投資信託の選び方を知りたい!

たくさん種類のある投資信託ついて、本記事では選び方をご説明します。

投資信託の選び方を知りたい!

投資信託とは

投資信託とは

投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家であるファンドマネージャーが株式や債券などに投資・運用する商品です。運用成果は、投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになります。

投資信託は、プロのファンドマネージャーが投資家に代わって運用してくれるので、投資経験が少ない方、あるいは仕事や家事に忙しくマーケットを頻繁に見られない方でも無理なく運用が可能です。また、1本の投資信託で様々な資産に分散投資されている商品が多く、少ない金額からでも投資ができます。

個別株で分散投資を行おうと思うと、かなりの金額が必要です。さらに株式だけでなく債券やREITなどに投資する場合、その金額はより大きくなります。しかし、投資信託であれば100円程度から投資できるものもありますし、中にはポイントで投資できる証券会社もあります。少ない金額で分散投資できるのは、投資信託の非常に大きなメリットと言えるでしょう。

投資信託の種類

投資信託の種類

投資信託には大きく分けて、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。

インデックスファンド

インデックスファンドとは、日経平均株価やNYダウといった株価指数や東証REIT指数のような不動産指数など、それぞれの指数に連動している投資信託になります。値動きを把握しやすく、個別銘柄に比べて安定的な値動きをすることから、資産運用のコア部分への投資に向いている商品です。購入時の手数料が無料の「ノーロードファンド」が多く、ランニングコストである信託報酬が低い商品も多いという特徴があります。

アクティブファンド

アクティブ型の投資信託とは、インデックスファンドよりも高い運用実績を目指す投資信託のことです。ファンドマネージャーの手腕によっては、大きな利益を狙うことができます。ただし、インデックス投資信託に比べて手数料が高い点には注意が必要です。アクティブファンドでは、何よりもファンドマネージャーの腕が重要になります。アクティブ投資信託を投資先として選択する際は、十分に吟味しましょう。

投資信託の選び方

投資信託の選び方

日本には約6,000本の株式投資信託があります。この中から、自分に合った投資信託を選ぶのはとても難しいでしょう。そこで、投資信託の選び方について分かりやすくご説明します。

資産運用の期間や目的を考える

まずは、資産運用の期間や目的から投資信託を選ぶようにしましょう。投資できる期間が長ければ、ある程度リスクが高い投資信託でも問題ないでしょう。一方、投資できる期間が短いなら、リスクの低い債券ファンドなどが良いかもしれません。

また、投資の目的についても明確にする必要があります。例えば、学費に使うためなのか、それとも老後に使うためなのかなど、必ず投資をする目的があるはずです。投資の目的によって投資できる期間が定まりますし、取るべきリスクも異なるでしょう。

投資の運用方針

投資の運用方針も重要です。積極的に運用したいのであればアクティブファンドが、値動きを把握しやすいファンドならインデックスファンドが良いでしょう。ファンドによって運用方針はまったく異なりますので、自分に合った運用方針の投資信託を選んでください。

分配金の有無で考える

分配金とは、投資した金額に応じて一定期間ごとに受け取れるお金です。毎月分配型投資信託は、10年以上前に爆発的な人気が出ました。これは、高齢者の年金補完ニーズを見事にキャッチしたからです。

確かに、分配金が出ると嬉しいでしょう。しかし、分配金を出すとその分だけ基準価額は下がり、運用効率が悪くなってしまいます。運用の効率を考えた場合、分配金を受け取ると複利効果を受けにくくなりますので、分配金がない投資信託の方が良いでしょう。もちろん、定期的に分配金を受け取りたいニーズもありますので、そのような方は分配金のある投資信託を選んでも良いでしょう。

運用の対象

投資信託の中身は株式や債券、不動産、コモディティなど投資信託によって多様です。一般的に株式や不動産は値動きが大きく、債券の値動きは小さいと言われています。値動きが小さいと価格は安定しますが、その分だけ大きな利益を狙うのが難しいことに注意しましょう。

投資地域で選ぶ

一般的にBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)などの新興国はハイリスク・ハイリターンで、アメリカやユーロなどの先進国はローリスク・ローリターンであると言われています。ただしローリスク・ローリターンでも、それなりに値動きはありますので注意が必要です。新興国はかなり激しく値動きしますので、投資する際はリスクが取れる資金で行いましょう。

投資初心者にはつみたてNISAもおすすめ

投資初心者にはつみたてNISAもおすすめ

投資初心者には、つみたてNISAがおすすめです。ここで、つみたてNISAについて分かりやすくご説明します。

つみたてNISAとは?

つみたてNISAとは、積立投資を推進するために国が作った非課税の投資制度のことです。つみたてNISAで出た利益に関しては、非課税になるのでとても有利に投資できます。一般的に、株式や投資信託で出た利益には20.315%の税金がかかります。そのため、非課税であることは、つみたてNISAの大きなメリットです。なお、つみたてNISAの概要は、以下のようになっています。

・利用できる人:日本に住んでいる20歳以上の人
・年間投資上限額:40万円
・投資期間:最大20年間(2018年から2047年)
・投資対象商品:金融庁が承認した投資信託・ETF(2020年7月時点で182本)
・利用できる口座数:1人1口座
・一般NISAとつみたてNISAの併用は不可

つみたてNISAは年間最大40万円まで投資でき、最大20年間で投資可能な非課税口座と覚えておきましょう。また、つみたてNISAは一般NISAと併用することができません。

つみたてNISAのメリット

つみたてNISAのメリット

つみたてNISAの主なメリットについて、5つ取り上げて解説します。

運用益が非課税

運用益が非課税なのは、つみたてNISAの最大のメリットと言えるでしょう。通常は投資信託や株式で運用すると、利益に対して20.315%の税金がかかります。100万円の利益が出た場合の税金は203,150円です。しかし、つみたてNISAを利用するとこの税金が発生しません。

つみたてNISAは最大20年間まで投資できるので、総額800万円を投資に回すことができます。結果的に大きな金額で投資できるので、利益も大きくなる可能性が高いでしょう。もしも、800万円が2倍の1,600万円になった場合、通常なら800万円×20.315%=162万5,200円もの税金がかかりますが、つみたてNISAを使えば0円です。

少額から始められる

つみたてNISAで年間に投資できる金額は最大40万円ですが、1回あたりの投資金額を100円程度から始められる制度です。初心者であれば、40万円という大きな金額を投資するのは怖く思われるかもしれません。少ない金額から投資できるのは大きなメリットと言えそうです。
また、若い世代の方をはじめ、大きな金額を投資に回せない方でも、つみたてNISAなら気軽に投資することができるでしょう。

非課税期間が長い

一般NISAの非課税期間は、ロールオーバーを使っても最大10年です。一方、つみたてNISAの非課税期間は最大20年と、非常に長いのが特徴になります。投資の大原則は長期分散投資です。長い時間をかけて投資できるのは、つみたてNISAの大きなメリットと言えるでしょう。20年もの時間をかければ、元本を2倍に増やすことも決して夢ではありません。過去のシミュレーションを見ると、3倍・4倍に増えていたケースもあります。

短期で投資成果を求めてしまうと、逆に大きな損失を被ってしまうこともあります。しかし、長期投資を行うと購入平均単価が安定し、また世界経済の成長の恩恵を受ける株式や債券の価格は、経済成長と比例し、長期では右肩上がりになる傾向があります。そのため、大きな投資成果を得ることができるのです。

商品の内容が良い

現在、日本では1万本以上の投資信託があると言われています。しかし、つみたてNISAで利用できる投資信託やETFは、その中で約200本のみです。このことから、つみたてNISAで利用できる商品の内容が良いことが分かるでしょう。つみたてNISAの投資信託の採用基準は、以下の通りです。

・購入時手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

いつでも換金できる

つみたてNISAはいつでも換金できます。非課税で運用できる積立商品には、つみたてNISAの他にiDeCoというものがあります。

iDeCoも非課税で投資信託などの運用ができますが、iDeCoの場合はお金を引き出せるのが原則60歳になったときです。災害など特別な事情があれば60歳前に下ろすこともできますが、気軽にいつでもお金を引き出せる商品ではありません。換金に制限がかかるのは、お金をしっかり貯めるためにはプラスに働きますが、躊躇する方も多いでしょう。

つみたてNISAの場合、いつでも換金できますので、安心して投資ができます。ただし、いつでも換金できるからといって頻繁に換金してしまっては、大きな運用成果を得られず、まとまったお金を貯められません。あくまで、「いつでも換金できるので安心」という気持ちで投資しましょう。

つみたてNISAのデメリット

つみたてNISAのデメリット

メリットがある一方、つみたてNISAにもデメリットがあります。ここで、主な2つのデメリットを詳しく解説します。

元本割れの可能性がある

積立投資は、一般的に長期間で行う投資です。そのため、元本割れの可能性は一括投資に比べて低いと言われていますが、絶対に元本割れしないというわけではありません。仮に20年間で投資しても、元本が割れてしまう可能性は少なからずあります。

所得控除がない

先ほど取り上げたiDeCoの場合、積立金額は全額が所得控除となり所得税・住民税が軽減できます。しかし、つみたてNISAの積立金額は所得控除の対象にはなりません。この点は、iDeCoと比較した際にデメリットと言えます。

まとめ

投資信託についてご説明しました。投資信託は運用のプロであるファンドマネージャーが運用してくれますので、投資初心者の方や仕事や家事に忙しい方でも無理なく投資できます。しかし、ひと口に投資信託といっても種類は多様です。自分に合った投資信託を選ばなければ、期待した値動きや収益を得るのは難しいでしょう。ここで取り上げた内容を参考に投資信託の理解を深め、投資に活かしてください。

※NISAは、2023年1月1日以降、年齢要件が20歳以上から18歳以上に引き下げられます。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融を分かりやすく伝えることをモットーに活動中。