アクティブファンドってなに?

様々な種類がある投資信託ですが、ここでは大きな利益を狙えるアクティブファンドについてご説明します。

アクティブファンドってなに?

アクティブファンドとは

アクティブファンドとは

資産運用を行うための金融商品には、様々な種類があります。その中でも投資信託は、株式投資と並んで多くの投資家に利用されている金融商品です。投資信託はプロのファンドマネージャーに運用を任せられるので、投資初心者の方にも利用しやすいでしょう。
ただ、一口に投資信託と言っても多くの種類があります。そこで今回は、投資信託の代表的なカテゴリーの1つであるアクティブファンドについてご説明します。

アクティブファンドとは、プロのファンドマネージャーが投資商品を選定・運用し、収益が指数(ベンチマーク)を上回ったり市場平均以下にリスクを抑制したりする運用を行う投資信託のことを言います。企業価値に対して価格が割安とされる銘柄に投資するバリュー投資や、今後の成長が期待できる銘柄に投資するグロース投資、そして、特定の業種やテーマに沿った銘柄を組み入れるテーマ型投資などがあります。

バリュー投資

バリュー投資とは、企業の利益や資産などの基準に対して割安なものに投資する手法です。PERやPBRの低いもの、配当利回りの高いものなどが代表的な選択基準になります。これらの基準を見て、株価が割安におかれている企業が投資の対象です。

グロース投資

グロース投資とは、企業の利益成長に主眼をおいて投資する手法です。PERやPBRなどのファンダメンタルズ指標が割高でも企業の成長性を重視し、業績の伸びとともに株価の上昇が期待できる銘柄に投資する投資手法になります。

このようにアクティブファンドには様々な投資手法があります。運用するファンドマネージャーの意向によって大きく運用成績が左右されるのが、アクティブファンドの特徴と言えるでしょう。

アクティブファンドとインデックスファンドの特徴

アクティブファンドとインデックスファンドの特徴

アクティブファンドについて説明しましたが、「インデックスファンド」という投資信託もあります。インデックスファンドは、日経平均株価などの株価指数に連動するような、市場全体の平均的な収益の追求を目的としています。アクティブファンドとインデックスファンドの特徴を見ながら、その違いを知りましょう。

アクティブファンドの主な特徴

  • 日経平均株価などの指数を上回ることを目標とする
    アクティブファンドは、日経平均株価やNYダウなどの株価指数を上回る運用実績を目標にしています。株価指数を上回る運用ができなければ、アクティブファンドの意味がありません。また、ファンドマネージャーがわざわざ運用する必要もありませんので、当然と言えるでしょう。指数に連動したインデックスファンドが高い実績であれば、インデックスファンドの方が手間もかからずコストも安くなります。

    また、アクティブファンドは指数の構成銘柄に投資するだけなので、ファンドマネージャーではなく誰でも行えます。アクティブファンドが存在感を出すために、指数よりも運用実績を上回ることは非常に大きなポイントとなります。

  • 調査や分析を通じ銘柄を厳選
    アクティブファンドは、運用を担当するファンドマネージャーが投資銘柄を分析・調査して投資する銘柄を決めます。アクティブファンドの中にも多くの銘柄に分散して投資されているものがありますが、一般的にはインデックスファンドに比べて投資している銘柄数は少ないでしょう。

  • ファンドマネージャー次第
    徹底的に調査・分析して、ファンドマネージャーが選び抜いた銘柄に投資されているのがアクティブファンドです。どの銘柄にどのくらい投資するかもファンドマネージャーが決めるので、インデックスファンドとはまったく違う投資信託となります。もちろん、運用期間中もリバランスやポートフォリオの見直しは行っていますが、アクティブファンドの実績はファンドマネージャー次第で決まります。

  • 手数料が高い
    インデックスファンドは日経平均株価などの指数に連動させた運用になるので、連動を目指した指数の構成銘柄に同じ比率で投資するだけです。当然、AIなどのコンピューターで簡単に行えますので、手数料は低い傾向にあります。

    インデックスファンドの中でもポピュラーな日経平均株価に連動するファンドの場合、手数料が低いファンドが多いでしょう(購入時手数料無料で信託報酬0.5%%以下など)。

    一方のアクティブファンドは、ファンドマネージャーが分析・調査をして投資する銘柄を決め、運用期間中もリバランスやポートフォリオの見直しを行います。当然、調査費用やリバランスなどをすると費用がかかってきます。アクティブファンドは、インデックスファンドに比べると手数料が高いファンドが多いです。
    ただし、手数料以上の実績を見込めるのであれば、手数料が高いというだけで投資の検討から外すのはやめた方が良いでしょう。実績や運用方針も確認した上で、手数料とのバランスを考えて投資するファンドを決めるのがおすすめです。

インデックスファンドの主な特徴

  • 指数に連動す
    インデックスファンドは日経平均株価などの指数に連動しているファンドです。日経平均株価などの指数は、スマホなどで簡単に確認ができます。値動きなどの把握が非常に簡単になりますし、基準価額の変動要因も容易に確認できます。
  • 指数と同様の構成
    インデックスファンドの投資銘柄の構成は、連動を目指している指数と同様の構成になります。日経平均株価に連動するインデックスファンドであれば、東証一部に上場されている225社に投資されており、投資配分も日経平均株価と同様です。
  • 手数料が安い
    インデックスファンドは指数と同様の構成で投資するだけなので、誰でも真似ができます。投資資金の問題はありますが、決して難しい運用ではありません。よって、手数料も安くなります。

アクティブファンドのメリット

アクティブファンドのメリット

アクティブファンドには様々なメリットがありますが、ここでは2つの点について取り上げました。

大きな利益を出せる可能性がある

アクティブファンドは、ファンドマネージャーの腕によって大きな利益を出せる可能性があります。一般的にアクティブファンドの構成銘柄は、日経平均株価などに連動するインデックスファンドに比べて少なくなります。つまり、少数精鋭の銘柄に投資をしているので、この銘柄が大きく上昇すれば、インデックスファンドよりも大きな利益を得ることができるでしょう。

アクティブファンドはインデックスファンドと比べると、信託報酬が高いのが一般的です。そのため、より高い実績を出さなければなりませんが、大きな利益を狙えるのは、アクティブファンドの持つ最大のメリットと言えるのではないでしょうか。

商品の種類が豊富

冒頭でもご説明しましたが、アクティブファンドにはいろんな運用方針のファンドがあるので、商品の種類も様々です。割安株に投資するバリュー投資や、成長株に投資するグロース投資、話題のテーマを扱っている企業に投資するテーマ株投資など、アクティブファンドに多くの種類があります。豊富な商品ラインアップから投資するファンドを選べるのは、アクティブファンドの大きなメリットになるでしょう。

アクティブファンドのデメリット

アクティブファンドのデメリット

アクティブファンドには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。ここでは具体的に3つのデメリットを取り上げます。

運用コストが高い

アクティブファンドはファンドマネージャーが投資する銘柄の調査や分析をするため、運用コストが高くなります。また、ファンドによっては頻繁にリバランスやポートフォリオの変更を行うので、信託報酬や購入時手数料はインデックスファンドに比べて高い傾向にあるのです。運用コストが高くなってしまうと、いくら実績が良くてもコスト分だけ運用成績を圧迫してしまいます。そのため、運用コストが低いファンドに比べて、より高い実績を出さなければなりません。運用コストが高いことは、アクティブファンドの大きなデメリットでしょう。

市場平均を上回る利益が出るとは限らない

アクティブファンドはプロのファンドマネージャーが運用するため、投資家から見るとインデックスファンドより高い実績が期待できると思うかもしれません。しかし、アクティブファンドは、常に市場平均を上回る利益が出せるとは限らないのです。銘柄選定に失敗すると、市場平均を上回るどころか市場平均を大きく下回ってしまいます。実際、アクティブファンドの中にはインデックスファンドよりも下回るファンドがありますので、注意が必要です。

成績はファンドマネージャーの手腕次第

アクティブファンドの成績は、ファンドマネージャーの手腕によって決まります。運用を担当するファンドマネージャーの腕が良ければ、大きな利益を期待できるでしょう。一方、腕が悪いファンドマネージャーの場合、市場平均を下回る結果になってしまうかもしれません。

インデックスファンドの場合は市場平均を目指して運用するファンドになりますので、よほど大きな経済危機が起きない限り、ある程度は安定した結果を期待できます。しかし、アクティブファンドはいくら経済の状況が良くても、ファンドマネージャーの銘柄選定や運用が下手だと大きく資金を減らしてしまうことになるでしょう。そのため、どのファンドを選ぶかがとても重要になります。

まとめ

まとめ

投資信託の中のアクティブファンドについて、詳しくご説明しました。アクティブファンドはインデックスファンドに比べ、高い実績が出る可能性があります。しかし逆に、大きく資金を減らしてしまう可能性も覚えておかなくてはいけません。アクティブファンドには様々な種類がありますので、ご自身の運用方針に合ったファンドが見つけやすいでしょう。しかし、ファンドによって実績は大きく異なりますので注意が必要です。今回ご紹介した内容を参考に、ぜひアクティブファンドについて理解を深めてください。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えることをモットーに活動中。