国債とは?

学校で習うこともある国債について、言葉の意味や特徴、種類などを詳しく解説します。

国債とは?

国債とは

国債とは

国債とは、国が発行する債券のことです。政府が財政支出を税収で補いきれない、あるいは公共事業費等への投資を目的とした資金を調達する場合に発行しているものです。投資家は国債を購入することで、国にお金を貸し出すこととなります。国債を購入後に満期まで保有すれば、最初に投資した元本と追加の利子を受け取ることが可能です。そのため、無リスク資産などとも呼ばれています。「国の借金」とも呼ばれるものの大部分が日本国債のことであり、2021年9月の時点では約1,000兆円にもなっています。

個人投資家は金融機関で国債を購入でき、1万円から投資することが可能です。また、自分自身が日本国債を直接購入していなくても、金融機関(銀行、保険会社等)に預金したり保険商品を契約したりすることによって預けたお金、払った保険料の一部が国債で運用されています。

国債の種類

国債の種類

利子がつく「利付国債」と利子がつかない「割引国債」があり、利払い方法が違う点を覚えておきましょう。個人で買いやすい国債は「個人向け国債」か「新窓販国債」があり、どちらも利付債で3年・5年・10年ものがあります。

また、物価連動債は物価上昇率(インフレ率)に応じて元本が変動する債券です。通常の固定利付債の場合、元本と利率は固定であり、利払い額および償還額は変動しませんが、物価連動債の場合、利率は固定であるものの、物価上昇に連動して元本が増加するため利払い額や償還額が増加します。従って、物価連動債はインフレが起きても実質的な価値が低下しない債券と言えるのです。

なお、物価連動債は現在、個人で購入することはできません。個人向けに販売される予定でしたが発売が中止され、現在では債券投資信託でのみ購入可能です。

個人向け国債の特徴

個人向け国債の特徴

金利タイプは「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があり、購入単位は最低1万円から1万円単位で購入可能です。10年ものであれば変動金利であり、一般的に物価上昇に伴い金利も上昇することが多いでしょう。そのため、必ずしも連動するわけではありませんが、物価上昇に応じある程度は対応して資産の目減りを防ぐことができます。また、最低でも年利0.05%が保証されています。

個人向け国債のメリット

個人向け国債のメリット

国が元本と利子の支払いを保証していることは大きなメリットと言え、安全に大きなお金を運用したい人に適しています。預金の場合はペイオフで1つの金融機関で最大1,000万円とその利息までが保護されますが、国債の場合は満期で償還を受けるまで保有していれば元本保証で、日本政府が債務不履行にならない限りは元本割れすることはありません。1年経過後に換金することができ、中途換金した場合は、直近2回分の利子を返すだけですので、過去に受け取った利子と合わせると元本割れはありません。金融機関の破綻から資産を守るためには日本国債は優れた安全性がある資産の保管先と言うことができます。

また、1万円から投資可能で、目的に合わせて金利タイプを選ぶこともできます。そのため、3年・5年・10年までの期間で元本の変動なく資産を運用したい場合には、国債は適しているでしょう。

個人向け国債のデメリット

日本国債の金利は、いわゆるバブル期を頂点にほぼ一貫して下落を続けています。2016年1月のマイナス金利政策以後、個人向け国債は最低保証の0.05%にまで下がっている状況です。個人向け国債は最低保証がありますが、金融機関や機関投資家が購入する国債については10年国債であっても、金利0をさらに下回りマイナスになっていることが多くあり、過去に例を見ない低金利となっています。このような超低金利時代ですので、金利を得ることによる利益はあまり期待できません。

また、物価上昇に対しては弱い性質があり、今後、日本が経済成長等により物価が上昇することになれば物に対する価値が薄れ、物を買う力が弱まってしまうことが考えられます。そのため、運用の目的に合わせて使い分けることが重要になります。

国債に投資するなら債券型の投資信託もおすすめ

国債に投資するなら債券型の投資信託もおすすめ

債券型の投資信託とは、社債や国債といった複数の債券へ投資を行う投資信託のことです。日本国債のみでなく、地方債や社債にも分散投資することができます。個人向け国債は最低1万円から購入できますが、LINE証券では、債券型の投資信託なら100円から購入が可能です。債券型の投資信託は国債のみでなく社債等にも分散投資しているため、日本国債のみに投資した場合と比較すると収益もあげられる可能性があります。

債券型の投資信託は、一般的に株式と逆の値動きになる性質があります。資産運用や資産形成においては株式投資信託のリスクを低減し、安定的に運用するための手段として大変有効です。
国内債券に投資する投資信託は一般的にリスクも低いため、10年以内の短期~中期の運用であっても元本割れの可能性も低くなります。元本割れしたとしても損失は小さいため、短期~中期の資産形成や運用にも適していると言えるでしょう。

また、バランス型ファンドを用いることで、株式や債券等の複数の資産に分散投資することもできます。資産形成や資産運用を行うにあたり、債券型の投資信託をどの程度の資産配分に組み入れるかは、よく検討しておくことが重要です。

日本国債の安全性、日本の財政について

日本国債の安全性、日本の財政について

日本の借金は1,000兆円といったことが言われるように、財政について不安視される声があります。もう数十年も前から財政破綻目前であるという専門家もおり、現在でも財政が危機的状況であるという説があるようです。
しかし、財務省の公的文書(外国格付け会社宛意見書要旨)によると、日本国債やアメリカの国債のような債券は自分の国の通貨で発行されており、デフォルト=債務不履行の可能性は考えられないとされています。その理由は下記のようなものです。

  • マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
  • その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
  • 日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高

これらは2002年に外国格付け会社が日本国債を不当に低く評価したとして、財務省が公式に抗議した際の言葉で、日銀の黒田総裁(2021年現在)が当時作成したものです。

わかりやすく言うと、日本人は世界でも稀に見る貯蓄の多さで、多額の預金資産を持っています。国民の預金は金融機関、保険会社、年金基金等を通じ国債に投資されているため、多額の預金資産を持つ日本では国債は大部分を我々国民が間接的に保有していることになります。その結果、日本国債は極めて低金利でありながらも安定的に買われているのです。

一般的に、信用が低い相手にお金を貸す際には金利が高くなります。債務不履行に陥る可能性が高いということは、高い金利を受け取らなければリスクに見合ったリターンにならないということです。そのため、投資家にとっては高い金利を受け取れないと、投資するメリットが無いと判断されるのです。
例えば、住宅ローンのように、しっかりローンを返済していける見込みのある人は、1%を下回るような低い金利で借りることができます。一方、信用が低くとも借りることができる消費者金融で、年間14%~15%もの利息になるような高金利が設定されているのはそのためです。

しかしながら、日本国債は10年ものでありながらも0%前後を推移している状況です。また、経常収支とは日本が外国から受け取る利子や配当、輸入と輸出の差額等を合計した数値のことで、1981年以降年単位での経常収支は黒字続きとなっています。その結果、外国に対して保有する資産と負債の差額は日本円で300兆円以上もの黒字であり、世界最大の債権国となっています。

そして、日本やアメリカの国債は自国通貨建てであり、日本であれば円を、アメリカであれば米ドルをその国の中央銀行が発行することができます。そのため、金融緩和政策によって国債を買い取ることができるため、債務不履行になることは考えられないとされているのです。財務省は当時、これらのことを理由に日本政府の財政が危機的状況であることを公式に否定しました。これらの条件は2021年現在でも変わっておらず、現在でも同じことが言えるでしょう。そのため「日本は借金大国」と言われながら、世界でも類を見ない超低金利を維持していると言われています。

また、40年ものの超長期国債でさえも2021年現在で1%を下回る水準です。日本国債のデフォルトの可能性が低いことを市場が評価していると共に、経済成長率の可能性、物価上昇の可能性も低いと評価されていると読み取ることができます。そのため、日本国債のデフォルトの可能性は低く、安全性は極めて高いと言うことができるでしょう。

仮に日本国債がデフォルトするようなことが懸念される場合には、円安が急速に進行して日本国債の金利の急上昇が起きます。日本の財政破綻について不安視する声もありますが、仮に本当に起きるとしたら、その前に為替と金利に大きな変動があります。不安に思う方は、これらをチェックしておくと良いでしょう。

まとめ

まとめ

国債とはどのようなものか、メリットやデメリット、日本国債の安全性について解説しました。金利が低く投資対象としての魅力が薄れている反面、資産の保管先としては満期まで保有すれば元本が守られることなどメリットがあります。そして、債券型の投資信託を通じて100円から日本国債や地方債、その他社債に分散投資することも可能です。
国債や債券の性質を理解し、債券型の投資信託を活用することでご自身の求めるリスク・リターンに調整すれば、将来の資金作りやまとまった資産の運用に役立つことでしょう。
また、まとまった預金資産をお持ちの方にとって、国債は金融機関の破綻などから安全に資産を守るためにも活かせます。国内の公社債であればローリスクであるため、短期~中期の資産形成にも活用することが可能です。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)

日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表
<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。