投資するなら押さえておくべき「経済指標」~海外編~

 

2021年4月20日

 

アメリカの「雇用」事情が世界経済に影響を与える!?

新聞やニュースではさまざまな「経済指標」が取り上げられているが、時にアメリカの「GDP」や「雇用統計」などを見かけることもあるのではないだろうか。

「投資においては、日本よりも世界の『経済指標』を見ることが大切」と話すのは、第一生命経済研究所 首席エコノミストの永濱利廣さん。その理由とは?

世界経済に多大な影響を与える「アメリカ経済」

「日本株は、日本国内の要因で上下することがほとんどありません。最大の理由は、日本と世界の株価指数の連動性が高いから。特にアメリカの株価が上がると日本の株価も上がるので、もっとも重要な『経済指標』はアメリカのものともいえます」(永濱さん・以下同)

世界全体の「GDP」に占める割合を見ても、アメリカが約4分の1とかなり大きなウェイトがある。それだけ世界経済への影響も大きいのだ。ちなみに、第3位である日本は6%程度。

「また、日本株の売買の6割以上は外国人投資家です。彼らにとっては日本企業の業績以上にアメリカの経済が重要で、アメリカの景気が悪くなると、日本株は売られます。ダイレクトにアメリカの景気が関係しているというわけです」

アメリカ経済を先読みするなら「雇用」を追え

海外の「経済指標」となると、ますます何を見たらいいかわからないが、まず押さえるべき指標は生活に根づいたデータだという。

米国雇用統計
アメリカの雇用情勢を数値化したデータ。「失業率」「非農業部門雇用者数」「ADP雇用統計」「新規失業保険申請件数」など、さまざまな指標が存在する。

「『米国雇用統計』が重要な理由は、アメリカの『GDP』の4分の3を“個人消費”が占めているから。個人消費は雇用に左右されますし、アメリカでは景気の良し悪しが雇用にダイレクトに影響するので、比較的早く発表される『米国雇用統計』は、アメリカ経済の先行きを読む際の参考になるのです」

さまざまな指標のなかでも、「非農業部門雇用者数」を見ることで、アメリカの金融政策などが予測できるという。

「アメリカの金融政策を司るFRBは、雇用の最大化を命題にしています。そのため、雇用が増えることで、金融緩和の出口に向かうという予測ができるのです。逆に雇用が減れば、金融緩和が加速するでしょう」

さらに、もっと早い段階で先読みする方法もあるとのこと。

「『非農業部門雇用者数』や『失業率』は毎月第一金曜日に発表されますが、さらに短いスパンで出るデータがあります。それが『新規失業保険申請件数』。毎週発表されるデータなので、現在のアメリカの雇用情勢を把握できます。この指数を見ると、今年の6月に雇用が回復したものの、7月に伸びが鈍化していることが今の時点でわかるのです」

アメリカ大統領選挙でも「失業率」などが話題に上ることがあるが、意識してチェックしてみると良さそうだ。

世界の「景況感」を把握して景気の流れを予測

より具体的に経済を先読みしていくためには、日本の「日銀短観」にも似た指標を見ることも大切。

ISM製造業景況指数、ISM非製造業景況指数
民間団体のISMが、製造業・非製造業の企業に景況感についてのアンケート調査を行い、景気に対するマインドを数値化したもの。「ISM製造業景況指数」は調査月の翌月第一営業日、「ISM非製造業景況指数」は調査月の翌月第三営業日に発表される。

「アメリカ企業の購買担当者に調査したデータで、発表が非常に早いところが特徴です。新規受注や在庫、雇用といった景気の先読みに活用できるデータが見られます。また、総合指数の『PMI』は、アメリカの景気が上向きか下向きか、推測する材料になります」

各国の製造業購買担当者景気指数(PMI)
製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとに、景況感を数値化したもの。アメリカの「ISM製造業景況指数」「ISM非製造業景況指数」に記載されている『PMI』と同様のもの。

「アメリカだけでなく、ヨーロッパや中国の『PMI』も見ることで、景気が上向きの地域がわかり、世界経済を総合的に予測することができます。『PMI』が50ポイントを上回れば景気拡大、下回れば景気後退を示唆するといわれています」

ちなみに、日本でも日本資材管理協会が「JMMA製造業PMI」を毎月公表している。国内のデータからチェックすると、「PMI」の内容を理解しやすくなるかもしれない。

日本株も大きく影響を受ける世界経済。まずは「米国雇用統計」など、経済知識がなくても理解しやすい指標から見て、データに慣れるところから始めてみよう。
(有竹亮介/verb)

提供元:東証マネ部!

この記事は「東証マネ部!」で2020年11月1日に公開されたものです。

元記事:投資するなら押さえておくべき「経済指標」~海外編~

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