最近よく聞く、インフレとは?あなたの家計はインフレに強い?弱い?

最近よく聞く、インフレとは?あなたの家計はインフレに強い?弱い?

ガソリンをはじめ、電気代、ガス代といった光熱費、小麦粉、調味料、清涼飲料やビールといった食料品など、最近は値上げのニュースを目にしない日はないのではないかというくらい、毎日のように値上げのニュースが飛び込んできています。

モノやサービスの値段、つまり物価が上がる現象は、インフレ(インフレーション)と呼ばれていますが、今回は、インフレになると何が困るのか、インフレの基本的な内容についてご説明させていただきます。

日本でも歴史的にはインフレの時代があった!

日本では失われた20年、30年と言われる中、物価が上がらない、もしくはデフレと言われるように物価が下がるという状況が続いてきました。しかし、少し長期的な視点で確認してみると、日本でも長期的には物価が上がってきた歴史があります。

次のグラフは、日本で生活する方がモノやサービスを購入する際の価格を指数化したもので、消費者物価指数の推移を示しています。

2020年の消費者物価指数を100とすると、2010年では93.5、2000年では96.4、1990年では89.7、1980年では73.8、1970年では31.3となっており、長い歴史を見ると、物価が大幅に上昇していた時期もあることが確認できます。

インフレになると、モノやサービスに交換する力、購買力が低下します

では、このインフレが起きていくと、何が問題なのでしょうか。

それはみなさんが持っているお金で交換することができるモノやサービスが減ってしまう、つまりお金の価値、購買力が低下してしまうということです。

1つの例としてスマホで考えてみましょう。100万円持っている方は、2万円のスマホなら50台購入することができるわけですが、もし同じスマホがインフレによって4万円に値上がりしてしまうと、25台しか購入することができなくなってしまいます(実際にスマホばかり購入することはないと思いますので、あくまで例えとしてご理解ください)。

お金をモノやサービスに交換する能力を購買力といいますが、インフレになると購買力が低下してしまうのです。

次のグラフは、インフレ(物価上昇)率が1年あたり0%、1%、2%、5%の4つのパターンで、購買力が時間の経過とともにどのように変化していくかを示したものです。

インフレ率と購買力の低下

モノやサービスの値段が変わらない、つまりインフレ率が0%であれば、100万円はいつまでも100万円の価値になります。しかし、例えばインフレ率が2%の場合、現金で100万円を保有し続けていたら、30年後には現在の価格で換算して55万円(30年後の価格で100万円)相当のモノやサービスにしか交換できなくなってしまうのです。

つまり、インフレ率が1%や2%と一見低く見えたとしても、20年、30年と長期になると、購買力が大きく低下してしまうのです。

ここで、一時大きく騒がれた老後2,000万円問題が、インフレの影響を受けるとどのようになるか考えてみましょう。上のグラフによると、インフレ率が2%の場合、40年後には購買力は当初の45%くらいまで低下してしまいます。

老後2,000万円問題は老後に公的年金を受け取りながら生活していくためには、2,000万円の資産を持っておく必要があるという話でした(実際にはご家庭によって収入や支出は異なりますので、一律には言えません)。

20歳前後で新社会人として働き始め、老後に向けて2,000万円貯めればいいんだな、ということで資産形成をしていったとしても、もしインフレ率が2%だった場合、40年後の60歳ごろに2,000万円貯めただけでは、実質的には2,000万円×45.3%=906万円ほどの購買力になってしまうことになるのです。表面的には、2,000万円というお金が貯まっているかもしれませんが、モノやサービスに交換する能力である購買力は、半分以下になってしまっているのです。

このように考えると、マネープランニングをしていく際には、いくら貯める、ということではなく、購買力を維持、向上させていくという視点が重要になってくることがご理解いただけるのではないでしょうか。

インフレの影響を受けやすい家計と、影響を受けにくい家計

「インフレになったら物が買えなくなる!」「どうやってインフレに備えよう?」と思われている方もいらっしゃると思いますが、まずはご自身の家計がインフレに強い家計なのか、インフレに弱い家計なのか、確認しておくことが大切です。

次の表は一般的な家計の支出項目ですが、項目によってインフレの影響を受けやすいものと、インフレの影響を受けにくいものがあります。

インフレの影響を受けやすい家計と、影響を受けにくい家計

インフレの影響を受けやすいものとしては、食料品や光熱費などの日常的なもの、クルマのガソリン代、賃貸住宅の家賃などがあります。都心でクルマを持たず公共交通機関が中心という方と、田舎で日常的な移動手段としてクルマを利用されている方では、インフレの影響の受けやすさが大きく変わってきます。

一方、インフレの影響を受けにくい(受けない)ものとしては、持ち家の方の住宅ローンや、生命保険料、火災保険料です。これから家を買おう、という方は今後不動産価格が上昇していく可能性はありますが、すでに購入してしまって住宅ローンを返済中の方は、世の中の不動産価格が上昇したからと言って、住宅ローンの返済額が上昇することはありません(もちろん変動金利の場合は、結果として影響を受ける可能性はあります)。またすでに契約している長期の保険契約も、世の中がインフレになったからといって、その契約の保険料が上昇することはありません。

また、お子様がいらっしゃるご家庭においては教育費が気になる方も多いのではないかと思いますが、大学の教育費については次の表の通り、これまではじわじわと上昇傾向が続いています。

インフレの影響を受けやすい家計と、影響を受けにくい家計
「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」(文部科学省)より筆者作成

教育費のピークは一般的に大学入学時と言われていますが、お子様が生まれてから18年後くらいと、かなり先になります。生まれた時点での教育費を前提に考えていると、18年後の教育費は世の中のインフレを受けて、もっと高くなっていたという可能性もあるわけです。

最後に

最近よく目にするインフレですが、短期的な影響もさることながら、長期的にインフレが継続する場合にはかなり大きな影響を受ける可能性があります。

次回はインフレの影響を受けづらくするためにはどのようにお金を持っていけばよいのかについて考えていきたいと思います。

著者プロフィール

横田健一

ファイナンシャルプランナー。株式会社ウェルスペント 代表取締役
大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行い、個人の資産形成をサポートしている。

資産形成ハンドブック:https://shisankeisei.jp/
YouTubeチャンネル 資産形成ハンドブック :
https://www.youtube.com/channel/UCLAKtSh8TLpEA19PyD2cuOA

イラスト@mofusand

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