未公開株について知りたい

大きな利益を上げられる可能性がある未公開株は、非常に人気です。今回は未公開株について詳しくご説明します。

未公開株について知りたい

未公開株とは

未公開株とは

未公開株とは、会社の許可なく株式を譲渡できない株式で、会社法上で規定される譲渡制限が付いている株式のことです。証券取引所に上場していない会社の株式は非上場株と呼び、日本にある中小企業はほとんどが非上場株となります。

未公開会社は譲渡制限付株式が発行されているため、イコール非上場株式になります。非上場株式は必ずしも未公開とは限らないため、イコールの関係は厳密には成り立ちません。しかし、非上場株も未公開株と呼ばれるのが一般的です。

上場株との違い

未公開株と上場株との違いは、証券取引所で取引できるかどうかです。

上場株式は証券取引所で取引できますので、基本的にいつでも購入ができて売却もスムーズに行えます。

未公開株は証券取引所に上場されていないため、証券取引所での取引はできません。売買については、後ほどご説明しますが、上場株式とは異なった方法で行う必要があります。未公開株は証券取引所に上場されていないため、誰でも簡単に投資できるものではありません。

未公開株の購入方法

未公開株の購入方法

未公開株の購入方法について、主な3つを解説します。

証券会社から購入する

未公開株の販売を委託された証券会社から購入可能です。ただし、上場している株式と違い、未公開株の販売をできるのは「第一種金融商品取引業者の登録を有する発行者の依頼を受けた金融商品取引業者(証券会社)」に限定されます。未公開株は上場している株式のように常に取り扱いがあるわけではなく、すべての証券会社で購入できるものではありません。

株式投資型クラウドファンディングで購入する

クラウドファンディングとは、インターネットで広く資金を集められるサービスです。投資家は、応援したい企業に投資や融資ができます。クラウドファンディングには様々な種類がありますが、株式投資型のクラウドファンディングでは未公開株に投資ができるサービスがあります。

ただし、未公開株を必ず手に入れられるというわけではありません。また、クラウドファンディングは1社に対する年間投資額が制限されている場合が多いので、大きな金額の投資も難しいのが一般的です。

相対取引

未公開株は証券取引所に上場していないため、 基本的には株式の発行企業から直接購入するのが一般的です。ただし、その企業の関係者でないと未公開株を販売してもらうのは難しいでしょう。

未公開株のメリット

未公開株のメリット

未公開株の主なメリットについて、3つ詳しくご説明します。

通常の株式投資以上のリターンが狙える

証券取引所に上場している株式の中には、株価が10倍以上に上昇するテンバガーと呼ばれる銘柄があります。未公開株もそれ以上のリターンが狙える可能性があります。投資した企業が上場したり、M&Aなどで事業を拡大するなど大きく成長したりした場合、大きなリターンが狙える可能性があるでしょう。リスクは高いですがメリットの1つと言えるでしょう。

流動性が低いため運用の手間がかからない

上場株で利益を出す場合、購入した後に株価をチェックする必要があるのはもちろんですが、業績や財務状況なども常に把握しておかなければいけません。また、株価の動向によって買い増したり、一部売却したりする投資戦略もあります。

一方、未上場株の場合は流動性が非常に低いため、いつでも売買できるものではありません。また、情報が少ないので、業績や財務状況を逐一チェックするのも難しいでしょう。業績などのチェックができないのはリスクでもありますが、運用の手間がかからないのは大きなメリットです。

企業の成長を応援できる

上場企業の場合は、新株の発行などを通して証券市場から直接資金を調達できます。しかし、未上場企業は証券市場から直接調達ができないため、資金繰りに困っている企業は少なくありません。

未上場企業の中には高い志や技術も持ち、日々の事業活動に邁進している企業がたくさんあります。未公開株ではそのような企業を応援することが可能です。

未公開株の注意点

未公開株の注意点

未公開株は注意点も非常に多い投資です。大きく儲かる可能性があるからといって、安易に手を出すのはやめましょう。未公開株の注意点についてまとめましたので、参考にしてください。

購入する企業、業界の知識をしっかりと持つ

未公開株を購入する際は、その企業だけでなく属する業界の知識もしっかり持っておく必要があります。未公開株の企業は上場していないので、細部にわたって調べるのはかなり難しいでしょう。それでも、調べられることはゼロではありません。企業について可能な範囲で調べた上で、その企業が属する業界についても知識を身につけることが重要です。業界の現状や見通し、ライバル企業についてもしっかり調べ、購入する企業の疑問点を極力少なくしましょう。

販売する企業が信頼できる先か確認する

販売する企業が信頼できるかどうかは、未公開株の投資を行う上でもっとも重要です。勧誘を受けた際に「絶対に儲かる」や「非常に高い利回り(年率10%など)」を提示されると、気持ちが揺らいでしまうかもしれません。しかし、このような甘い勧誘がある場合は特に注意が必要です。なぜなら、本当にその甘い言葉が事実なら、わざわざ未公開株の勧誘などせず自分たちが買えば良いからです。販売する企業が信頼できるかどうかは、今ではインターネットで簡単にロコミなどを調べられます。もちろん、インターネット上の情報がすべて正しいとは限りませんが、参考にはなるでしょう。

余裕資金で投資する

未公開株は莫大な利益が出る可能性がある一方、投資した企業が倒産などしてしまえば1円も戻ってこないこともあります。極めて流動性が低いので、いつ売却できるかもわかりません。未公開株はハイリスク・ハイリターンの投資商品です。もし損失が出たとしても、生活に困らない額で投資するようにしましょう。

余裕資金で投資を行うのは、すべての投資に共通していることです。しかし、未公開株への投資は、一般的な上場株に投資する株式投資や投資信託などとは比較ならないくらい高いリスクがあります。このことは、十分に理解しておいてください。

流動性が低く売却しにくい

未公開株は上場株式と比べて著しく流動性が低いため、希望してもすぐに売却できる可能性はとても低いでしょう。買い手が現れなければ、ずっと売却できない可能性もあります。大きな利益を狙えるメリットはありますが、想定通りに企業が成長しなければ、株式を売却できないかもしれません。

投資詐欺のリスクがある

投資詐欺には様々な種類がありますが、未公開株絡みの投資詐欺はとても多くなっています。インターネットやテレビで、未公開株絡みの詐欺事件について見聞きしたことがある方は多いかもしれません。

なぜ未公開株絡みの投資詐欺が多いかと言うと、未公開株は詳細をすべて知るのが非常に難しい投資商品だからです。上場企業のように財務状況の公表などが義務付けられていないため、詐欺に使われることが多くなります。

もちろん、未公開株すべてが投資詐欺であるわけではありません。しかし、上場株式や投資信託などの一般的な投資商品に比べて、投資詐欺に利用されるリスクが高いことは知っておきましょう。

まとめ

まとめ

未公開株は投資した企業が大きく成長したり上場したり、あるいはM&Aなどを行うと大きく利益を得られる可能性があります。また、企業の成長を応援できるメリットもあるので、とても人気が高い投資方法です。

しかし、未公開株の投資はデメリットも非常に多いので、しっかり理解しておいてください。特に未公開株関連の詐欺は後をたちません。投資初心者はまず上場株式や投資信託など、一般的な金融商品に投資をした方が良いでしょう。

未公開株の投資を行う場合は相応の知識が必要ですし、しっかりとした調査が欠かせません。ここで解説した内容を参考に、メリットとデメリットの両方を含めて未公開株に関する理解を深めてみてください。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融を分かりやすく伝えることをモットーに活動中。