サラリーマンにおすすめな投資とは?注意点も解説!

昨今の預金や保険商品の金利の低下、iDeCoやNISAの普及を受け、投資が少しずつ一般的になり始めています。今回はサラリーマンにおすすめの投資と注意点を解説します。

サラリーマンにおすすめな投資とは?注意点も解説!

サラリーマンは投資をするべき?

サラリーマンは投資をするべき?

日本人は幼少の頃から、お金について教わることがほとんどありません。特に、投資については「ギャンブルみたい」「危ない」と考えている方も多いでしょう。しかし、サラリーマンこそ、株式投資などの資産運用に興味を持たれていいかもしれません。

1998年を境に、日本人の平均年収は減少傾向となっています。もちろん、これは必ずしも日本人全体の所得の低下を表すものではありません。しかし、高度経済成長時代のような大幅な賃金上昇はあまり期待できず、企業も退職後の生活を支えられるような十分な退職金を払うことも難しい状況になってきていると言えるでしょう。そうなると、ご自身で老後に向けた資金計画を考えておかなければ、いざ老後を迎えた際にお金に困ってしまうかもしれません。

そして、昨今は預金金利や保険商品の予定利率の低下により、預貯金や保険では資産が増えない時代になっています。以前は老後のための資産形成と言えば、個人年金保険や養老保険、子どもの進学資金は学資保険が主役でした。

しかし、昨今では低金利の影響で、それら商品の魅力も薄れてしまっています。このような状況から、会社員でも将来を意識し、低金利でも老後の資金やご自身の人生設計を実現するため、資産形成に投資を活用する必要があると言えるでしょう。

サラリーマンにおすすめの投資商品の種類

サラリーマンにおすすめの投資商品の種類

株式投資

サラリーマンにおすすめの投資商品に、株式投資が挙げられます。
株式投資のメリットは、預金の金利よりも大きな配当を受け取ることができ、値上がり益も期待できる点です。また、株主優待を受け取ることができるのも魅力の1つでしょう。

その反面、値下がりする可能性があるというデメリットがあります。万が一、その会社が倒産してしまった場合には、投資した資産が0になってしまうことも考えられます。デメリット対策には、複数の企業や業種、国に分散させることが有効です。ただし、複数の銘柄を保有するには大きな資金が必要となり、銘柄をひとつひとつ注文する必要があるため非常に手間がかかります。

そんな時に便利なのが、投資信託やETFなどの金融商品です。

投資信託

投資信託は、投資家から集めた資金をプロがまとめて運用方針に沿った方法で運用し、その成果を投資家に返してくれる金融商品となります。

メリットはプロが運用してくれることと、1つの銘柄を購入するだけで国内外の数十・数百社に分散投資できる点です。これによって、株式投資の価格の変動を軽減したり、運悪く倒産してしまったりした場合にも、あまり影響なく投資できます。株式投資のデメリットを上手くカバーしながら投資することが可能なのです。

一方で、投資信託の価格は1日の取引が終わった後ですので、リアルタイムの値動きを見ながら買い付けることはできません。そのため、短期的な取引には不向きであり、短期間で大きな利益を狙うことは難しい商品と言えるでしょう。また、運用のプロが運用すると言っても、商品によっては成績が思わしくないものもあります。

ETF

これ対して、ETF(Exchange Traded Fundの略)は上場投資信託のことを示す言葉で、投資信託の種類の1つです。投資信託と異なり、個別銘柄の株式を買う時のように市場の価格がリアルタイムに反映され、常に変動する相場に対し分散投資を行うこともできます。

ただし、通常の投資信託で得られる分配金は再投資されて複利の効果を得られますが、ETFで得られる分配金は再投資されず受け取ることしかできません。分配金を自動的に再投資するには、通常の投資信託の方が有利と言えます。このように一長一短ありますので、ご自身のスタイルに合った方を選ぶと良いでしょう。

サラリーマンにおすすめの投資手法

サラリーマンにおすすめの投資手法

まずは老後資金や教育資金など、ご自身の望む人生設計を実現するために、将来いつ・いくらのお金が必要かを知ることが大切です。

そして、その中で10年程度を目安に、それ以上の長期間使わないお金に対して投資を行うと良いでしょう。その際に心がける点は、「長期投資」「分散投資」「積立投資」の3点です。

長期投資

長期投資とは、短期間で売買を繰り返すのではなく、長期にわたって金融商品をそのまま持ち続ける投資のことを言います。長期的な利益を狙う投資ですので、細かな価格の値動きはあまり気にする必要はありません。

分散投資

また、将来の資産形成のためには個別の株式ではなく、複数の銘柄や業種、国に分散投資することが重要です。投資信託を用いれば手軽に分散投資が可能になり、国内外の株式や債券を組み合わせることでリスクをコントロールすることもできます。

積立投資

そして、「積立投資」もポイントの1つです。「ドルコスト平均法」と呼ばれ、定期的に価格が高い時も安い時も、一定額ずつ購入を続ける投資法のことを表します。

投資信託は毎月一定額ずつ積立で購入する設定を行うことで、自動的に積立投資が可能です。これによって買い付け価格を平均化でき、高値の時にまとめて買ってしまうことを避けられます。つまり、10年以上の期間、ご自身のリスクに合った投資信託で将来の資金を積み立てることで、リスクを低減しながら将来の資金を増やすことが可能なのです。

株式を長期で保有すれば配当や株主優待を得ることも可能

また、将来の資産形成には投資信託が向いていますが、株式を長期で保有すれば配当や株主優待を得ることもできます。

個別銘柄を選ぶ際には、上場企業が公表する決算情報やその企業の置かれている状況、マーケットの展望など、上場企業の考え方をチェックする必要があり、重要な局面を逃がさないためにも日ごろから情報収集しておきましょう。

その結果、企業経営や世の中の情勢を読み解く目を養うことにも繋がりますので、サラリーマンとして役立つスキルが身につきます。

デイトレードはサラリーマンに不向き

なお、デイトレードはサラリーマンに不向きと言えるでしょう。デイトレードとは短い期間で売買を行い、利益を積み重ねていくことです。平日の日中に株価等の相場を注視する必要があるため、日中仕事をしていて相場の変動を見ることが難しいサラリーマンには向きません。

ただし、海外の市場に上場されている銘柄等は日本時間で夜間に市場が開いているため、夜中でも取引することが可能です。また、国内の株式の取引も時間外取引ができるサービスもありますので、興味があれば活用してみると良いでしょう。

サラリーマンが投資を行う際の失敗例

サラリーマンが投資を行う際の失敗例

投資を行う際には、なぜ「投資が危ない」と言われているのか知ることも大切です。ここで、どのような具体的な失敗例をいくつか挙げてご紹介します。

生活費を割いて投資資金に充てる

投資はあくまで長期間使う予定のないお金や、余剰資金で行うことが大切です。生活費を割いて投資を行うと生活資金が足りなくなり、損失が発生した状態で売却して生活資金に充てなければならない場合もあります。日々の生活費や10年以内を目安に使う予定のあるお金、想定外の事態に備えた資金を預金等で確保しながら、投資には長期的な視野で使う予定のない資金を充てましょう。

1つの銘柄にこだわりすぎる

1つの銘柄に集中投資すれば、大きく成長した際に大きな利益を得ることができます。しかし、大きな損失になることもあり、場合によっては価値が0になってしまうこともあるでしょう。失っても良い余剰資金であれば、そのようなことになっても問題はないかもしれませんが、今と将来の生活資金がもしなくなってしまったり、大幅に減ってしまったりすれば大変です。目的をしっかり分け、将来の資金は長期的に投資信託等を活用しながら分散投資していくようにしましょう。

損切りができない

将来の資産形成では、基本的に損切りという考え方は必要ありません。しかし、個別の銘柄やFX等の取引を行う際には、損切りをするポイントをあらかじめ決めておくことも必要です。そうでないと、損失がさらに大きくなってしまう可能性があります。投資では、予想に反した動きをすることがよくあります。損失を最小限で食い止めるため、損切りするタイミングを定めてトータルでの利益を狙いましょう。

よく考えずに投資してしまう

「○○が良いと聞いた」「ランキング上位になっていたから」などの理由から、投資の目的がよくわからないまま投資商品を選んでしまう方が少なくありません。

しかし、「目的」あっての「手段」ですので、目的がわからなければご自身に適した投資商品もわからないでしょう。さらに商品の詳細もわからないままでは、許容できる範囲を上回るリスクがあったり、大きな損失が発生して怖くなって売却してしまったりという事態になりかねません。投資の目的を明確にし、それに合った商品であるかをよく理解した上で投資しましょう。

サラリーマンが投資を行う際の注意点

サラリーマンが投資を行う際の注意点

投資を行う際には、以下のような注意点についても理解しておきましょう。

就業規則に抵触しないようにする

株式投資は基本的に副業には該当せず、公務員でも違反にはなりません。しかし、就業規則にて禁止されているケースもあるため、知らずに投資すると後々トラブルになる可能性もあります。就業規則等で事前に確認しておきましょう。

本業に影響が出ないようにする

投資を始めると相場の変動が気になり、仕事中にチャートをチェックするなど、業務に支障が出てしまうケースがあります。ある程度のまとまった資金があるなら別ですが、一般的なサラリーマンは仕事中にチャートをチェックして取引する時間があるならば、仕事に集中して成果を挙げたり、自らのスキルアップのために時間を費やしたりした方が自身の収入増に繋がるでしょう。投資を行うことで企業経営や世の中の動きがわかるようになり、本業がプラスになる場合もあります。しかし、本業に割くべき時間が奪われてしまっては逆効果ですので注意してください。

投資の目的を明確に持ち、無理のない資金計画を立てる

あらゆる金融商品を選ぶ際に共通していることですが、まずは何のためのお金なのか目的を明確にすることが必要です。それによって、選ぶべき金融商品は大きく異なります。そのため、まずはライフプランを考えてお金の目的をはっきりさせましょう。

税の優遇が受けられる制度を活用する

近年はNISAやiDeCoのような税制が優遇された制度がありますので、これらのお得な制度を活用しましょう。一般的に投資では、利益に対して20.315%が課税されます(分離課税を選択した場合)。しかし、iDeCoやNISAの制度を利用して得られた利益は非課税になりますので、将来的に大きな差となるはずです。
また、iDeCoに関しては掛金全額が税金の控除の対象となるため、所得税や住民税が安くなる効果もあります。老後の資金や子どもの進学資金など、目的に応じて上手に活用していきましょう。

納税に注意する

株式投資で利益を得た場合、利益に一定の割合をかけた金額を税金として納めなくてはいけません。株式投資で得られる利益には、株式を購入した価格と売却した価格の差額によって発生するキャピタルゲインと、配当のようなインカムゲインがあります。キャピタルゲインは譲渡所得として課税され、下記のような計算式で分離課税されます。

【計算式】譲渡益(買った値段より高く売れた場合の差額)×20.315%(=所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

配当所得についても譲渡所得と同様の税率がかかり、上場株式の譲渡所得と配当所得は損益通算が可能です。なお、これらの税金は証券口座を開設する際、自動的に損益を計算して20.315%を分離課税してもらえる口座を選ぶことができます。あるいは確定申告の必要な口座を選ぶことも可能なので、ご自身に合った口座を選んで活用しましょう。

また、会社員であれば年末調整でその年の税金や還付等を計算してくれますが、株式投資で得られた利益については、自動的に源泉分離課税される口座を除いて自分で確定申告するのが原則です。反対に、取引で損失が出た場合には確定申告を行うことで「損益通算」と「繰越控除」の適用を受けることもできます。

まとめ

サラリーマンが投資すべき理由や、その際の注意点を解説しました。将来の資産形成はもちろん、世の中のお金の動きや企業経営等の知識が投資を通じて学べるなど、投資には様々なメリットがあります。

ご自分やご家族のライフプランを実現するため、あるいはビジネスに役立つ知識を身につけるために、投資を学び始めてみることは有効な手段と言えるでしょう。まずは無理せず少額からでも、投資を始めてみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。