ミーム株とは? 事例と危険といわれる理由を解説!

今注目されているミーム株について、事例を取り上げながら詳しく解説します。

ミーム株とは? 事例と危険といわれる理由を解説!

ミーム株とは

ミーム株とは

ミーム株とは、SNSなどで大きく注目が集まり、短期間で急激に株価が上昇した銘柄のことです。一般的に企業の業績に関係はなく、ツイッターなどのSNSによって株価が上下します。

例えば、投資掲示板などに集まった投資家が一斉にその株を買うことによって株価が上昇し、一斉に売却することによって株価が下落します。個人投資家が主になるので、1人当たりの投資金額は多くありません。しかし、多くの投資家が集まることによって株価を大きく動かします。また、テスラの創業者であるイーロンマスクなど著名人の発言も、ミーム銘柄の大きな変動要因になっています。

ミーム株は米株で一躍有名になりましたが、日本にもあります。外食産業や人材サービス関連の銘柄がミーム株候補と考えられており、今後、日本でもミーム株が定着するかどうか注目されています。

ミーム株の事例

ミーム株の事例

米株の主なミーム株の事例について、3つを取り上げてご紹介します。

ゲームストップ

2020年12月~2021年1月にかけて株価の急上昇がありました。1984年創業のゲームストップは、ゲームストアを展開する企業です。オンラインゲームが全盛のゲーム業界の中で、業績は低迷していました。しかし、アメリカの投資掲示板であるレディットで機関投資家の空売りが話題になり、レディットに集まった多くの個人投資家は結託してゲームストップ株を買ったのです。その結果、機関投資家は個人投資家の買いに耐えられなくなり、買い戻しを迫られて、さらに株価は上昇しました。なんと、株価は2021年1月25日の76.79ドルから27日の347.51ドルまで急上昇したのです。

1月27日には、ゲームストップは大幅に5日続伸しました。一時は前日比2.6倍の380ドルちょうどを付け、今年に入って株価は20倍に上昇した格好です。ヘッジファンドの空売りが多い銘柄に個人が集団で買いを入れ、売り方の買い戻しを誘う展開が続いています。これについて、ホワイトハウスの報道官が「バイデン政権は同社株の状況を注視している」と異例の発表をしました。

AMCエンターテインメント

AMCエンターテインメントは、全米で主に映画事業をしている会社です。主に北米で約5,000スクリーンを持ち、約350の映画館を運営しています。

AMCエンターテインメントはコロナウイルスの影響で、映画館の営業ができないなど壊滅的なダメージを受けていました。しかし、投資掲示板であるレディットで注目を集め、SNSで連携した個人の買いが集まり、2021年6月2日には注文殺到で数度にわたり売買停止となったほどです。この時点でAMCエンターテインメントの株価は2021年に入って29.5倍になり、2021年5月23日の週と2021年5月30日の週だけでも5.2倍に上昇しました。6月1日には株式発行で調達した資金を映画館の増設や改修などに充てると発表し、買いを誘ったことも一因となっているようです。

ロビンフッド

ロビンフッドは2021年7月29日にナスダックに上場をしたネット証券です。こちらもやはりレディットで注目を集め、8月3日の終値は46.80ドルと、7月29日の上場時の公開価格(38ドル)を大幅に上回りました。成長株投資で知られる米投資会社アーク・インペストメンツが上場以来、ロビンフッド株を買い続けていると伝わったことも要因になっているようです。

当時のロビンフッド株は、運用会社大手のフィデリティの売買高ランキングでも最上位にありました。さらに、翌日の8月4日には4日続伸。SNSで連携した個人の投機的な買いが集まり、株価は一時、前日比81.6%高の85ドルちょうどまで急騰しました。急騰に伴う変動率の急上昇で、複数回にわたって売買が停止されたほどです。

しかし、その翌日に27.6%安と大幅下落しました。8月5日に複数の大株主のベンチャー・キャピタルが、保有株を売却する計画を米証券取引委員会(SEC)に届け出たことがきっかけです。発行済み株式数の12%相当が市場で売却される見通しで、需給悪化を牽制した売りが出ました。まさにミーム株らしい動きと言えるでしょう。

日本のミーム株とは

日本のミーム株とは

ミーム株はアメリカが中心ですが、日本にもミーム株はあります。ここで、日本の代表的なミーム株についてご紹介しましょう。

ひらまつ

高級レストランを経営するひらまつは、2021年5月中旬からわずか3週間程度で株価は60%ほど上昇しました。ひらまつは継続疑義注記銘柄で機関投資家の保有が少ないため、個人投資家で株価を動かせる側面がある銘柄です。ちなみに、継続疑義注記銘柄とは、事業の継続に問題が生じた場合には、財務諸表などに注記することが義務付けられている銘柄になります。
日本にはアメリカと違い、ストップ高やストップ安があります。そのため、アメリカのミーム株に比べると大きな動きではないかもしれませんが、それでも十分な上昇率と言えるでしょう。

ペッパーフードサービス

いきなりステーキなどを展開するペッパーフードサービスも、ミーム株と呼べるかもしれません。過剰出店や新型コロナウイルスの影響で、2020年12月期の決算は大幅赤字になってしまいました。その後、株価は低迷していましたが、2021年6月にストップ高まで株価が上昇する日があったのです。

2021年の業績は月次動向が前年同月比で大幅なプラスに転じているとはいえ、なかなか説明しづらい株価の動きでした。こちらも、個人投資家がSNSで情報を集め買いに走った可能性が十分にあるのではないでしょうか。

ミーム株のメリット

ミーム株のメリット

ミーム株への投資は危険な面もたくさんありますが、メリットもあります。具体的なミーム株のメリットは2つに集約されますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

短期で大きな利益を得られる可能性がある

ミーム株には、上述したゲームストップなどの銘柄のように、1日で株価が倍になりうる銘柄もあります。情報を正確に取ることができれば、超短期間で大きな利益を上げられる可能性がある夢のある銘柄です。1日にしてテンバガーを達成できる可能性があることは、ミーム株に投資するメリットの1つと言えるでしょう。一方で、短期間で大きな損失を被ってしまう可能性もあります。こちらは後程ご説明します。

SNSに慣れている人なら、いち早く情報をつかめる可能性がある

ミーム株に、一般的な株式投資に求められる銘柄分析などの知識はほとんど必要ありません。SNSに慣れている人なら、いち早く情報をつかめる可能性があります。

本来、株式投資で利益を出すためには、経済全体の知識や銘柄分析をするための知識などが必要です。しかし、ミーム株はそのような知識が基本的に必要ない、SNSでこれから注目される銘柄になります。つまり、経済金融の知識がほとんどなくても、SNSに慣れている人なら大きな利益を出せる可能性があるのです。

ミーム株は危険?

ミーム株は危険?

あくまでミーム銘柄の需給バランスは、インターネットで作られた一過性のブームです。インターネットで発信され、情報や有名人の発言により需給バランスが急激に崩れ、株価が急激に変動します。株価が急上昇する代わりに急落する可能性もあり、リスクが大きい銘柄と言えるでしょう。

ミーム株は一般的に投機色が強く、特にアメリカ株式市場には値幅制限がないため、損失が大きくなることも少なくありません。短期で大きな利益を上げられる可能性がある一方、逆に大きな損失につながってしまう可能性がある点については、投資する際に十分な注意が必要です。

信用取引でミーム株の取引を行うのは避けたい

日本でもミーム株が現れつつありますが、日本の株式市場にはアメリカの株式市場と異なり、ストップ高とストップ安があります。

ちなみにストップ高とストップ安とは、株価が1日で変動できる上限と下限のことです。米株に比べると一定のストッパーが存在することになりますので、安心感があるかもしれません。
ただ、いくらストップ高やストップ安があっても、大きく損失を出す可能性は十分に考えられます。特に、信用取引でミーム株の取引をする際は理解しておきましょう。十分な資金力がない限り、信用取引でミーム株の取引するのは控えた方が無難です。なぜなら、1日で数十%株価が変動することもあり得るからです。SNSなどでミーム株を見つけた場合も、余裕のある資金の範囲内で投資するようにしましょう。

まとめ

昨今注目を集めている、ミーム株について詳しくご説明しました。ミーム株は、超短期間で大きく上昇する可能性がある夢のある銘柄です。また、経済金融の知識がなくてもSNSに慣れていれば、ミーム株を見つけることができる可能性があるでしょう。
しかし、ミーム株の上昇はあくまで一過性であるケースが多いものです。その後、急落することも多い銘柄であることを十分に理解しておきましょう。もしも、ミーム株に投資するのであれば、値動きへの注意が欠かせないことも覚えておきましょう。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えることをモットーに活動中。