ジャスダックとは?

新興企業市場の代表格であるジャスダックについてご説明します。ジャスダックの上場基準などについて理解を深めましょう。

ジャスダックとは?

ジャスダック(JASDAQ)とは

ジャスダック(JASDAQ)とは

ジャスダックとは、東京証券取引所が運営する中小型株を中心とした株式市場の1つで、2021年9月14日現在、694社もの企業が上場しています。中小型株を中心とした株式市場には、ジャスダック以外にもマザーズといった市場があります。ジャスダックは新興市場向けの市場ではありますが、歴史も長く新興企業とは言えない企業も多いのが特徴です。

ここでは、ジャスダックについて、その特徴や関連する指数、投資に関わるメリットやデメリットなどを解説します。同じ新興企業向け市場であるマザーズとの違いについても解説しますので、参考にしてみてください。

ジャスダックとマザーズの違いと上場基準

ジャスダックとマザーズの違いと上場基準

まずは、同じ新興企業向けの市場であるマザーズとの違いについて説明します。ジャスダックとマザーズは上場基準も違いますので、理解しておきましょう。
ジャスダックは新興企業だけではなく、老舗企業も存在する市場になります。
一方、マザーズは新興企業が多いのが特徴です。

ジャスダックは二部構成(スタンダード市場・グロース市場)

マザーズは一部構成であるのに対し、ジャスダックだけは二部構成です。ジャスダックはスタンダード市場とグロース市場の2つで構成されており、それぞれ上場基準も異なります。

スタンダード市場は、一定の事業規模と実績を有している成長企業が対象です。一方でグロース市場は、特色のある技術やビジネスモデルを有し、成長可能性のある企業を対象としています。たとえ赤字であっても、成長可能性があれば上場できる可能性がある市場なのです。

2021年9月14日現在、スタンダード市場には657社上場しており、グロース市場には37社が上場しています。主な銘柄については後ほど紹介しますので、参考にしてください。

それぞれ上場基準が異なる

ジャスダックとマザーズは上場基準も異なります。また、ジャスダックの中でもスタンダード市場とグロース市場で上場基準が違うため、しっかり理解するようにしましょう。以下に、ジャスダックとマザーズの上場基準についてまとめました。

ジャスダックとマザーズ

マザーズに比べると、ジャスダックのスタンダード市場は1億円以上の経常利益、そして2億円以上の純資産額が求められる点が大きく異なります。

また、ジャスダックのグロース市場は赤字であっても上場できるため、スタンダード市場に比べるとハードルが低いのも特徴です。参考までに、東証一部と東証二部の上場基準についてもまとめてみましたので、簡単に確認してみてください。

東証一部と東証二部

ジャスダックのスタンダード市場は、グロース市場やマザーズに比べて老舗企業が中心です。例えば、日本マクドナルドホールディング(2702)やワークマン(7564)など、業歴が長い企業も多数上場しています。2021年8月13日時点のジャスダックのスタンダード市場における時価総額上位の5社についてまとめましたので、こちらも参考にしてください。

ジャスダックのスタンダード市場

ジャスダックのグロース市場は、新興企業が中心です。上場企業数は30社程度と少ないですが、シンバイオ製薬(4582)やジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(7774)など、特殊な技術を持った企業が上場しているのが特徴と言えるでしょう。
2021年8月13日時点のジャスダックのグロース市場における時価総額上位の5社について、以下にまとめました。

グロース市場

また、以下でマザーズに上場している時価総額上位の5銘柄についてもまとめました。

マザーズ市場

同じ新興企業市場のジャスダックとマザーズでは、上場銘柄に大きな違いがあることがわかります。また、ジャスダックの中でもスタンダード市場とグロース市場では上場銘柄にそれぞれの特色がありますので、しっかり理解しておきしましょう。

ジャスダックに関する指数

ジャスダックに関する指数

株式指数と言えば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)が有名ですが、ジャスダックに関する指数もあります。ここで、下記の主な3つの指数について解説しましょう。

  • 日経ジャスダック平均株価
  • JASDAQ TOP20
  • JASDAQ INDEX

日経ジャスダック平均株価

ジャスダック市場の全銘柄を対象とし、日経平均と同じくダウ式(権利落ちによる値下りがなかったように修正した上で算出したもの)にて、算出している株価指数のことを言います。日経ジャスダック平均株価は1983年11月新算出が開始されており、ジャスダック全体の動向を知るのに必要不可欠な株価指数です。

JASDAQ TOP20

JASDAQ TOP20は東京証券取引所がJASDAQ市場を代表する20銘柄を選出し、算出する指数です。構成銘柄は以下の通りになります。

JASDAQ TOP20

ジャスダックに上場されている695銘柄の中から、流動性や時価総額などなどの条件を用いて絞り込まれたJASDAQ市場を代表する20銘柄で構成。JASDAQ TOP20の構成銘柄は毎年見直しが行われ、10月の最終営業日に銘柄の入れ替えが実施されます。

JASDAQ INDEX

ジャスダックの全銘柄を対象とし、時価総額加重方式で算出されている指数のこと。JASDAQ市場全体の動向を把握することができます。JASDAQ INDEXは1991年10月28日の時価総額を基準(100ポイント)として、東証株価指数と同じ時価総額加重型で算出されている株価指数です。

このJASDAQ INDEXは、「ジャスダック指数」や「JQ指数」とも呼ばれています。JASDAQ INDEXに連動したETFもあるため、投資初心者の方でも簡単に投資が可能です。また、スタンダード上場銘柄対象のJASDAQ INDEX(スタンダード)とグロース上場銘柄対象のJASDAQ INDEX(グロース)もあります。

ジャスダック上場株式への投資メリット/デメリット

ジャスダック上場株式への投資メリット/デメリット

ジャスダックに上場されている銘柄に投資する、メリットやデメリットについてご説明します。

メリット

東証一部に上場されている大型銘柄に比べて価格変動が大きく、大きな利益を狙える可能性があることです。東証一部上場銘柄に比べると、ジャスダックに上場されている銘柄は時価総額が低く、売買高も大きくありません。そのため、ちょっとしたことで大きな値動きが起きやすいのが特徴です。

テンバガーと呼ばれる1年間で株価が10倍以上値上がりする銘柄は、そのほとんどがジャスダックやマザーズなどの新興企業市場で誕生しています。そのため、大きな利益を狙いやすいこともメリットと言えるでしょう。

デメリット

値動きが激しい分、価格が大きく下落し大きな損失が出る可能性があります。東証一部の上場銘柄は、比較的安定している銘柄が多く値動きも少ないのが特徴です。しかし、ジャスダックに上場されている銘柄の多くは非常に値動きが激しいので、大きく損失を被ってしまう可能性があるでしょう。そのため、投資初心者の方は控えた方が良いかもしれません。

まとめ

新興企業市場のジャスダックについて詳しくご説明しました。ジャスダックは市場区分がスタンダードとグロースに分かれており、それぞれの市場に特徴があります。また、同じ新興企業市場のマザーズと上場基準は大きく異なるほか、マザーズに比べると老舗企業が多い市場です。

新興企業市場は東証一部上場の銘柄に比べると、大きな利益を出しやすい点がメリットと言えるでしょう。しかし、その分だけ大きな損失を被ってしまう可能性もあります。ジャスダックなどの新興市場で投資する際は、十分に注意してください。
とはいえ、もちろん怖いだけではありません。1年間で株価が10倍以上になるテンバガー銘柄を見つけられる可能性もありますので、非常に夢のある市場であるともいるでしょう。ここで取り上げた内容からジャスダックについて理解を深め、ご自身の投資に役立ててください。

監修者プロフィール:

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。