利息返還の時効が近づくカード・消費者金融(野村アナリストの業界展望)

 

2021年8月11日

 

08/10 20:30 FINTOS!編集部

力強い利息返還金減少はまだ見えず

 カード・消費者金融業界では、利息返還(過払い)問題に係る利息返還金の発生が利益を長年圧迫してきた。2019年度には返還金の減少ペースが各社想定を下回ったことから利息返還損失引当金への追加繰入費用が発生した。

 20年度も一部会社において返還金の増加や減少ペース鈍化が見られ、同問題はまだ終息とは言い難い。背景に、利息返還請求を収益源とする法律事務所等が駆け込み需要の獲得を狙い宣伝に注力していることが考えられる。

時効到来で減少が加速するか注目

 利息返還は顧客が借入金を完済してから10年で時効となる。利息返還問題発生以降、各社でキャッシング残高の圧縮が進んだことから足元では時効の到来が増加していると考えられる。

 10年度に残高圧縮率が高かった会社ほど20年度の返還金の減少に強い傾向が見られる。法律事務所等が宣伝に注力しているものの、12年度頃にかけて各社の残高圧縮が進んでいたことから、野村では今後時効到来により利息返還金の減少が加速すると予想する。

各社利益影響の見方は異なる

 利息返還金の減少が加速すれば、オリエントコーポレーション(以下オリコ)、イオンフィナンシャルサービス(以下イオンFS)においては利益増加へ寄与すると考える。両社は毎期利息返還費用が生じており、20年度にオリコで66億円(19年度は46億円)、イオンFS で43億円(同32億円)を費用計上した。中期的に同費用減少が利益貢献すると野村では予想している。

 一方で、利息返還損失引当金への追加繰入費用発生により、利益水準が一時的に低下するリスクが残るのはアイフルアコムである。両社は共に20.3期に大規模な追加繰入費用が発生したものの、足元の減少速度が緩やかであることから、中期的に引当金が不足する懸念がある。アイフルでは23.3期に40億円、アコムでは22.3期に50億円の追加繰入費用が発生すると野村では予想する。アコムでは必要引当金の見積もり方法変更の必要性を再評価するタイミングとして、3年に1度の中期経営計画策定時を挙げており、22.3期が現中計最終年度であることを考慮した。

 

 クレディセゾンにおいては同業他社比でも十分に引当金を積んでおり、短期的には追加繰入が発生しないと考える。

未完済顧客リスクには留意

 ジャックスを参照すれば、各社で未完済顧客の影響が中長期に亘って続くリスクに留意しておきたい。ジャックスでは同業他社に先駆けて1997年に貸出金利を利息制限法内の18%に引き下げており、利息返還問題発生前後において貸出金利水準に変化は見られなかった。

早期に貸出金利を引き下げたことで業界内において時効到来が最も早い一方で、足元では利息返還金に増加傾向が見られ、未完済顧客からの請求が未だ残ると推察される。野村では今後各社の利息返還金減少を予想するものの、中長期に亘り少額の利息返還金の発生が続くリスクには留意しておきたい。

 

(三木 成人)

 

※野村週報2021年8月9日号「産業界」より

提供元:野村證券 / FINTOS!作成資料

この記事は「FINTOS!」で2021年8月10日に公開されたものです。

元記事:利息返還の時効が近づくカード・消費者金融(野村アナリストの業界展望)

 

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