リスクリワード比率とは?

投資においてはとても大切な考え方である、リスクリワード比率について解説します。

リスクリワード比率とは?

リスクリワード比率とは?

リスクリワード比率とは?

リスクリワード比率とは1回のトレードにおける、「リスク(損失)」と「リワード(報酬)」の比率を示します。投資の損益を考えるにあたり重要な数値であり、FXにおいては勝率と並んで特に重要な数値です。一度の取引におけるリスクに対して、どのくらいの利益を上げているか数値化したものとなります。

主にFXの取引において重視されることが多いですが、機関投資家などプロのトレーダーであっても、トレードを繰り返していく中で損失は必ず発生します。その損失をどの程度まで許容し、トータルでどの程度の利益を出せるか、それを確認する数値の1つがこのリスクリワード比率です。リスクリワード比率はリスクリワードレシオとも呼ばれ、1回のトレードについて、その価値を定量化できます。

FXにおいては、資金管理できていることが利益を上げるコツの1つです。リスクリワード比率を正しく認識することで、過去のトレードを正しく評価し、小さく勝って大きく負けるといったようなことを防ぐことができるでしょう。

勝率が高くても、一度に大きな損失を出すとトータルで損失になってしまうことがあります。反対に、勝率が低くても一度に得られる利益が大きければ、トータルで利益を得られるかもしれません。その際に、勝率と併せてこのリスクリワード比率を用いて計算していきます。

リスクリワード比率の計算方法について

リスクリワード比率の計算方法について

リスクリワード比率は、下記のように計算して求めることができます。

【計算式】リスクリワード比率=勝ちトレードの平均利益÷負けトレードの平均損失

トレードの結果を、勝ったトレードのみを平均した平均利益と負けたトレードを平均した平均損失に分けて平均値を算出し、勝ちトレードの平均利益を負けトレードの平均損失で割った数字がリスクリワード比率になります。例えば、勝ちトレードの平均利益が1万円だとして、負けトレードの平均損失が1万円ならば下記のような計算式です。

【計算例】平均利益1万円÷平均損失1万円=1

このように、勝ちトレードの平均利益と負けトレードの平均損失が同額であれば、リスクリワード比率は「1」となります。この場合、買ったときも負けたときも平均が1ですから、単に勝率が50%よりも高ければトータルで利益となり、勝率が低ければ損失になります。

リスクリワードが1を超えると勝ちトレードの平均利益の方が負けトレードの平均損失よりも高く、1を下回ると負けトレードの平均損失の方が勝ちトレードの平均利益を上回るということです。

また、勝ちトレードの平均利益が2万円で、負けトレードの平均損失が1万円だとすると以下のようになります。

【計算例】平均利益2万円÷平均損失1万円=2

この場合、リスクリワード比率は「2」です。反対に、勝ちトレードの平均利益が1万円で、負けトレードの平均損失が2だとすると次のような計算になります。

【計算例】平均利益1万円÷平均損失2万円=0.5

この場合、リスクリワード比率は「0.5」です。

リスクリワード比率活用のポイント

リスクリワード比率活用のポイント

勝率との関係性

FXにおいて利益を出すには、前述の計算例のようなリスクリワード比率と勝率を考えることがとても重要です。勝率とは利益を出した取引数とトータルの取引数の割合で、下記のような計算式で算出します。

【計算式】勝率=利益を出した取引数÷トータルの取引数

例えば、10回トレードを行い、5回利益を出していれば勝率は50%です。リスクリワード比率が1の場合、1回の取引における利益と損失が同じですので、勝率が50%を超えていればトータルで利益が出ていることになります。一方、50%を下回ってしまうと損失となります。

リスクリワード比率が2であれば、1回の取引の損失に対し利益が2倍になっているため、勝率が50%を下回っていても利益になります。反対にリスクリワードが0.5であれば、勝率が50%を上回っていたとしても損失になってしまいます。極端な例を挙げると、1回の勝ち平均が1万円で、勝率が10回中9回だったとしても、1回の負けが10万円になれば勝率90%なのにマイナスということになってしまいます。

このように、利益が出た回数が多くても、一度に大きな損失を出しているとトータルで損失となります。一方で利益が出た回数が少なくても、一度に大きな利益が出ていればトータルではプラスになります。

バランスが重要

FXにおいてはこのバランスが重要になります。小さな利益をコツコツ積み重ねていても、損切りのタイミングを見誤ったがために一度に大きな損失を出してしまい、勝率が高くてもトータルで損失になってしまうということはよくあることです。そのため、勝率だけでなくリスクリワードも合わせ、トータルの利益を狙っていくことが大切と言えるでしょう。

リスクリワード比率は、「損失額1:利益額2」または「損失額1:利益額3」が最適な比率と言われています。「利益額>損失額」とすることで、たとえ勝率が低いとしても利益が得られる可能性を高められます。

リスクリワード比率の低いトレードでないかチェック

エントリーをする前に、そのトレードがリスクリワード比率の低い、割に合わないトレードではないかチェックし、エントリーするかどうかを決定するのがおすすめです。リスクリワード比率が低いと、勝率を高めても一度の損失で積み重ねてきた利益を失ってしまうこともあります。そのため、リスクリワード比率が低くなりそうな取引の場合は見送り、高い取引を目指すのも1つでしょう。

反対に、リスクリワード比率が低くても勝率を高めることで、トータルでの利益を狙っていく戦略も良いでしょう。リスクリワード比率が小さくても、小さく勝てる相場で高い勝率を得られれば利益を狙っていくことができます。この場合、損切りのポイントはしっかり決めて損失が大きくならないようにしながら、小さな利益でもコツコツ積み重ねていくことが大切です。

勝率は低くてもリスクリワード比率を高めるか、リスクリワード比率は低くても勝率を高めることで利益を狙うか、2つの関係をしっかり理解してどちらの方針でトレードを行うか考えておきましょう。

リスクリワード比率を改善する方法

リスクリワード比率を改善する方法

リスクリワード比率と勝率の改善が、FXの利益のためには大切です。では、どのように改善していけば良いかを考えてみましょう。

まずは、リスクリワード比率と勝率を、それぞれの過去分析することが重要です。トータルの利益はリスクリワード比率と勝率で決まり、リスクリワード比率と勝率どちらかを上げることで利益を増やすことができ、両方を少しずつ上げることで利益アップが期待できるでしょう。そのため、現在のリスクリワード比率と勝率を把握し、両方もしくはどちらかを改善する戦略を考えることができれば、トータルで利益を高められるのです。

また、ご自身の過去の実績をリスクリワード比率と勝率で数値化し、定量的に把握することができれば改善点が見えてきます。一度の損失の金額が大きくなってしまいがちな場合は、損切りのラインを早い段階で設定するよう検討してみましょう。そうすれば、損失額の平均値を下げ、リスクリワード比率を高めることが可能です。

そして、勝率を一気に上げるより、1回の取引におけるリスクリワード比率を改善する方が難易度は低く、損失を抑えながら利益を高める方法を考えていきましょう。

エントリーをする際には、どんなときでも利確目標と損切りラインを想定し、リスクリワード比率が「1」以上になるよう取引を行います。そのためには、損切りのラインをしっかり決め、大きな損失にならないよう損切りラインを設定しておくことが必要です。

そうしないと、予想に反した値動きになった際に損失が大きくなってしまい、リスクリワード比率を下げてしまいます。利益は小さくても、損切りラインをしっかり定め損失を大きくならないように設定することで、リスクリワード比率を高められます。

そして、目標としている数値に満たないと考えられるエントリーは、勇気を持って見送ることも重要です。勝率を高めるだけでなく、大きく負けないことも大切で、そのためには損切りのポイントが重要になってきます。

まとめ

まとめ

リスクリワード比率について解説しました。リスクリワード比率と勝率は、FXにおける考え方としてとても大切なものです。この2点のバランスが重要であり、リスクリワード比率が低いと勝率が高くても損失になってしまうことも多く、反対にリスクリワード比率が高くても勝率が低すぎると利益にはなりません。

リスクリワード比率を高めるためには、大きなリターンを狙っていくよりも、大きな損失を出さないように損切りのラインを決めておくことが大切です。損切りのラインを適切に設定し、その上で分析の精度を上げて勝率を上げることで、利益を向上させることができるでしょう。

しかし、FXに限らず投資における失敗の原因として、なかなか損切りできないという投資家の心理があります。「損をしたくない」という心理がかえってマイナスに働いてしまい、損失が出た状態でポジションを決済することができず、相場が戻ることを期待し結果損失が膨らんでしまうという状況です。

このような心理を「サンクコスト効果」と呼びます。事前に一定の条件になったらポジションを決済するなどの注文を出し、機械的にトレードを行うことで、こういった損失を防げます。リスクリワード比率を活用し、ご自身の過去のトレードの分析と適正な損切りラインの設定を行い、平均リターンを向上させるために活用してみてください。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。