テクニカル分析ってなに

2021年8月23日

 

テクニカル分析は難解な言葉が多く、苦手な方が多いかもしれません。ここでは、そんなテクニカル分析についてわかりやすく解説します。

テクニカル分析とは

株式やFXの相場を読むための分析手法には、大きく分けて「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2種類があります。テクニカル分析は過去の値動きをチャートで示し、トレンドやパターンを把握することで株価や為替の値動きを予想するもの。これに対して、ファンダメンタルズ分析は企業の財務状況や業績を分析し、株式や為替の動きを予測する手法です。

 

テクニカル分析では、チャートや為替レート、株価を基にして計算したテクニカル指標を中心にして分析。チャートを使った分析では過去のチャートを使い、過去の為替や株価の値動きを調べ、そこからエントリーや決済のタイミングを分析します。

 

為替レートは長期的に見るとファンダメンタルズに概ね沿って変化していきますが、FXは数時間や数分など、もっと短いスパンで取引することもあります。短期間の為替レートの変動はファンダメンタルズ分析では正確に分析しづらいもの。為替のその時々の需給などテクニカルな要因が大きな影響を与えます。そのため、比較的短期トレードの多いFXで利益を上げるためには、特にテクニカル分析が有効といえるでしょう。

テクニカル分析の種類

テクニカル分析にはさまざまな種類がありますが、主に4つに分類されます。それぞれ、特徴について見ていきましょう。

 

ローソク足分析

ローソク足分析とはローソク足を用いた、日本でもっともポピュラーな分析手法のこと。分析に用いる指標はローソク足ですが、これはその名前の通り、値動きをろうそくのような形で表すのが特徴です。

ローソク足分析では、シンプルなグラフの中から多くの情報を読み取れます。ローソク足のチャートは一定期間ごとの「四本値」を基にして描き、四本値はある期間(日や週)などにつけたレートの中で、重要な4つのレートのこと。以下、重要な4つのレートについてまとめました。

 

[始値]一定期間内、最初につけたレート

[高値]一定期間内の中でもっとも高かったレート

[安値]一定期間内の中でもっとも安かったレート

[終値]一定期間内、最後につけたレート

 

ローソク足のチャートでは、ろうそくのような形の棒が横に多数並んでいます。その1本1本のローソク足が、ある期間の四本値を表しているのです。例えば、日単位のローソク足のチャートでは、1本のローソク足が1日分の四本値を表しています。

 

このローソク足は実体とヒゲから成り立っており、ヒゲは通常は上下にあり「上ヒゲ」「下ヒゲ」と呼ばれるのが一般的。実体はローソク足の四角の部分を指していて、始値と終値を表しています。

始値より終値が高い場合は実体の下の端が始値、上の端が終値を表し、このようなローソク足は「陽線」と呼ばれます。一方で、始値より終値が安い場合、実体の上の端が始値で下の端が終値を表し、このようなローソク足は「陰線」と呼ばれています。

 

このように、1つのローソク足にさまざまな情報が詰まっているため、一度ローソク足に慣れると瞬時に多くの情報をつかむことができます。

 

トレンド分析

トレンド分析とは、市場全体の方向感(トレンド)を見極めることを目的とした分析手法のこと。一定期間のチャートを見ていると、レートがある方向にしばらく動いているポイントを見つけられます。

この、しばらく一定の方向へレートが動いていくことを「トレンド」と呼び、トレンドは大きく分けて「上昇トレンド」「下落トレンド」「レンジ」という3つの種類に分けるのが一般的です。トレンドは一定期間続くので、正確に見つけられれば大きな利益を上げられるでしょう。トレンドを見つけるために使われる代表的な指標は、移動平均線、MACD、DMIなどが挙げられます。

 

<移動平均線>

移動平行線はトレンド系でもっともポピュラーな指標で、移動平均は直近の一定期間のレートの平均のことです。例えば10日間移動平均線の場合、本日を含む直近10日間のレートを平均した値のことを指します。一定期間の為替レートの動きを簡単に視覚的につかむことができるため、多くのトレーダーに利用されているトレンド系指標です。

 

<MACD>

MACDとは、2本の移動平均線がどれくらい乖離しているかによって、トレンドの継続や転換を探っていこうとするもの。この指標では、直近の値動きを重視した指数平滑平均線というものが多く用いられます。

 

価格変動の特徴の1つとして、天井近辺でもっとも上昇が強くなり、底値付近でもっとも下落が強くなるという性質が挙げられるでしょう。これが、2本の移動平均線の乖離という現象で確認できます。つまり、天井圏で加熱したときは短期移動平均線と長期移動平均線の乖離が最大に広がり、底値圏でも同様の動きとなるのです。このように、MACDは大衆心理を表すトレンド系指標になり、うまく使いこなせばトレンド転換の兆しを察知できるようになるでしょう。

 

<DMI>

DMIは3本のラインを使い、トレンドを把握するテクニカル指標です。

ローソク足の下に表示するのが一般的で、「+DI」と「-DI」、「ADX」の3つのラインがあります。「+DI」は買いの強さ・上昇の勢いを表し、「-DI」逆に売りの強さ・下降の勢いを表したもの。そして、「ADX」はトレンドそのものの強さを表すテクニカル指標です。上昇と下降の相反する指数のため、覚えやすいのではないでしょうか。

 

オシレーター分析

オシレーター系分析とは、現在のトレンドの強さや過熱感など変化の大きさや兆しを予測するための分析手法のこと。オシレーター系分析に用いる指標には、RSI、ストキャスティクス、移動平均線乖離(かいり)率などが挙げられます。

 

<RSI>

RSIは日本語で「相対力指数」と呼ばれ、今の相場は「売りと買いのどちらが強いか」のバランスを百分率(%)の数字で表す指標です。数値が0に近づくにつれ売りが強い弱い相場で、数値が100の場合は買いが多く強い相場ということになります。

 

<ストキャスティクス>

ストキャスティクスは過去一定期間(一般的には9日間) における高値・安値に対し、当日終値がどのような位置にあるのかを数値化することによって、価格の推移傾向を判断しようとするものです。

0%から100%の範囲で推移し、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」を判断します。0%に近づくほど売られすぎ、100%に近づくほど買われすぎを表し、現在値が割高か割安かを見る際に力を発揮。一般的に「逆張り」などに使用されるテクニカル指標です。

 

<移動平均線乖離(かいり)率>

移動平均線乖離率とは、移動平均線の乖離率によってトレンドを読むこと。乖離率にはトレンドによって取る値が異なるという特徴があり、上昇トレンド中にはレートは移動平均線より上にあることが多いでしょう。そのため、乖離率はプラスの範囲で上下しやすくなります。

 

一方、下落トレンド時にはレートは移動平均線の下にあることが多いでしょう。そのため、乖離率はマイナスの入り上下しやすくなります。そして、レンジ状態になるとレートが移動平均線と頻繁にクロスするため、乖離率は0%近辺の値も頻繁に取るようになるのが特徴です。

 

このように、トレンドによって乖離率は異なります。乖離率を見ることで、トレンドを読む精度が上がるでしょう。

 

フォーメーション分析

フォーメーション分析とは、特徴的なチャートパターンから今後の株価の動向を予想する分析手法のこと。代表的なフォーメーション分析には、ダブルボトム&ダブルトップ、三角保合い(さんかくもちあい)などが挙げられるでしょう。

 

ダブルボトムやダブルトップが出ると、一般的に下落トレンドや上昇トレンドの終了が近いことを意味します。また、三角保合いは高値と高値を結んだトレンドラインと、安値と安値を結んだトレンドラインがぶつかり、三角形になるチャートパターンのこと。

三角保合いには「均衡型」「上昇型」「下落型」があり、均衡型はレンジ相場が続き、上昇型は上にブレイクしやすく、下落型は下にブレイクしやすいといわれています。

 

その他に出来高の分析などユニークな分析方法も存在しますが、まずはこれらのテクニカル指標をしっかり理解しておきましょう。

テクニカル分析のメリット

ここではテクニカル分析のメリットについて、代表的といえる3つのものを取り上げて解説します。

 

株価の動きを視覚的に把握できる

テクニカル分析はファンダメンタルズ分析と異なり、株価の動きを視覚的に把握できます。ローソク足や移動平均線などのテクニカル指標を使うことによって、視覚的にわかりやすく値動きを見ることが可能です。チャートの知識があれば経済に関する深い知識がなくても利用できるのは、テクニカル分析の大きなメリットでしょう。

 

分析精度は自分の分析力次第

テクニカル分析は、数多くの分析を行うことによって分析精度を上げられます。テクニカル分析の精度を上げるためには、慣れることが非常に重要。分析精度を自身の努力で上げられることは、一つのメリットといえるでしょう。

 

機関投資家との情報格差が少ない

テクニカル分析を行うための情報はチャートに集約されているため、機関投資家との情報格差が少ないでしょう。ファンダメンタルズ分析の場合、どうしても情報がたくさん入ってくる機関投資家が有利になりがちです。しかし、テクニカル分析はそのような差がありません。

テクニカル分析のデメリット

多くのメリットがある一方、テクニカル分析にもデメリットがあります。ここで、主なデメリットを3つ解説します。

 

分析通り/過去のパターン通りに市場が動くとは限らない

どれだけ正確にテクニカル分析ができても、分析通り・過去のパターン通りに市場が動くとは限りません。つまり、テクニカル分析の精度は100%にはならないのです。

 

突発的な出来事への対応が難しい

テクニカル分析は、リーマンショックやコロナショックなどの突発的な出来事に対応が難しい特徴があります。経済ショックが起こるとセオリーは完全に無視されますので、テクニカル指標は通常時のように機能しません。

 

売買シグナルは実際の動きから少し遅れる

テクニカル分析は、売買シグナルから実際の動きが少し遅れる傾向にあります。つまり、どんなに正確にテクニカル分析ができても、もっとも良いタイミングでエントリーするのはかなり難しいということです。

まとめ

テクニカル分析について詳しくご説明しました。FXや株式投資の相場分析方法は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つに大きく分かれます。ファンダメンタルズ分析は長期での相場予測に向いていますが、短期の予測には向いていません。一方、テクニカル分析は短期の相場分析に向いているので、FXなど比較的短時間で結果を出さなければならない金融商品向きといえるでしょう。

 

テクニカル分析は、普段聞きなじみのないさまざまなテクニカル指標を使いこなせなければなりません。そのため、一見すると、とっつきにくいと感じる方が多いでしょう。しかし、一度慣れるとテクニカル分析はとても便利です。ここで取り上げた内容を参考に知識を深め、テクニカル分析をうまく使いこなせるようになりましょう。

監修者プロフィール:

渡辺 智(ワタナベ サトシ)

FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>

大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。