CFDにかかる税金・確定申告とは?


投資の成果において税金を考えることが重要なように、FXやCFD取引についても税金を理解することは重要です。ここで、詳しく解説します。

CFDにかかる税金・確定申告とは?

CFD取引とは?

CFD取引とは?

CFDとは「Contract For Difference」の略で、「差金決済取引」のことです。株式などの現物の売買は発生せず、預け入れた証拠金を元手に利益、および損失の差額だけをやり取りする取引を示します。利益が出たら利益分のみを受け取り、損失が出たら損失分のみを支払うという取引になります。

FXもCFDの一部

FX(外国為替証拠金取引)もCFDの一部で、CFDは株式や原油、金、コモディティなどに投資することも可能です。一般的に、為替を対象としたFXと、それ以外を対象としたCFDとで分けて呼ばれます。また、FXと同様にレバレッジをかけることにより、証拠金の何倍もの大きな取引を行うことができ、少額の資金から大きな利益を得ることもできます。

例えば、現物取引では株価100万円の株を購入するには100万円を入金し、110万円になった場合に売却することで10万円を得られます。しかし、CFDにおいては実際に100万円で株式を買う必要はなく、10万円、20万円など、一定の割合の証拠金を差し入れることで差額分を決済することになります。

ただ、手持ちの資金以上の取引も可能であることから注意が必要です。価格変動の大きな投資対象に投資することも可能ですから、許容できるリスクに合った投資先、レバレッジであるかをよく見定めて投資するようにしましょう。

CFDでの取引

CFDの場合は、購入額の100万円と、売却した価格の110万円の差額10万円のみを証券会社と決済することになります。また、現物取引の場合、保有していない株式を売却することはできませんが、CFDでは現物を保有していなくても売りを行うことが可能です。

この場合、決済時に株価が下がっている場合に利益が発生します。なお、CFDでは通常の株式投資とは異なり、特定口座制度を利用することはできません。

代表的なCFDの商品

代表的なCFDの商品には、株価指数CFDや商品CFD、外国株CFDなどがあり、対象商品によってレバレッジの最大倍率(5~50倍)が変わります。

株価指数CFDとは、日本の株式であれば日経平均株価やTOPIX、米国の株式であればNYダウやS&P500など、一定の銘柄の株価を数値化したものを原資産の価格として取引をすることです。

景気を反映して価格が変動する

これらの株価指数には、景気を反映して価格が変動するという市場の特徴があります。FXが為替の変動を利用し利益を得るのに対し、株価指数CFDは株価指数の変動で利益を得るということになります。

商品CFDは金や銀、原油などの商品先物の価格の変動を利用し取引を行い、外国株に対し同様の取引を行うことも可能です。日本の証券会社で取引ができない外国の銘柄が多くあり、1つの口座で各国の銘柄を管理することができるメリットがあります。FXと同様の仕組みで、信用取引と同様に現物を保有していなくても売りから取引が開始でき、信用取引よりも大きなレバレッジ効果を得られるのも特徴です。

CFD取引にかかる税金

CFD取引にかかる税金

株式投資で得られた利益に税金がかかるように、CFDにより発生した利益にも税金がかかります。CFDの利益は雑所得となり、税率は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%が分離課税されます。雑所得とは以下9種類の所得のいずれにも該当しない所得のことであり、CFDの他にFXや仮想通貨や公的年金なども雑所得に含まれます。

・給与所得

・退職所得

・一時所得

・利子所得

・配当所得

・不動産所得

・事業所得

・山林所得

・譲渡所得

本来、上記の給与や事業によって得られた所得などを合算され、生命保険料控除や社会保険料控除、配偶者控除などを控除して課税される所得が計算されます。確定申告を行うことでこれらの所得を合算して、その年に納めるべき税金の金額を計算します。そして、計算した税金に対して源泉徴収されている税金の方が多いようであれば還付を受けること可能です。

しかし、その際にCFD取引の利益は他の所得と分離課税され、それらの所得と合算されずにCFD取引単独で税金が計算されます(FXなどの利益との損益通算は可能)。他の所得と分離されて課税されるため、得られた利益が影響して税金が高くなってしまうなどといったことがありません。

株式投資や投資信託の場合は、特定口座という口座を利用すれば証券会社が投資家に代わって納税してくれます。そのため、自分で確定申告をする必要はありません。しかし、CFD取引やFXは株式のように特定口座を選択することができないため、自分で確定申告を行わなくてはいけません。なお、下記のように確定申告が不要なケースもあります。

・会社員で給与所得が2,000万円以下かつその他の所得(給与所得と退職所得を除く)の合計額が20万円以下

・会社員以外(自営業、専業主婦、無職者など)で所得が48万円以下

CFD取引により得られた利益が20万円超えているかの判定については、取引している証券会社から年間取引報告書で分かります。

CFD取引に税金がかかるタイミング

ポジションを保持しているだけでは税金はかからず、受け渡し完了時点で税金が発生します。CFD取引において、自分のポジションの損益がどのようになっているかについては、随時確認することができます。しかし、含み益が出ていたとしても、決済して確定しなければ税金がかかることはありません。

CFD取引で損失が出ても、確定申告をした方が良い場合もある

CFD取引で損失が出ても、確定申告をした方が良い場合もある

CFD取引で損失が発生した場合でも、確定申告を行った方が良い場合もあります。例えば、CFDの利益はFX、先物、オプション取引などと損益通算することが可能です。そのため、これらの取引で利益が発生している場合には損失と通算できます。

例)

CFDで年間の損失が10万円だった場合、FXで30万円の利益が出ているようでしたら、以下のようにFXの利益から差し引くことができます。

・計算式:30万円(FXの利益)-10万円(CFDの損失)=20万円の利益

また、損失は3年間繰越控除することができます。翌年3年間にわたってCFD取引、先物、オプション取引、FXで発生した利益から控除することも可能です。

例)

CFDで10万円の損失が発生し、翌年に50万円の利益が出た場合は、以下のように損失を繰り越して翌年以降の利益から差し引くことができるのです。

・計算式:50万円(翌年の利益)-10万円(前年の損失)=40万円が課税対象

継続して繰越控除の恩恵を受けるには、毎年確定申告を行わなくてはいけません。このように損益通算、繰越控除が可能であるため、確定申告した方が良いケースもあります。

また、下記のようにCFDで得られた利益から、セミナーの受講料や書籍の購入費用、セミナー会場への交通費、トレードに必要なインターネット料金やパソコン代などを差し引くことができます。

・トレードに必要なパソコンやモニター、スマートフォンなどの購入費用

・トレードにかかるインターネット代、電話代

・勉強をするための新聞や書籍などの購入費用

・トレードを行う家の家賃や光熱費

・セミナーの受講費用や交通費、宿泊費

なお、パソコン代やインターネット代などの費用はトレード専用に買い揃えたものでなければ全額を経費にはできません。使用する割合に応じて経費にすることが必要です。

確定申告での注意点

確定申告での注意点

・領収書の保管

利益から経費を控除することで、納める税金の額を抑えることもできます。これらの経費があれば忘れずに計上し、しっかり申告を行い正当な方法で税金を抑えるようにしましょう。そのためには、領収書などをしっかり保管しておくことが必要です。

領収書を確定申告書に添付する必要はありませんが、後に税務調査の対象となった時には領収書が求められるので注意してください。必ずしも、領収書がなければ経費にできないというわけではありません。しかし、経費として使ったことを証明するために領収書は重要です。レシートを受け取ったらすぐに捨ててしまわず、経費に関わる領収書はきちんと整理して保管しておきましょう。

・年間損益報告書の準備

CFDの損益を計算するためには年間損益報告書の準備が必要になりますので、年間損益報告書が届いたらしっかり保管しておいてください。年間損益報告書は、証券会社のホームページなどからダウンロードで取得できることもできる場合もあります。また、CFDによる利益は売買益のみでなく、金利差などから発生する価格調整額も対象です。

・確定申告を行わずにいた場合

CFDで申告が必要な利益が発生しているにも拘わらず、確定申告を行わずにいた場合、追徴課税が発生する場合もあります。せっかく利益を得ることができても、追徴課税で本来払うべき税金よりも大きな金額を払わなければならなくなるというケースも起こり得ます。そのため、上記のケースを除き必ず確定申告を行うようにしてください。確定申告は国税庁のホームページから申告書を作成することができ、現在はオンラインで申告を完了することも可能です。

まとめ

まとめ

CFDにかかる税金や、確定申告のことについて解説しました。FXやCFDではレバレッジを効かせることで、少ない資金でも大きな利益を得られることがあります。その際に数百万円、数千万円といった利益になる場合もあり、確定申告の経験のない会社員の方でも大きな利益を得ることがあるでしょう。しかし、確定申告を忘れたり申告を怠ったりした場合、これらの取引で大きな利益を出すことができても、後に追徴課税を受けてしまうケースがあります。

また、納税のための資金を残しておく必要があるにも拘わらず、手持ちの資金をほとんど使ってしまい、その後に大きな金額の税金を支払う必要があることが発覚した場合には、手持ちの資金だけでは足りずお金を借りても支払わなければならないことも考えられるでしょう。税金に対する正しい知識を持って正当に申告すれば、利益を得た場合の納税資金を残し、追徴課税を受けることもありません。

損益通算や繰越控除などの知識を持っていれば、損失が発生した場合にも翌年に繰り越しするなど翌年の利益から得られる税金を抑えたり、勉強のために使った費用を経費にして税金を抑えたりすることも可能です。特に、会社員では確定申告をしたことがないという場合も多いでしょう。FXやCFD取引で利益が出たことによって、初めて確定申告を行うことになるかもしれませんので、十分に注意するようにしましょう。

監修者プロフィール

小川 洋平(オガワ ヨウヘイ)
日本FP協会認定 CFP®、合同会社clientsbenefit 代表、FP相談ねっと認定FP、SG中越代表

<プロフィール>
25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。2013年より資産形成の考え方に関するセミナーを自主開催。その他、大手金融機関からの委託により実施。現在は小規模事業者の年金や資産運用のサポートを中心に相談・経営支援の業務に携わり、確定拠出年金など起業家の将来の資産形成と経営のサポートを行っている。投資信託や資産形成の分野を得意としている。