長期的な資産形成に欠かせない 金融資産配分の考え方とは?

長期的な資産形成に欠かせない 金融資産配分の考え方とは?

人生100年時代の資産形成はライフプランを作った上で長期的に取り組んでいくことが大切です。

パン作りから世界経済を学び、長期株式投資でお金を増やしていこう!(2022年1月28日)

株式投資で長期的にお金を増やしていくなら、世界の幅広い株式に投資しよう!( 2022年2月28日)

株式インデックスファンドの具体的な投資先は?(2022年3月29日)

これまで3回にわたり、GDPや世界経済の仕組みから、世界株式インデックスファンドの具体的な投資対象までご説明してきました。

今回は資産形成のために長期的に投資していくお金について、どのような資産にどういった割合を配分するか、つまりアセット・アロケーションという考え方についてご説明させていただきます。

投資にまわしていけるお金は基本的に老後に使うお金

長期的に資産形成していきたいが、どのくらいのお金を投資していても大丈夫なのか、具体的な金額のイメージがわかないという方も多いのではないかと思います。

まず投資にまわさずに預貯金などで確保しておくべきお金としては、以下の2つがあります。

  1. 何かあった時のためにとっておくお金(半年から1年程度の生活費)
  2. 5年以内に迎えるライフイベントで必要となるお金

例えば、生活費が20万円/月、現在500万円持っている方の場合で、どのくらいのお金を投資にまわしてもよいのか考えてみましょう。

生活費が20万円/月ですから、1年分の生活費をとっておくなら240万円が「とっておくお金」になります。また特にライフイベントを予定していないのであればライフイベントのお金はゼロになりますから、最大で260万円が老後に向けて投資にまわしてもよいお金となります。

最初に安全資産と運用資産の割合を決めましょう!

老後に向けて準備していくお金と言っても、預貯金などの元本保証型商品で保有しておく安全資産と、投資にまわしていく運用資産の割合を以下のようなイメージで管理していくことが大切です。

最初に安全資産と運用資産の割合を決めましょう!

上の例で、最大で260万円を投資にまわせるとしても、初めて投資をしていくという方であれば、この内の1~2割程度から始めていけばよいでしょう。

260万円の2割、つまり52万円を投資していくと決めた場合、つみたてNISAなどの非課税制度を活用し、2~3年かけて積立投資の形で始めていくとよいのではないかと思います。

1年目は毎月1万円、2年目は2万円、3年目は3万円と積立金額を増額していくなら、2年半くらいで52万円の投資が完了します。その時点で、資産全体の金額(500万円から増減しているはずです)を確認して、再度安全資産と運用資産の割合を検討してみましょう。

アセット・アロケーションが長期投資のパフォーマンスを決めます!

資産(アセット)の種類は、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券など、様々なものがありますが、それぞれの資産にどういった割合で投資をしていくか(アセット・アロケーションと呼ばれます)が、長期の投資パフォーマンスにおいては非常に重要な役割を果たすと言われています。

投資のパフォーマンスの決定要因としては、アセット・アロケーション以外にも、どの銘柄に投資するか(銘柄選択)、いつ投資するか(マーケット・タイミング)などがありますが、ある論文によるとアセット・アロケーションがパフォーマンスの9割以上を決めるとされており、アセット・アロケーションが非常に重要であると言われています。

アセット・アロケーションが長期投資のパフォーマンスを決めます!

 

逆に言えば、どの銘柄を選ぶかや、いつ投資すべきなのか、といったことにはそれほどこだわらなくても、長期的なパフォーマンスへの影響はあまり大きくないということになります。

例えば、一般的に株式はハイリスク・ハイリターン、債券はローリスク・ローリターンと言われていますが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が推計している長期的な期待リターンを確認してみましょう。

GPIFについては初めて聞いたという方もいるかと思いますが、私たちの国民年金や厚生年金といった公的年金の保険料のうち、年金の支払い等に充てられなかった部分である積立金を運用している世界最大級の機関投資家(プロの投資家)です。

アセット・アロケーションが長期投資のパフォーマンスを決めます!

例えば、国内債券(期待リターン:0.7%)と国内株式(期待リターン:5.6%)のみを対象とした次のような2パターンのアセット・アロケーションで、期待される利回りを計算してみると次のようになります。

アセット・アロケーションが長期投資のパフォーマンスを決めます!

アセット・アロケーションとして、株式を多めにするか、債券を多めにするかで、投資資産全体で期待される利回りが変わってきます。高いリターンが期待できる株式を多めにすると4.13%ですが、株式と債券の割合を逆にすると2.17%と半分近くまで下がってしまいます。

もちろん株式の方がハイリスクですから、株式を多めにすると投資資産全体のリスクも高くなるわけですが、長期的にはより高い利回りが期待できるというわけです。

GPIFのアセット・アロケーションは4資産へ均等配分

ここでGPIFの実際のアセット・アロケーションを確認してみましょう。2021年12月末時点でGPIFの運用資産額は、ナント199兆2,518億円となっています。

この約200兆円のお金がどのような資産にどのような割合で配分されているか見てみると、次のように非常にシンプルなアセット・アロケーションになっているのです。

GPIFのアセット・アロケーションは4資産へ均等配分

国内株式、国内債券、外国株式、外国債券のそれぞれに25%ずつ、均等に配分されています。

機関投資家ということで、ものすごく複雑な運用戦略を持っているのだろうと想像される方もいるかもしれませんが、非常にシンプルなアセット・アロケーションになっています。

公的年金の積立金は100年単位の長期を前提に運用されていますので、一般的な個人の方が30~50年くらいの時間軸で資産形成や資産運用をしていくのと同じ考え方でよいとはいいきれませんが、一つの考え方として参考にしていただけるのではないかと思います。


最後に

資産形成に向けて投資を始めよう!という時には、どの株式に投資しようか、投資信託は何を選ぼうかなど、細かい銘柄についてはいろいろ調べたり検討されたりするのではないかと思います。

しかし、家計のお金を投資していく際にまず大切なことは、今回ご紹介した、投資にまわしていけるお金の金額の確認や、安全資産と運用資産の割合の決定、そしてアセット・アロケーションを決めていくといったことです。

このような考え方で家計のお金全体を管理していくと、投資で大きな損が出てしまって予定していたマイホームの予算を下げなければならなくなった、などといったことがなくなり、安心して長期的な資産形成に取り組んでいけるのではないかと思います。

ぜひ一度ご自身の状況について整理してみていただければと思います。

著者プロフィール

横田健一

ファイナンシャルプランナー。株式会社ウェルスペント 代表取締役
大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行い、個人の資産形成をサポートしている。

資産形成ハンドブック:https://shisankeisei.jp/
YouTubeチャンネル 資産形成ハンドブック :
https://www.youtube.com/channel/UCLAKtSh8TLpEA19PyD2cuOA

イラスト@mofusand

トップへ戻る