メキシコペソ投資の基礎知識【概要編1】

メキシコペソ投資の基礎知識【概要編1】

メキシコペソの特徴

【資源国通貨】

メキシコは、原油や天然ガス、銀などの鉱物資源が豊富なため、メキシコペソは「新興国通貨」であると同時に「資源国通貨」にも位置付けられています。このため、原油など資源価格の動向に影響を受けやすい特徴があります。

【米国経済との結び付きが強い】

メキシコは米国と国境を接しており、地理的条件から貿易面でアメリカへの依存度が極めて高いです。特に輸出は全体の約8割が米国向けになるため、米景気の影響も受けやすいです。

【出稼ぎ労働者の送金】

近年は生産拠点を消費地に近づける「ニアショリング」を進める企業が多くなっているため、米国に隣接するメキシコの地理的な重要性が再評価されています。米経済とメキシコ経済の連動性が一段と高まる見通しです。また、米国で出稼ぎを行うメキシコ人が多く、本国への送金はメキシコ経済や経常収支にも大きな影響があります。その意味でも、米経済動向(特に賃金や雇用環境)に注目が必要です。

メキシコペソの魅力

【高金利通貨として人気】

メキシコペソ/円は、高金利通貨として日本の個人投資家の人気が高い通貨ペアになっています。メキシコ中央銀行は、伝統的にインフレ抑制に積極的な金融政策スタンスにあり、特に高インフレ環境だと高金利通貨としての魅力が高まります。保有していると金利(スワップポイント)を多く受け取ることが可能なため、短期だけではなく中長期的な投資対象としても注目されています。

【資源高環境で投資妙味】

資源価格動向の影響を受けやすいため、原油や銀価格などの上昇局面で投資の妙味が高まります。近年、脱炭素のエネルギー移行の混乱を迎える中、原油価格の水準が切り上がっていることが投資対象としての魅力を高めています。また、メキシコは世界最大の銀生産国です。太陽光パネルなど銀需要の拡大期待も注目されています

【新興国の中では高格付け】

S&P、ムーディーズ、フィッチなど大手格付会社がメキシコを「投資適格」と評価しているため、他の新興国と比較して格付けが安定していることも投資対象としての魅力になります。他の新興国通貨と比較すると投資環境の急変リスクは低いとみられています

メキシコペソのリスク

【リスクオフ局面では値下がりリスク】

メキシコペソは新興国通貨、資源国通貨になるため、投資家のリスク選好性が後退した局面では、値下がりするリスクが高まります。株価急落といった動きがみられると、メキシコ経済状況とは関係なく投資家が資金引揚げを進める可能性が高まります

【ペソ買い人気の反動で、持高調整だと急落も】

メキシコペソ/円は高金利通貨としての魅力が高いため、キャリートレード(=低金利通貨で資金を調達し、高金利通貨に投資する取引)の対象になりやすい通貨です。このため、投資家の建玉はペソ買い・円売りに大きく偏りやすいため、何かネガティブな材料が出てくると、一斉に建玉を解消する動きで大きく値下がりするリスクがあります。

【米国との関係悪化に要注意】

米国との経済的な結び付きが強いため、米国との関係性には注意が必要です。メキシコは、米国企業の誘致、米国向け輸出、出稼ぎなどで米国から外貨を獲得しています。その反面、米国ではメキシコとの貿易赤字、メキシコ人移民や出稼ぎ労働者に対する不満もあります。実際に、トランプ米政権時にはメキシコ製品に追加関税を課すといった強硬姿勢もみられました。

メキシコの国勢データ

メキシコの国勢データ

2023年8月作成

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レポート作成元:マーケットエッジ 代表取締役 小菅努

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