで示しているチャートです。そのため、非常にシンプルなチャートになります。バーチャートは高値と安値を強調したチャートのため、為替レートや株価の動きの方向性を把握しやすいことが特徴です。

ラインチャート

ラインチャート

ラインチャートとは、終値だけをつなげたチャートのこと。始値、高値、安値が表示されないため、シンプルに株価の方向性を把握しやすいチャートと言われています。また、ラインチャートは長期的な流れを把握するのに適しています。

ラインチャートには上昇トレンドと下降トレンドがあります。上昇トレンドとは、株価や為替が直近の高値や安値を切り上げながら上昇していく状態のことで、下降トレンドは、株価や為替が直近の高値や安値を切り下げながら下降していく状態のことを表します。

チャートの見方

チャートの見方

チャートの縦軸は価格を表し、横軸は時間を表します。短期的な動きだけではなく、長期的な動きの確認も重要です。例えば米ドル円のチャートを使った場合、チャートが上に位置するほど円安となり、チャートが下に位置するほど円高となります。円安とは、円が売られて米ドルなどの外貨が買われていること。そして円高は、円が買われて米ドルなどの外貨が売られていることです。

外貨預金の場合、円安にならないと利益を得ることができません。しかしFXでは「売り」から取引できますので、円高になっても利益を上げられます。円高になっても円安になっても利益を出せるのはFXの大きな魅力と言えるでしょう。

チャートを見るときのコツ

チャートを見るときのコツ

チャートを見るときは、まずトレンドを把握するようにしましょう。トレンドとは相場の方向性を示すもの。為替相場は一見複雑に動いているように見えますが、相場の動きは「上昇」「下落」「横ばい」の3つしかありません。相場の方向性を正しく予測できれば、FXで利益を上げる可能性は高まるでしょう。

トレンドを予測するためには、トレンドラインを引くことが非常に有効です。上昇トレンドなのか下落トレンドなのか、それとも横ばいの状況なのか。これを判断するためにチャート上に記す線のことを「トレンドライン」と呼び、正確なトレンドラインを引くことができれば、FXの勝率を上げるのに貢献してくれるでしょう。
トレンドラインは、ローソク足の高値同士または安値同士を結んだ線です。正しく引かれたトレンドラインは、下値支持線と上値抵抗線として機能します。下値支持線とは、チャートで過去の価格の下値と上値を結んだ線で、上昇トレンドの際に見られる線のこと。これに対して上値抵抗線は、チャートで過去の価格の高値と高値を結んだ線で、下降トレンドの際に見られる線になります。

どのローソク足の高値と安値を結ぶかによって、トレンドラインが機能するかしないかが決まるため、トレンドラインを正確に引くにはある程度の慣れが必要です。あまり意味のないローソク足の高値と安値を結んでトレンドラインを引くと、そのトレンドラインはほとんど機能しません。間違えたトレンドラインに惑わされてしまいますので、トレンドラインを引くことが逆にマイナスになってしまいます。

そのためFX初心者は、開設した口座のFX会社が提供しているブラウザのチャート画面や、アプリのチャート画面でトレンドラインを引いてみましょう。この際に利用するチャートは、画面が見やすく操作感に長けているチャートにしましょう。まずはトレンドラインを引くことに慣れることが大切ですので、高度な機能は必要ありません。トレンドラインを引くことに慣れてきたら、高度な機能も併用して使うようにしましょう。

テクニカル分析

テクニカル分析

チャートを正しく読めるようになったら、将来の値動きを予想するテクニカル分析を行いましょう。精度の高いテクニカル分析を行えば、FXの勝率を上げることが期待できます。

テクニカル分析を正確に行うためには、テクニカル指標を使いこなすことが必要です。このテクニカル指標を使いこなせるか否かで、FXの勝率は大きく左右されることになるでしょう。テクニカル分析で扱われる指標には、大きく分けて2つの種類があります。

トレンド系指標

トレンド系指標は、相場の流れを判断するのに役に立ちます。トレンド系の指標は一般的に、相場の流れや勢いに乗って利益を目指す「順張り」の投資手法に用いられることが多いでしょう。トレンド系のテクニカル指標にはたくさんの種類がありますが、代表的なトレンド系のテクニカル指標として「移動平均線」「ボリンジャーバンド」をご紹介します。

移動平均線

移動平均線はもっとも有名なテクニカル指標で、過去一定期間の終値の平均値を結んだラインです。FXに限らず株式投資でも使われるため、これまでに見たことがある方も多いでしょう。

チャートに移動平均線を表示することで、トレンドの方向やトレンドの勢いを見ることができます。移動平均線は過去一定期間の終値の平均値を結んだラインなので、期間を選ぶことが可能。例えば短期のトレンドを見たいなら、5日や20日など期間が短い移動平均線を表示させるとよいでしょう。長期のトレンドを見たい場合は、FXの年間取引日が大体200日なので、200日平均線を表示させると1年間のおおまかなトレンドを見ることができます。

移動平均線を使ったトレード手法の代表格は、期間が短い移動平均線と期間が長い移動平均線の2つを使った「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」でしょう。期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を下から上に抜けていくことを「ゴールデンクロス」と呼び、買いのサインとなります。逆に、期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を上から下に抜けていくことは「デッドクロス」と呼ばれ、売りのサインになります。ゴールデンクロスやデッドクロスは非常にシンプルで、エントリーするチャンスポイントになるため、しっかりと理解しておきましょう。

ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドを簡単に説明すると、高い確率で+2σ(標準偏差)と-2σのラインの間で価格は動くであろうという予測をもとにして、将来の価格の動きを予測するために使われるテクニカル指標です。統計学上、+2σと-2σの間に収まる確率は95.45%とされていますので、かなり正確に今後のレンジを読むことができるテクニカル指標になります。

レンジ相場は長く続くことが多いため、ボリンジャーバンドをうまく使えば、値幅は少ないものの何度も利益を取れるでしょう。

オシレーター系指標

オシレーター系のテクニカル指標は、買われ過ぎや売られ過ぎを判断し、投資の基準とするためのものです。一般的には相場の流れと逆に投資をすることで、利益を目指す「逆張り」の投資手法に用いられます。オシレーター系のテクニカル指標はたくさんありますが、代表的なものとして「RSI」「ストキャスティクス」をご紹介します。

RSI

RSIとは「Relative Strength Index」の頭文字をとった略語。日本語にすると、相対力指数と言われるものになります。RSIは一定期間における価格の変動幅から、相場の買われ過ぎ・売られ過ぎをパーセンテージで表したテクニカル指標。オシレーター系の代表的な逆張り指標です。
RSIは0%から100%の数字で表され、目安はRSIが70%~80%を超えると買われ過ぎ、反対に20%~30%を割り込むと売られ過ぎと言われています。

ストキャスティクス

ストキャスティクスの英語表記は「Stochastics」です。過去一定期間(一般的には9日間)における高値・安値に対し、当日の終値がどのような位置にあるのかを数値化することによって、価格の推移傾向を判断しようとするものです。ストキャスティクスは、0%から100%の範囲で推移します。

相場の「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断することができ、視覚的にすぐにわかることが特徴です。現在値が割高か割安かを見る際に力を発揮し、一般的に「逆張り」などに使用されるテクニカル指標になります。ストキャスティクスの目安は20%以下で底値圏、80%以上で高値圏と呼ばれていますので、参考にしてください。

まとめ

まとめ

今回はFXのチャートの見方についてご説明しました。FXはレバレッジ機能があり、投資資金が少なくても大きな利益を狙える可能性のある取引です。(もちろんマイナスになる可能性もあります。)しかしFXで利益を出すためには、しっかりとFXの勉強をしなければなりません。中でもチャートは、FXで利益を出すために必要不可欠な知識と言えるでしょう。ここで解説した内容を参考にFXのチャートについて理解を深め、FXでの利益獲得を目指してみてください。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)

FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。